四十二話:逃げられない
朝起きたら、なんか押し倒されてました。
最初はミルルンかな?って思ったよ。ミルルンならやりかねないし。
それに、ちょうど......ミルルンがフルート吹いてる夢見てたし。
そこでブレイズくんが現れて、
『ど......う......して』
『な、んで............その曲を............』
って、泣きそうな顔で......言って......。
その後はキャベツくんが現れて、ブレイズくんを持ち上げて、『宇宙旅行しようぜ!』って言いながらケーキの中に突っ込むんだけど——
いやいや、私の夢の話は今どうでもよくてね??
問題はね、私を今押し倒してる相手がミルルンじゃないってことなんですよ。
「っっっあ、のぉ......え......えぇ......?」
「...」
......小さい。あのローリエよりも小さくて、幼い男の子。
薄桃色のマッシュカットに、チョコの玉のようにまん丸で可愛らしいお目々。
お口を小さい三角形にしながら、私をぼんやりとした顔で見下ろしている。
ちなみにまったく知らない子です。今朝初めて会いました。しれっと不法侵入されてます。
初対面からベッドの上で押し倒されております。現場からは以上です。
「誰......????」
「『テオ・グッドウィン』!」
「て、テオくんね、こ、こんにち......は??」
すると、テオくんは口を丸みの帯びた『w』の形にしながら、私の胸に顎を休めてきた。
いや可愛いけどっ、可愛いけども——
「おまえ、マドレーヌかキャラメル、どっちの方がスキ?」
「へ???? し、心理テスト......??」
テオくんはニマ~~って笑いながら、私にさらに顔を近づけてくる。
全く怖くはないけど、目の圧がすごい......。
質問の意味も意図もな~~~んもわかんないけど、え、えっとぉ、
「気分にもよるけど......マドレーヌかなぁ......??」
「ふーん」
テオくんは体を起こして、私のお腹の上に座る。
小さいとはいえ微妙に重い......っ......。
「マドレーヌがスキなんだ~? へぇ~~~~~~」
「あ、あのぉ、それ知ってどうす——」
「おまえ、今日からテオの奴隷ね!」
彼は私を指差しながら、ニコニコで爆弾発言をかましてきた。
そのまま私のベッドから飛び降りたと思ったら、またすぐに振り返って、
「奴隷三号! いまからテオとあそべ! おまえどうせヒマでしょ?」
「さ、三号?? 一号と二号は誰????」
「わーーーい!!」
テオくんは私の質問に答えずに、両手を広げながら部屋の外へ出て行っちゃった。
「あちょっっっまっっっっっちょっっっ」
こ、これついて行かないと絶対ダメなやつだよね?? ちょっと待ってまだパジャマだし寝ぐせやばいし色々やばいしやばいやばいやばいやば
「三号~~~? まだぁ~~~~????」
「あの、あの待っ、待っっ」
なななななななんでいきなり知らない子と一緒に遊ぶことになってんの私??
寝起きですけど?? ていうか今日普通に授業あるし全然暇じゃない、し、
それ、に
「え、えと、さっきのっ」
「はーーーーやーーーーーくーーーーーーーー!!!!」
「さっきの質問の意図は~~~!?!?!?」
***
なんだかんだ制服には着替えられた。
でも、『なんで部屋に不法侵入してきたの?』とか『ほんとに誰??』とか『奴隷一号と二号は誰なの?』とか、そういう気になる質問をする時間はもらえなかった。
寮を出た後も、テオくんはず~~っと私の前を楽しそうに小走りしていた。
もし私がついて行かなかったり遅かったりしたら、『なんでそんなトロいの?』ってムッとしながら暴言吐いてきた。
「ね、ねぇ、どこ行くの?? 『遊ぶ』って何して遊ぶの??」
「奴隷三号はさ、なんの科目がいちばんスキなの?」
「?? じょ、『常用魔法』かな......あ、『自然浴』も好きだよ? 楽だし!」
「スケベ」
「なんで!?!?!?」
......と、こんな感じで、会話が成り立たないんですよ。
この子はローリエと違って、精神年齢と見た目が合ってる感じなんだよね......いやでも、このくらいの子供にしては、暴言のレパートリーが多すぎるような......??
