次会ったら
眞壁、ニャンパラを貸す。
「終わった──」
眞壁は、生徒会室で本日五回目のニャンパラ……もとい『ニャンニャンパラダイス』を読み終えてから呟いた。
関野と篠山は、今日中にやることが終わり、もう帰っていた。
眞壁だけが、ニャンパラを読むために残っていたのだ。
「……そういえば、舛田に初代ニャンパラを貸す約束をしてたな」
とふと思い出す。
「居るかな。今──」
眞壁は、とりあえず探してみることにした。
*
廊下を歩きながら探していると、ちょうど秋乃と章がこっちに歩いてきているのを眞壁は見つけた。
「母さんにゲームとられて、やることがない」
「いや、あるだろ」
と章が秋乃にツッコむ。
すると秋乃は、前方に要注意人物を見つけて足を止めた。
「どうした?」
「せ、先輩だ……!」
「先輩……? あぁ、猫の」
「そう──あの人に捕まったら、猫のことで洗脳される。とりあえず、逃げ……」
「舛田ー、ニャンパラ貸すからちょっと家寄ってけ──」
と距離がある眞壁は声を張って言った。
「ほんとですか!」
「もう洗脳されてんじゃねえか──」
秋乃の目は、キラキラと輝いていた。
*
「よかったよかった。ちょうど見つけられて。じゃ、持ってくるからちょっと待っててくれ──」
と眞壁は家に入っていく。
秋乃とついて行った章は、玄関の前で待つ。
「……普通の人じゃね? ここまで何もおかしなところは無いと思うけど」
と章はここまで来るまでの会話を思い出して言った。
章は初対面なので軽く自己紹介をし、眞壁も自己紹介をした。
その後は、夏休みはどうだ? とか、文化祭は何をするのかを話した。
「それは、猫じゃないからだよ。だから、猫の話題は禁止だ──」
話していると、紙袋を持った眞壁が出てきた。
「悪いな。ほい、『初代ニャンパラ』全十五冊」
「ありがとうございます──」
と秋乃は受け取り、
「それじゃあ、読み終わったら返します」
と帰ろうとする。
「あ、猫」
とさっきの会話を忘れたのか章が口を開いた。
ちょうど、眞壁の家の近くに歩いてきていたのだ。
「白玉──!」
と眞壁が足元に来た黒に白い玉模様の猫を抱きかかえた。
「章……」
秋乃がなぜ言った……という顔をして、章を見る。
「でも、普通じゃないか──?」
章はわかっていなかった……。
眞壁が、どれほど猫が好きなのか──
「白玉〜、元気だったか? 最近ちっとも顔見せないから、どうしたのかと思ってたんだぞ?」
と眞壁は白玉の頭を、これでもかと言うほど撫でる。
それを見ていた章が、口を開いた。
「……何か、好きなアニメキャラ語るお前みたいだ」
と秋乃を見る。
秋乃は、
「いやいやないない。こんなキラキラした目で語ってない」
と手を振って否定する。
「ほんとお前モフモフだなぁ。野良じゃないみたいだぞ? このこの〜♪」
改めて眞壁を見ると、たいそう嬉しそうに猫とじゃれあっていた。
「……先輩」
「ん?」
「猫、本当に好きですね──」
と章は肉球をプニプニして、ほわわーんとしている眞壁に言った。
「当たり前だろ? このモフモフな毛に、プニプニの肉球、優雅に揺れる尻尾……どれをとっても最高以外の何物でもないからな!」
と頬を白玉の前足で押されながら、眞壁はどや顔で言った。
「先輩、おれ帰りますね。ニャンパラありがとうございます」
「おお! 感想聞かせろよ」
「はい──」
と秋乃は歩き始める。
章も、さようなら。と頭を下げ、秋乃と歩いていく。
眞壁は、見送ってから気づいた。
「……ハッ! 白玉が可愛すぎるあまり、あいつらに猫の良さを話すのを忘れてしまった!」
なんというミス! 次会ったら、最低でも三時間は話してやらないとな……。と眞壁は白玉をすりすりしながら思うのだった──
秋乃「面白いな……(買うか)迷うな~、ニャンパラ──」




