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88 ウエスタン市に向かうようです

魔物の討伐は無事に終わったようです。

 魔物の掃討は一応ケリがついたみたいなので、街に戻ることにした。グレイ達騎士団が待機している場所まで、『飛翔』で戻り、部隊を帰還させることにした。3列縦隊、10個分隊で行軍する。あの角の男のことは父上に報告することにしよう。あ、何か証拠の品があれば良かったのかな。まあ、何もなくても、話の内容から判断して貰おう。


 ネオ・ディオール市に戻ったら、大勢の市民の方から感謝の言葉がかけられた。アイル村とレイトン村の方々3000名近くの人々は、市内の知り合いの家に身を寄せるか、教会や市で提供している集合住宅の空き家などに住んでいるが、慣れない都会暮らしで、かつプライバシーなど皆無の生活環境で、限界に近かったらしいのだ。それでも、村民から犠牲者が出なかっただけ、本当に良かったと思う。これから、村の再建を頑張っていただこう。


 フレイズ行政官から、今回の討伐に関する謝礼の話がでたが、もちろん、今回はウエスタン侯爵の寄子であるディオール男爵の領内の問題ということで、支援するのは当たり前のこと、謝礼などいらないと断っておいた。


 宿に戻ると、ベス嬢がスザンヌさんやジュリちゃんと一緒に木刀を振っている。え、どうしたのと聞いたら、これからの貴族家当主やメイドは、ある程度の戦闘力が必要だというのだ。まあ、気持ちはわかるけれど、スザンヌさんは、絶対にやめた方がいいと思う。もう、今から始めても、強くなるわけもなく、年齢を考え・・・ブホブホブホ!まあ、ある程度の運動は健康にもいいからね。特に、スザンヌさんは、しっかりとウエイトコントロールをしたほうが・・・。あ、スザンヌさんと目が遭ってしまった。異様なまなざしが痛い。すみませんでした。


 そう言えば、最近、自分のレベルを鑑定していなかったね。一応、確認してみようか。無詠唱で『鑑定』をかけてみる。


   フレデリック・フォン・ランカスター・ウエスタン

   アスラン暦458年2月14日生まれ(8歳8か月)

   人間族 男性

   レベル 21

   HP  3,953

   MP  9,938

   攻撃力 4,205

   防御力 3,008

   魔法適性 全て

   称号:日本からの転生者

      神童

      ドラゴンマスター

      聖剣使い

      ゴーレムマスター

   スキル:剣道錬士6段

   逮捕術上級

   高校教諭(体育)

   中学教諭(体育)

   テイム(中級)

   飛翔(中級)

   瞬動(上級)

   鑑定(上級)

   空間操作(中級)

   神の加護

   錬金術(超級)


 かなり上昇している。称号に『ゴーレムマスター』って、いったい誰が呼ぶんだろう。まあ、ゴーレムを301体、あ、馬も入れると321体も作ってしまったんで、そのせいで着いたんだろう。そういえば、ベス嬢のレベルっていくつなんだろう。図らせてもらっていいかな。やっぱりレディだからまずいかな。取り敢えず、聞いてみることにする。


   「ベスちゃん、君のレベル、測ってみていいかな。」


   「えーっ?恥ずかしいからいや。なんで、測りたいの。私の秘密を知りたいの?」


  いえ、まったく深い意味はないんですが、でも、そう言うと絶対に起こるから、


   「えーと、ベスちゃんのすべてを知りたいんだ。」


 心にもないことを知らっといえるのが、アラフィフ近くの男子です。ベス嬢、顔を真っ赤にして、


   「しょうがないなあ。全く。」


 と言って、両手を出してきた。えーと、別に水晶玉に触れるわけでもないので、手を出されても困るんですが、仕方がないので、私も両手を出して、ベス嬢の両手を握ってあげた。そのまま。『鑑定』をしてみた。


   エリザベス・フォン・メルボルン・アスラン

   アスラン暦459年5月28日生まれ(7歳4か月)

   人間族 女性

   レベル 2

   HP  12

   MP  31

   攻撃力  9

   防御力 13

   魔法適性 水、風、聖

   称号:なし

   スキル:料理(初級)