「奴隷三号ってハゲてるの?」
これやもん。
「?????? は、禿げてるように見える......??」
「前髪ねぇじゃん」
「上げてるの!! ヘアバンドで!!!! ほらっ、この触覚ヘアを見なさいよっ!」
「なんで?」
「え?? え、っと......」
......改めて聞かれると、どう答えればいいのかわかんないな......。
可愛いから? まぁそれはそう。可愛くて、なんというかこれがしっくりきて、
「その......初めてネルソービューで目覚めたときから、この髪型だったから......」
「あっ、ちょうちょ! しってる? 半獣人ってちょうちょ食べるやつ多いんだよ」
「聞いてねぇなぁオイ!!」
「きもちわるいよねー! テオは半獣人にはならないって決めてるから!」
彼は薄ピンクの毛先をいじりながら、片方の頬をふくらませた。
制服のネクタイは、シアン色。ってことは、私と同じ一年生。
ってことは、実はクラスメイトだったりするのかな? 少なくとも、『自然浴』は一年生全員合同だし......
「奴隷三号は何になるって決めてるの?」
「え?? どの人外になるか??............全然決めてない......」
「奇跡の大馬鹿——あ、もうすぐ着くよ!!」
「今とんでもない暴言吐こうとしてなかった? てかもうほぼ吐いてたよね??」
相変わらずなんも聞いてないテオくんは、寮と本校舎と繋ぐレンガ道から外れて、
......森の......方へ......っっ!?!?
「ちょちょちょちょまーーーーっ!!!! 立ち入り禁止!!!! 一応立ち入り禁止の森だよ!!!! 掟で入っちゃだめって言われてる森だよ!?!?」
私はテオくんを止めようと手を掴んだ、
けど、
「っっっっいっっっつぅ!?」
なんか手のひらが冷たくなったと思ったら燃えるように熱くなって、私は反射で彼の手を離しちゃって、
「いちいちさわぐなよ、うるせぇなぁ! おまえだってもう何回も掟破ってるくせに!」
テムくんは頬をぷくーっと膨らませながら、私にキッとした目を向けてきた。
彼の手のひらには、霜が降りていて......雪結晶が小さく輝いていて.....
こ、氷魔法......? こやつ、今私に氷魔法を......?
しししし、しかも、無詠唱だとぉ......!?
「わっ......私、まだ無詠唱できる魔法一個もないのに......」
「才能ないんじゃない?」
「ドストレート暴言やめろぃ!!」
「はやく行くぞ、奴隷三号!」
今度はテオくんが私の手を掴んで、グイグイってしてきた。また氷魔法ぶっ放されるんじゃないかって一瞬ビクビクしちゃったけど、もう彼の手のひらは温かくなっていた。
森の中は危険だから、まだ抗おうと思ったけど......もうなんか、色んな意味で逆らえなくて、テオくんは相変わらず話聞いてくれなくて......。
私とテオくんは、無事(?)立ち入り禁止の森の中に入ってしまったのでした。
ちゃんと中に入ったのは、キャベツくんと一緒に入ったとき以来かな?
確かあのときは二人で『自然浴』の授業サボって、ネルソービューを探検しようってことになって......。
キャベツくんが行きたいところあるって言うから、ついて行こうとしたら(ちなみにその『行きたいところ』は、ネルソービュー学園の倉庫のことだったらしいよ)......。
あそうそう、幽霊の男の子が現れたんだ! 森の入口に現れて、私たちの方を見てて......。
それで、大馬鹿者のキャベツくんが、勝手について行っちゃったんだよね。だから私もついていくしかなくて、そのまま森の中に入っちゃって。
森の中の様子は......あのときと、変わらない。
奥へ進めば進むほど、空気が青白く染まっていく。私とテオくんの息も白くなって、テオくんの頬は寒さで赤くなっていた。
そんで、相変わらず歩きづらいの! 油断したらすぐ枝とか小石につまづきそうになるし、霧のせいで目の前に来るまで見えなかった木にぶつかりそうになったり!
宙に現れ始めた蛍たちには、生存本能が備わっていないのか、私たちから全然逃げようとしない。なんなら頬にも鼻にもぶつかってくるし、自ら口の中に入ろうとまでしてくる。人間が危険な存在だって認識してないのかな......。
「テオね、ともだちと待ち合わせしてるんだ! 言ったっけ?」
「めちゃくちゃ初耳ですが?? もしかして、その子が奴隷一号か二号......?」
「多分もうすぐ会えるよ!!」
「そ、そうなんだ......なんで森の中で待ち合わせ......??」
そもそも友達と遊ぶ約束してたんなら、なんで私と『遊ぼ』って言ってきたんだろ......?
