先生方とオタク
先生方の話を挟んだのに、深い意味はありません。
──朝でござる朝でござる、起きてくピッ……
「……んん」
秋乃起床。
「おはよう……皆──」
フィギュアに挨拶をして、そのままリビングに向かう。
リビングでは、母がいそいそと出かける準備をしていた。
「おはよう……。どっか行くの?」
「あ、おはよう。ちょっと友だちと買い物してお昼食べてくるから。夕飯までには帰るから──留守番よろしくね」
「……わかった。気をつけて」
「うん。じゃ、お昼は適当に食べてね。行ってきます」
と歩き出してから、母は振り返った。
「秋乃」
「はい?」
「ゲームは、一日二時間までね」
と母はにこりと笑って出ていった。
「……母上、そんな笑顔でおれがやめると──?」
秋乃はフッと笑うと、自分の部屋に戻るのだった……。
*
秋乃がゲームに集中し始めた頃、先生方や忍者は学校にいた。
「ここは、涼しいでござるな」
「保健室ですからね」
忍者と山井は、保健室に涼みに来ていた。
「保梨殿は、いつもこんな涼しい所で作業をしているでござるか?」
「そう、ですね……ケガをした生徒とかが、休む所ですから──」
と保梨はコーヒーを淹れて、二人に渡す。
「ありがとうございます」
「かたじけない」
「いえいえ、ホットですけど──そういえば……忍者さんは、どうやって飲むんですか?」
と保梨はコーヒーを渡してから思った。
忍者は目以外出ていないので、もし飲むとしたら、顔が見られるかもしれない。
「確かに、顔出しするんですか?」
とコーヒーを啜って、山井も訊く。
「あぁ、拙者は……これを使って飲むでござるよ」
そう言って見せた物は、ストローだった。
「え……でもそれ──」
熱くない(です)か? と二人は思う。
そんな二人をよそに、忍者はストローで一回コーヒーを混ぜると、口元に持っていく。
「それでは、いただくでござるよ──」
うまい具合に、ストローを布の間から口に入れた。
コーヒーが、ストローを通っていく……。
「……ん──うん。美味でござるな」
と忍者はストローを外す。
ちゃんと、コーヒーは減っていた。
「熱くないですか?」
「大丈夫ですか?」
と保梨と山井が不安そうに忍者を見る。
忍者は、どうってことないというように、
「全く。むしろぬるいぐらいでござるよ」
と笑って言う。
「そうですか──ならよかったです」
「火傷したんじゃないかと思いました」
と保梨と山井は安心する。
忍者の口は、どうやら普通の人とは違うようだ。
*
「行けえっ! 最後の……一撃──!」
──ズバババババッ
『これで終わりだ』
『おのれ〜っ……末代まで、呪ってやるからな……』
地面に突っ伏した敵は、主人公を睨みつける。
『残念だったな。オレは呪いをかけられ過ぎた。一人の呪いが増えても、どうってことない──』
そう言って、主人公は背を向けて歩き出し、『〜FIN〜』という文字が画面の右下に表れ、暗転。
そしてスタッフロールが流れ始めた。
「……いやぁ、楽しかっ──」
時計を確認しようと後ろを見ると、そこには笑顔をたたえた母が立っていた。
とっくに外は、夕焼け色になっている。
「あら? 何時間やったのかしらね、秋乃」
「えっと……五時間、くらいかな?」
「あぁ、そう──」
と母がテレビに向かって歩いていく。
「……面白かった?」
「はい。もう最高でした」
「次はどれやるの?」
「次は、勇者冒険録をやる予定」
「そう──」
と秋乃が言ったゲームソフトを手にする。
「……母さん?」
「没収よ──」
母は真顔で一言残し、秋乃の部屋を出て行った。
「母上〜っ! それだけは勘弁してください──」
と後を追うも、
「誰のせい?」
と一蹴され、秋乃は絶望するのだった……
秋乃「…………これから何を楽しみに生活すればいいんだ──」
章「課題やれ」




