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154 家政専科も魔法が使えるようです

 この回は、カトレア嬢サイドで進めます。

 私は、カトレア・ベルノ・ローズウッド。王立学院家政専科1年に在学しているんだけど、実は私には前世があって、。そう、ラノベでよくある『異世界転生?』ってやつかな。私の前世って、ちょっと、いいえ、かなりショボいの。19歳で交通事故で死亡するまで、普通、いえ普通よりもちょっと残念な人生だったわ。スポーツは好きだけど、体力がないだけじゃなく運動神経も鈍くて、何をやっても皆のお荷物。ピアノや絵画も習っていたけど、小学校の低学年まででやめてしまった。中学校では卓球部に入っていたけど、一度も試合に出たことはなかった。常に補欠その2だったわね。高校は、近くの女子高で帰宅部だったので好きなテレビゲームやラノベにはまっていたわね。もともと勉強が嫌いだったから大学なんか行きたくなく、コンビニのバイトでもしていようかなと思っていたら、両親がどうしても大学に行けというので、夏のオープンキャンパスに行けば、入学許可が貰えるFランクの女子大に行ったんだけど、19歳の時に、自宅に帰る途中に居眠り運転のダンプに挽かれて、そのままこの世界に転生してしまったの。


 ラノベなら、転生する際に神様からいろいろスキルを貰ったりするようだけど、私の場合には何もなし。本当に何もなかった。それって神様的にどうなのと思ったけど、7歳児の少女に転生してから5年、結構、転生特典があったみたい。まず、前世の記憶とこの世界の記憶を持っているというだけで、かなりチートよね。だって、21世紀の日本の知識があるって、それなりに便利じゃない?それと、裕福な大商人の一人娘ってだけでも絶対にお得よね。あと、ピアノもきちんと弾けるし、絵画も普通以上に上手にできる。もちろん、服飾店の娘として裁縫も人並み以上にできるし、あと料理かな。前世では食べるのは好きだったけど、作るのはノーサンキュウだったけど、この世界では、才能があるみたい。何を作っても、プロ級の腕前なのには笑えたわ。


 でも、なんといっても剣術スキルと魔法スキルがきちんと芽生えてくれたことには感謝しているの。しかも商人の娘にしては異常な位のレベルで。これで、この世界でもなんとか生きていく自信がわいてきたの。剣と魔法のファンタジーの世界では、人の命は紙よりも軽く、普通に旅をするだけでも、死と隣り合わせなんて信じられないわよね。


 あと、びっくりなのは、私が前世でハマっていた乙女ゲーム『恋はバラ色の香りとともに』のヒロインと同じ設定なのは笑えたわ。これって絶対神様が手を抜いたわよね。でも、同じなのは設定だけ。ストーリー進行は全く違っているみたい。ヒロインの私には攻略対象の王子様、この世界ではブルーム第三王子殿下なんだけど、その王子様のほかに、攻略対象として幼馴染のクリス君がいるはずなんだけど、半径1キロ以内にはそんな子はいないし、幼年学校でもそんな子は在学していなかった。町で苛めっ子にいじめられている時に助けてくれる設定かなと思ったら、外出時はメイドのエバさんと執事見習いのマッシュ君が一緒なので、そんな状況が発生するわけもなく、王立学院入学時まで幼馴染のクリス君とは会えずじまい。


 王立学院では、設定では貴族専科に無理無理に入って攻略対象に接触するはずが、そもそも準男爵では貴族専科に入れなかったし、攻略対象のブルーム殿下は1学年上で接点はないし。あと、殿下の取り巻きもイケメン、ナイスな上意貴族子息がいるはずだったんだけど、殿下の周辺にはデブ、ガリ、メガネの3人しかいないし。あ、殿下と仲のよい侯爵閣下がいるんだけど、彼って、『恋バラ』には出てきていないんだよね。それに公爵令嬢の婚約者がいるみたいだし。あと、ブルーム殿下の婚約者の悪役令嬢がいるはずなんだけど、彼女は同級生の侯爵嫡男と婚約中でブルーム殿下とは接点がないみたい。それに悪役令嬢というよりも深窓の御令嬢という雰囲気だし。


 それでも、設定に沿ってアタックしてみようかしらと、とりあえずブルーム殿下の前を歩いてハンカチを落としたら、取り巻きのデブが拾ってくれて失敗してしまうし。クラブ活動でチャンスでも作るかと思ったら、剣術クラブなんて汗臭いクラブなんだもん。王子以外は筋肉バカしかいないクラブになんかさすがに引くわ。


