35 5歳になったらいろいろあるようです
今回から第二章少年期のスタートです。5歳から少年と言うか疑問ですが、一つの区切りとしています。
フレデリック君の鍛錬も本格化していきます。ランカスター市での日常も鍛錬のようです。
その日の夕方、ランカスター市に到着した。
ランカスター市の北門に着いた時、門の前には領地騎士団が100名程整列して私達を迎えてくれた。勿論、ブルーム殿下が一緒だからだ。王族が来るのに、お迎えが無いなど不敬な事をここの領主代表がする訳ないのだ。まあ、領主代行といっても、叔父上、つまり父上の弟君なんだけどね。
叔父上は、準男爵位を叙爵していて、領地こそないが実質的には、この侯爵領を統治している。名前はブラスト・フォン・ランカスターと言い父より3歳下の27歳だそうだ。
ジョルジュ兄と共に、北門の中に入った所で待っていてくれた。すぐにブルーム殿下にご挨拶をしたが、膝をついての臣下の礼はせず、右手を左胸に当てて礼をする貴族の礼をするにとどめている。これは当たり前のことで、国王陛下と貴族は主従関係にあるが、皇太子殿下と言えども、国王陛下以外の他の王族は礼節を持って接するが、主従関係にはないので臣下の礼は取らないのが普通だ。
そのまま領主館つまり我が家に入るが、いやあデカい。メルボルン公爵の領都邸もデカかったが、同じくらいデカい。もうお城ですね。完全に。跳ね橋を渡って、正門を通過してから5分は揺られていた気がする。漸く、お城の正面玄関前のアプローチに到着したが、まあまあ外階段の下から城内まで赤絨毯が敷かれ、両脇にはメイドさんや執事さんがズラッと並んでいる。聞けば、お城の使用人だけで100人以上いるそうだ。その他に、領地政府や市役所で勤務する職員もいるので、平素ブラスト叔父上が配下にしている人間は500人以上にもなるみたいだ。ふう。
そのまま、場内の応接室に案内される。お茶が準備される前に、ブラスト叔父上の家族が紹介された。奥様と長男、次男それと長女だ。長女は乳母が抱いているところから、最近生まれたのだろう。長男のライル君は9歳、次男のヤリス君は5歳という事だった。ジョルジュ兄達とブルーム殿下以外の男の子とは、新年会以外で会う事はなかったので、なんか新鮮な感じだった。ライル君とジョルジュ兄は仲が良いらしく、なんか冗談を言い合っている。ヤリス君は、グレンベル兄のように控えめな感じだが、体付きはまあまあしっかりしているかな。
家族の紹介が終わったら、父上からの手紙をブラスト叔父上に渡し、母上からのお土産を奥様に渡す。マシュマロ詰め合わせとドレス、それと宝飾品のようだ。ライル君達には、普及品のリバーシと木刀2本だ。お土産に木刀って父上のセンスを疑うけど、喜んでくれたからいいか。
ブルーム殿下が微妙な顔をしている。聞けば、何もお土産を準備していない事を気にしているらしい。うーん、『そんな事を気にしないで。』と言いたいが、それじゃあ納得いかないだろうから、『将来、ライル君とヤリス君を、ブルーム殿下の臣下にしてあげる約束をしたら良い』と教えてあげた。
そう聞いたライル君達は、早速、ブルーム君の前で跪いて臣下の礼をとった。目がマジなので本気だろう。良かったね。ブルーム殿下。
ライル君が、私は臣下の礼を取らないのかと聞いて来たので、『私は、ブルーム殿下の友達だし、将来も臣下になる予定はないよ。』と答えておいた。ブルーム殿下が国王になったら、勿論臣下になるんだけど、それは今のところ未定だよね。
ここには一度も来たことは無かったけど、私が生まれた時、私の部屋が決まっていたらしい。私の部屋は、2階の東の端の部屋で、執務室と寝室が続きになっている。勿論、バス、トイレと簡単なキッチンが付いている。いえ、これって日本じゃあ1LDKって呼ばれてますけど。しかも日本じゃ考えられない位広いし、寝室に備え付けられたクローゼットルーム、20畳位ありますよね。服は全然無いけど。ベランダに出てみると、前庭が一望出来るし、これ、都内の億ション級ですよ。
シュナちゃん、部屋の中で走り回っていたけど、疲れ切ったみたいで、ベッドに飛び上がってくつろいでいる。勿論、シュナちゃん用プライベートスペースは部屋の隅に用意されており、すでに使用済みだった。そう言えば、シュナちゃんって、来た時からトイレットマナーが出来ていたよね。誰に教わったんだろう。ジョルジュ兄の部屋は、中央階段を上がった正面の部屋だし、その隣がグレンベル兄の部屋。僕の隣がアリスちゃんの部屋になっている。
