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155 王室の新年会に行くようです

今回は、国王陛下主催の新年会の模様となります。

 アスラン暦471年1月5日、王都近辺に居住する貴族が王城に集まり、国王陛下主催の新年祝賀会が開催される。王都から遠く離れた領地にいる貴族は、領民達との新年会や主要貴族が開催する新年会に参加ののち、王都へ来て、王族や閣僚との新年祝賀交歓会に参加する予定となっている。もちろん、私は1月5日の新年祝賀会に参加する予定だが、なんと、あのカトレア嬢まで参加するそうだ。準貴族の方々は当主のみの参加が慣例となっており、男爵、子爵の方はご夫妻で、伯爵は12歳以上の嫡子まで、侯爵は12歳以上の子息と令嬢が参加することになっている。


 私は、侯爵として参加なので、婚約者のベス嬢と一緒だが、ベス嬢は公爵家の嫡孫なので、5歳から出席しているそうだ。学院の同級生で出席するのは、アレックス君とビビイ嬢それと伯爵家の嫡子2名のみが参加するそうだ。この日のために礼装を準備して貰ったが、伸び盛りの私にとって、今回オーダーした侯爵用の礼装は、きっと直ぐに着れなくなってしまうだろう。もったいないと思うが、これも貴族の務めとあきらめるしかないのかも知れない。しかし、金貨12枚がカトレア嬢の実家であるローズウッド服飾店だけが受注しているのも気に食わないが、あの店の素材と縫製技術は他を抜きんでているので仕方がない。というか、地方貴族の方々も、大体、ローズウッド服飾店に発注しているらしいので、超独占企業というわけですね。


 そのローズウッド服飾店のカトレア嬢だが、父親は準男爵なので、当然、新年祝賀会には参加できないそうだ。だが、カトレア嬢は、この前の魔術大会においてイリュージョン部門での高評価により、国王陛下直々のお声掛かりで、祝賀パーティでのアトラクションとして出演するらしいのだ。それでも、単なる芸能としてではなく、正式な招待客として参加するので、準男爵家としてはとても名誉なことだろう。


 王城には、ウエスタン侯爵家の馬車で登城したが、同乗のベス嬢は、薄紅色の公爵家礼服ドレスに、左肩から公爵家のシンボルカラーである紫色のサッシュを掛け、高く結い上げた髪には、まばゆいばかりのダイヤやルビー、エメラルドで飾られたティアラを付けている。まあ、胸は、12歳の少女らしくとても、そうとても控えめであるが、それでもとても豪華でかつ可愛らしい。もちろん、会って直ぐに、服装を褒めたのは紳士としての嗜みです。


 私のサッシュは、公爵家のシンボルカラーのエンジ色だ。伯爵家は茶色がシンボルカラーで、子爵家はサッシュではなく大きな白色ロゼッタを左胸につけている。男爵家は、青色ロゼッタとなっているが、大きさは伯爵家より少し小さくなっている。また、貴族家当主は、右胸に貴族章を付けているが、これも位によって大きさが決められているようだ。


 会場は、王城2階の大広間で、ここは貴族が12歳になった時のお披露目会場となった、王城内でも最大の部屋だ。入って正面が国王陛下御夫妻の席で、その横には3人の王子殿下とブルーム殿下の母君であるシンシア様が並んでいる。反対側には公爵家の御一同が並ばれているが、クリスティーナ様は、本日は欠席されている。もう、結核は完治したはずだが、やはり世間的には公式の場への出席を控えていらっしゃるのだろう。


 国王陛下の新年のご挨拶で祝賀会が始まった。公爵家から順に国王陛下御夫妻に挨拶をするが、侯爵家以下我々は、国王陛下への挨拶が終わってから、王子殿下と公爵閣下への挨拶をする。侯爵家の挨拶が終われば、一旦、挨拶は中断し乾杯となるのだが、各侯爵家と辺境伯ごとにテーブルが決められており、その周囲には麾下の貴族達が取り囲むようにしている。ゾリゲン男爵やシュリンガー男爵は私のテーブルに来たが、カトレア嬢も私の側に来た。彼女の実家のローズウッド家は王都で商売をしているので、寄親の上級貴族もなく、この会場で見知っているのはブルーム殿下と私ぐらいだそうだ。えーと、ビビイ嬢や学院の同級生もいるはずなのだが、それぞれご両親と一緒なので、近寄りがたいそうだ。まあ、気持ちはわかるけどね。ベス嬢にカトレア嬢を紹介したのだが、何故か笑顔が固い。あのう、若しかして怒っています?