 生徒会役員になって、生徒会長の殿下と接点ができるのかと思ったら、王族は役員になれないということで、その計画もボツになってしまったわ。


 しょうがないから、理由なんかなくたってアタックねと、秋になってから得意のお菓子作りでクッキーを作ってお昼休みに持って行ったんだけど、何回かやったら、例の悪役令嬢役のビビアン様からやんわりと注意されてしまって。私は知らなかったんだけど、王族や自分よりも上位の貴族には声を掛けられるまで話しかけちゃいけないらしいの。それって、私には永遠にチャンスがないじゃない。


 まあ、私の見た目はそんなに悪くないし、私の作ったお菓子も、結構喜んで食べて貰えるから、もう、攻略はあきらめて、自分の趣味に生きることにしたの。え、趣味?それって、もちろんお菓子作りと魔法少女ごっこよ。いや、ごっこじゃないわよね。魔法も使えるし、剣術もそれなりなんだもの。これって、完全に魔法少女じゃない?


 野外訓練の時は、クラスのみんなはバックアップ要員としてキャンプで待機だったんだけど、私だけ討伐組に入らせてもらったの。まあ、この森のレベルなら危ないことなんかないと思うんだ。でも、皆さんにクッキーを上げようと思って、先週の日曜日に大量の下ごしらえだけしておいて、前日に焼き上げたんだけど、午前3時までかかってしまったのは予定外だったわね。でも、前の世界でもゲームで2徹したことがあるので、まあ、平気だったんだけど。


 訓練中は、魔法少女ルックで頑張りたかったんだけど、学年代表のフレデリック侯爵閣下に注意されてしまって、本番では普通の冒険者セットになってしまったの。でも、ショートソードだけは魔法少女用の華やかなものにしてしまったので、なんか合わない感じだったけどしょうがないわよね。討伐した魔物は猪と豚の魔物だったけど、猪と豚って同じ仲間よね。哺乳綱偶蹄目イノシシ科のはずなんだけど、猪は、ワイルド・ボアという猪に近い魔物だし、豚はオークと言う亜人になるなんて、謎ね。まあ、両方とも大した魔物じゃないから、見つけ次第殲滅できるんだけど、あまり頑張ると他の人の訓練にならないから、弓でけん制する程度にしておいたわ。でも、最後の方では数が多かったので風魔法も使ったけど、本当に、軽く使っただけにしておいたの。


 魔法は、魔法少女を目指す私としては必須なんだけど、あくまでも商人の娘として平素は普通の女の子をしなければならないから、あまり派手なのはできないわよね。でも、学院の魔法大会ではそうもいっていられないので、それなりに頑張ってみることにしたの。私のクラスは家政専科なので、ほとんどの方は生活魔法を一つ使えるだけ。ライトかファイア位で、魔力も少なく魔道具を使わなければ魔法が発現しないレベルの方たちばかり。そんな中で、魔術大会を迎えたの。私たちのクラスで、30m先の標的まで魔法をぶつけることができるのは私だけみたいで、あとは、目の前に炎やライトを出すだけで精いっぱいみたいだった。まあ、参加することに意義があるのよね。でもイリュージョン部門だけは、なんとか見せ場を作ってみることにしたの。一応、クラスのメンバー全員に魔法少女アンドネズミの子供が魔法使いの弟子をする映画をまねた衣装を着せて整列させたんだけど、ダントツで魔法少女ルックの方に人気が集まっていたわ。まあ、我が『ローズウッド服飾店』の総力を挙げて作って貰ったんだけど。


 皆は、整列して、BGMに合わせてダンスをするだけ。あ、BGMは、初版の『幻想即興曲』にして貰ったんだけど、かなり難易度が高いみたいで、ピアノ担当の子が苦労していたみたい。それで、私が、皆のセンターに立って、れいのワンドいえスティックを振り回すの。もちろん、風魔法で演技するんだけど、ほら、風って目に見えないじゃない。しょうがないから、あまり得意じゃないけど水魔法で色のついた水を少しだけ作って、それを風に乗せて散らすと、霧のようになって風の形が見えるようになるの。それで、大きな鳥を飛ばしたり、飛竜とグリフォンを戦わせたりとイリュージョンショーをしたんだけど、観客の皆さんから大絶賛。うん、これで家政専科の面目躍如ね。でも、やり過ぎたみたい。この後、王様から、新年の祝賀パーティに招待がかかってしまったの。

 あれあれ、カトレア嬢、思わぬところで王室と接点ができるようです。

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