 うん、こんなもんだろうね。10歳の洗礼を受けるときに、魔法適性が3属性もあると分かって、きっと大変な騒ぎになるんだろうね。まあ、でも全属性持ちの私としては、そんなことは大した問題ではない気がするんだけど。あ、今度、属性を隠す魔道具でも作ろうかな。『隠ぺい』や『隠密』のスキルを魔道具にうまくはめ込むとできそうな気がするんだけど。


   「ベスちゃん、魔法適性に『聖魔法』があるって知っていた?」


   「え、聖魔法?初めて聞いた。それって癒しの魔法のこと?」


   「そう、あれ、今、魔法の先生から習ってないの。」


   「えーと、私の魔法適性は、水だって言われて、水魔法しか習っていないよ。」


   「でも、そのほかにも風と聖の適性があるよ。」


   「うーん、あのね、魔法の適性の検査って、一つずつ属性魔法を使ってみるんだけど、私は、火がダメで、次に水の魔法を唱えたら、水が少し出てきたんで、水属性があるって言われたの。それで、それからは水魔法しか教えてもらっていないの。」


 普通、魔法適性は、一つあれば良い方で、生活魔法も、大体は1つだけしか使えない。生活魔法で便がいいのは、『火』と『水』くらいで。風と土は使いどころが少ない。風は、せいぜい洗濯物を早く乾かす位だし、土魔法は、穴掘りが楽になる位かな。ほとんどの人は、魔力が足りなくて、威力のある魔法は使えない。えーと、ベス嬢には魔法の基本から教えてあげようかな。


   「ベスちゃん、魔力を手の先に集められる。」


   「うーん、なんとなく。」


 ベス嬢、手を前に差し出して、顔を真っ赤にして魔力を集めている。ああ、かなり無駄な力を使っているね。指の先がプルプル震えているけど、魔力がほとんど移動していない。


   「じゃあ、そのまま、ウオーターの魔法を使ってみて。」


   「水の精霊よ。その力を我に示したまえ。大いなる力を顕現せよ。フウオーター。」


 指の先から、ポタポタと水の雫が垂れてきた。コップ一杯の水を出すのに、5分位かかってしまうだろうな。魔力が少ないのも原因だろうが、根本的に魔力の操作がまるで出来ていない。これでは、魔力が無駄に拡散してしまい、空中の水分を集約するという現象を引き起こせないのだ。


   「分かった。もういいよ。ベスちゃん、手の平を上向きにして前に出してみて。」


 素直に手を前に差し出す。私は、その手の平に私の手の平を重ねて、ベス嬢の魔力を感じ取ってみる。うん、胸の奥に魔力が溜まっているね。不安定に揺らいでいるようだ。私は、自分の魔力を少しだけ流し込んで、ベス嬢の魔力と融合させてから、胸からお腹、そして、背中から左右の腕に分散させて、それからもう一度、胸の奥に格納する。私の魔力と一緒になったので、今なら魔力量が30位に復活しているだろう。


   「なんか、温かいものがグニャグニャ体の中を這いまわっているわ。気持ち悪いね。」


   「それが魔力なんだよ。魔力は魔素のエネルギーだから温かいんだ。さあ、今度は、その温かい塊を自分で動かしてごらん。」


   「えーと、その訓練って、フィレ君の手を重ねながらやるの。」


 あ、顔が真っ赤だ。可愛い。でも、どうしようか。


   「うん、ベスちゃんが、その方がやりやすいというなら、このまま練習してみるよ。」


 本当は、まったく必要ないのだが、本人がその方がやりやすいなら、特に断る必要はない。ベス嬢、顔が赤いのは、魔力を動かすのに集中しているだけではないようだ。うん、私は、何もしていないが、かなり素早く動かしている。これくらい動かせれば、指先に魔力を集中させることも容易いだろう。あとは、魔力を消費するための魔法の訓練だけど、取り敢えず風魔法を使わせてみよう。威力の弱い風魔法なら、扇風機代わりになるし、水魔法のように室内が水浸しになることもないもんね。それと、水魔法と風魔法を使いこなせれば、そのうち希少な雷魔法を使えるようになるはずだ。あと、聖魔法、これは実践が難しいが、機会あるごとに少しずつ使っていくしかないだろうね。


 さあ、それじゃあ、ベス嬢の魔法訓練をしながらウエスタン領に向かいますか。

オートマトン兵の強度レベルはCランク程度でしょうか?でも不死という点を考慮するとBランク以上になります。

次話は、明日6:00に投稿します。

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