ブルーム殿下の部屋は本来3階なんだけど、3階はVIPルームとなっていて、今のところブルーム殿下しか泊まらない。それって寂しくないって思ったら、やはり寂しかったらしく、結局、私の部屋で一緒に寝ることになった。まあ、お世話するのもスザンヌさんだし。あ、使用人達は別棟の宿舎があるんだけど、侍女、侍従など専属の使用人と家令やメイド長、コック長など高位使用人達は4階の専用部屋で寝起きするらしい。1階は正面がバンケット用の大広間と応接室が幾つか、それと会議室が大小いっぱいあって、ダイニングもメインやティールームなど絶対に使いきれないくらいある。後、厨房が一番奥にあって500人程度のパーティーにも対応が取れる規模らしい。地下1階は武器庫や食材庫で、籠城した時の備えも万全らしい。地下2階は牢獄や子供が見てはいけない部屋があるらしいけど、興味はないから見ないことにした。
5階は、予備の部屋っていうけど、ガランとした大部屋が幾つかあるだけで、まだ間仕切りもしてない感じだった。叔父上が、戦争の時の作戦司令室や将校控室になる予定だと教えてくれた。物見用の尖塔が4隅に立っているのはこの国のお城の仕様なのかも知れない。1本だけ真ん中に立てた方が合理的だと思うんですけど。
本館の北側が前庭になっていて、私たちの部屋はすべて北向きになっているのは、王都の方向が正面ということもあるけど、冷房装置のない建物では、日当たりよりも夏の過ごしやすさを優先するためらしい。でも、私の部屋は東の角部屋のため、夏の午前中は暑いんだろうね。
東側は広大な練兵場になっていて、馬場も兼ねた周回路も設けられている。周回路は800m以上ありそうだけど、誰も走ってはいないみたい。西側は、屋内練習場と馬房それと馬車の倉庫が建っている。本館の裏、南側には使用人棟と兵士棟が建っており、使用人棟の1階は領政全般を司る役所になっていた。
到着して、次の日、ブルーム殿下と一緒に城内探検に出かけたんだけど迷子になったのはお定まりのコースだよね。
ブラスト叔父上達も2階の西側棟で暮らしているが、私たちのような豪華な部屋ではなく、通常の部屋の仕様となっている。これはライル君達は将来平民になる予定なので、その心構えのためにも部屋のランクを落としているらしいんだけど。幾らランクを落としたとは言え、領主代行の家族だ。全室、バス・トイレ付きなのは当然だろう。と言うか、2階、3階にバス・トイレが付いていない部屋なんて、会議室と蔵書室、美術室くらいかな。
翌日から、早速トレーニングだ。起床は朝5時、準備ができたら屋外練兵場で駆け足。目標は10キロだが、最初は3キロから始めよう。それからラジオ音声のないラジオ体操とお互いに協力してのストレッチだ。午前6時、未だ陽は昇らないが部屋に戻ってお風呂で温まる。
午前7時、朝食。午前8時、屋内道場で木刀の素振り300本。それから2人で打ち込みの練習。午前10時、お茶の時間。午後11時、筋トレ。まあ腕立て伏せと腹筋、それと相手を背負っての駆け足なんだけど。
お昼を食べたら、お昼寝。午後2時からお勉強。午後5時、屋内道場で素振りと打ち込み。午後6時夕食。午後7時からお風呂と自由時間。午後9時就寝。
私にとってはぬる過ぎるメニューだが、ブルーム殿下の上達次第でメニューをきつくして行く気だ。まあ、どれくらいの期間一緒にいることが出来るか分からないが、私自身の鍛錬はブルーム殿下が王城に帰られてからで十分だろう。
翌日、早速早朝から鍛錬だ。しかし、寒い。幾らなんでも、こんなに寒くてブルーム殿下に風邪をひかせては何もならない。ライトボールと共にファイヤーボールを宙に浮かばせる。それで風魔法でダウンブローを弱くかけておく。うん、小春日和だ。さあ、走りましょう。しかし、他人が見たら不気味かな。ギラギラ明るい光球と真っ赤に燃えている火球が地上5m位の高さをユラユラ揺れながら、私達の頭上を付いてくるんだから。
鍛錬も大切ですが、お勉強もしましょう。
次話は、明日午前6に投稿予定です。
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