 でも、カトレア嬢のいつものグイグイ来る人懐っこさで、ベス嬢も段々笑顔が戻ってきて、30分もしない内に、会場内の女の子たちとグループを作ってしまったのには、驚いてしまった。そう言えば、ベス嬢の女のお友達って誰なんだろう。小さい時から、私の屋敷に来たり公爵邸に行ったりしかしていないので、会ったことがないような気がする。そういう点では、カトレア畳とお友達になってくれたらうれしいかも知れない。


 最近は、アンドレイ殿下とブルーム殿下も仲良くなり、どちらが皇太子殿下になるか分からないが、各貴族は、両方と仲良くしようと、二人の前には長蛇の列ができていた。まあ、王族としては仕方がないことなので、頑張ってくださいね。あ、これは宰相から超秘密事項として聞いたんだけど、どうやら今年の国王誕生日のときに、アンドレイ殿下を王太子として再任することになるらしいのだ。そして、ブルーム殿下はブレーメン公爵かカインズ侯爵の所領を引き継ぎ、新たに公爵家を立ててアンドレイ親国王の補佐にあたることになるそうだ。


 各貴族の挨拶が終わり、後は歓談に移っていた際に、いよいよカトレア嬢のアトラクションが始まった。会場の照明が落とされ、左奥に作られた舞台の緞帳が上がっていく。音楽は、それまでのゆったりとした宮廷音楽から、E. エルガー作曲の行進曲『威風堂々』第1番に変わっていた。スポットライトの中、カトレア嬢が部隊の下手から登場するが、衣装は、貴族服から、派手やかなステージ衣装に着替えていた。白地に紺色のセーラーカラー、そして真っ赤な大きなスカーフをリボンにして胸につけている。スカートは、極端に短いプリーツスカートで、真っ赤なブーツと、肘まである真っ白な手袋の赤いポイントが可愛い。髪型も、ウイッグなのだろうか、腰まである金髪のツインテールで、頭のお団子にも真っ赤な髪飾りの玉が付いている。まるで、前世のアニメ『美少女戦士セー〇ー・〇ーン』のパクリに違いない。舞台上では、スモークが焚かれ、そのなか、妖精のようなカトレア嬢が踊り始めた。2分位たっただろうか、曲の変わり目で、大きく手を振り上げると、たくさんの鳥が出現する。風魔法で空気を回転させながら形を作っているのだろうが、細かな魔力制御が必要であり、あんなに緻密な制御は私でも直ぐにはできないだろう。舞台上を小鳥が飛び交う中、今度は蝶々が飛び始めた。小鳥と蝶々の乱舞するなか、赤、青、黄色の華やかなライトに幻想的に浮かび上がってくるのはたくさんのバラの花だ。その花が舞台中に広がるとともにカトレア嬢の歩く後から蝶々が付いてくる。そして、BGMの曲調が変わった瞬間、一瞬で、すべての減少が消えてしまった。


 次に、部隊の床からモクモクと首をもたげてきたのは、竜の頭だ。いや、あたまだけではなく全身まで床から出てきた。細かな鱗まで再現しているが、あれはいったいどうやっているんだろうか。そして、カトレア嬢の踊りとともに、スモークの龍は右に左にと舞台上を飛び回っている。まるで、長崎のお祭り『長崎くんち』で演じられる龍の踊りのようだが、それが支えもなく空中で踊っているのだ。会場中の皆が、その美しさ、楽しさに盛大な拍手をしている。そして、最後の演目は、雪景色だ。雪の結晶が天井から次々と落ちて来るのだが、あんな複雑な幾何学模様をどうやって作っているのだろうか。次々と落ちてくる雪の結晶は床にあたると、直ぐに消滅していくのだが、雪景色がおわると、背景は桜色に変わる。今度は桜吹雪だ。細かな桜の花びらが右に左にと風に吹かれて舞っている。


   「きれい!」


 ベス嬢がうっとりと見とれている。ベス嬢だけではない。会場中の皆が魅了されている。「音と光のイリュージョン」は、大成功だったようだ。万雷の拍手の中、カトレア嬢は退場していったが、アンコールの拍手が鳴りやまない。しばらくしたら、カトレア嬢が再度、ステージに出てきた。曲は、 フレデリック・ショパ作曲のワルツ第6番変ニ長調作品64-1だ。一般的には『子犬のワルツ』で有名だが、このアップテンポな曲に合わせて、カトレア嬢が後ろ向きに歩き、カトレア嬢の周りをスモークで象られた子犬がじゃれついている。右に左に楽し気に走り回る子犬を見ていると、とても風魔法で作られているなんて信じられない。


 ベス嬢が、


   「フィレ君、私にもあんな子犬を作って。」


と言っていたが、いや、それって無理ですから。私とは魔法の方向性が違いますし。それに、シュナちゃんがいるから、必要ないと思うんですけど。


いやあ、カトレア嬢の魔法制御力、半端ないですね。

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[気になる点] ひたすら情報を載せてるだけ [一言] FFの解体新書と同じ 君は知識を自慢し悦に浸ってる  映像をひたすら文字化するとこの様な文章になる悪い例 読者に取って不必要な情報が7割 この…
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