「——あ、いた!! おーーーーい!! ヒナターーーー!!!!」
テオくんは私から手を離すと、太陽みたいな笑顔を咲かせながら、大きく両手を振った。
霧の中から見えてくる人影は、手を振り返した後、スキップするようにこっちに近づいてくる。
薄暗かったシルエットにどんどん色が付いて、『ヒナタ』くんの姿が——
「おそ——い......ぼく、たくさん——まった......。」
......え
「うそだぁ、どうせそんな待ってねぇだろ? ヒナタいっつも嘘つくもん」
「ぼく——テオにうそ、ついたこ——と、ない——。」
「嘘つき!」
............穴。
穴のような、真っ黒な両目。
穴のような口。
穴だらけの腕、首、顔。
墨が混ざっているような涙の跡。
泥だらけの素足。
ボロボロの白い服。
烏の羽のような髪。
幽霊。しかも、この子って、っ
「......あれ? みずいろの、おねえちゃん——どうして——ここ、に?」
『ずっと——さがしてる......の——......。』
『みどりの、おにいちゃん——と......みずいろの、おねえちゃん......——どこにあるか、しってる? ぼくの——さがしも——の——......。』
キャベツくんと私が、前、森の中で出会った、
『——ママ————ぼく』
『じんがいに——なっちゃった————ょ』
「......っ......テ、オくん......君の......『友達』、って......!?」
「うん!! ヒナタだよ! 地獄から来た幽霊なんだ!」
テオくんは私が後ずさるのを見ても、むしろ笑顔を深めるだけだった。
そして、幽霊の男の子——改め、ヒナタくんの手を取って、
私をビシッと指差しながら、
「奴隷三号! 今日はテオとヒナタと一緒にあそんでもらう! これはメイレイだ!!」
「えぇぇぇええぇぇぇえぇぇぇえぇぇぇぇぇえええぇぇぇええぇぇぇぇぇぇええええぇぇぇええぇぇぇぇええぇぇぇえぇぇぇええぇええぇえぇぇえぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇえええぇええええええぇぇぇえぇぇぇええぇぇぇえぇぇぇぇええぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇえ」
「テオも、みずいろのおねえちゃんも——うる、さい......みみ......いたい......。」
ヒナタくんは耳の穴をポリポリ掻きながら、頬を膨らませた。肌の穴は、呼吸をしているかのように開閉していて、なんかブクブクなってて......相変わらず......うぅっ......
ブレイズくんが幽霊だって知ってから、ちょっとだけ恐怖心は減ったけど............それでもやっぱり......。
「みずいろのおねえちゃん——ぼく、と——あそん——で......くれる——、の......?」
彼は首をかしげながら、私に一歩近づいてくる。
興味津々な顔をして......るんだと思う、多分。
少なくとも、だいぶ前に会ったときよりは落ち着いてそう......?
「う、うん、遊ぶ......らしい!よ......わ、私もまさかテオくんの友達が君だとは思わなくてび、びっくりしちゃ、ってて......」
びっくりどころじゃないよ!!!! びっくり仰天大横転だよ!!!!!!
今朝からずっとそう!! 急に知らない子に押し倒されたと思ったら?? 奴隷にされて??
遊べって言われたからついて行ったら、立ち入り禁止の森の中に連れ込まれて??
そんで、急に『友達と待ち合わせしてるんだー』って言われたと思ったら、
その『友達』が、だいぶ前に私とキャベツくんを襲ってきた幽霊と。
わからーーーーん!! なんもわからーーーーーーん!!!! 何がどうしてこうな——
「おねえちゃんなら——いい、よ。ブレイズおにいちゃん、きみのはなし——して、た。」
「えっっっっ」
「ネルソービューのせいと、だけど——すごくバカ、だから......あんまり、けいかいしなくていい、って......いって——た、よ。」
......あ......。
そ、そっ......か。ブレイズくんも同じ幽霊だもんね。この子の仲間だもんね。色々話したりするよね。
「そっかぁ......ブレイズくんが私の話、して......」
......くれ、るんだぁ~? へぇ? へぇ......??
ま、まぁ! ブレイズくんの敵にはならないって決めたし!! この子がブレイズくんの仲間なら、私もあんまり警戒してあげない方がいいよね!
この前は私とキャベツくんのこと食べようとしてきたけど!! めちゃくちゃ暴走しちゃってたけど!! テオくんの友達みたいだし、逃げられないし、遊んであげるしかないよね!
大丈夫! うん!! 多分!!!!
「よし!! 『水色のお姉ちゃん』改め、『奴隷三号』改め!! このウィローちゃんが、君たちと遊び倒しちゃるわい!!」
「すごく馬鹿だね! ヒナタの言ってた通りだ!」
「や——った~~~。」
すると、ヒナタくんは——......あっ......!
笑顔......!!
肌が穴だらけになっちゃっても、やっぱり笑顔は可愛いなぁ......!
「それじゃあ——ね、みずいろのおねえちゃん。おにごっこ——しよう、ね。」
***
「はぁっ、はぁっ......はぁ~~~~っ......ぜぇーーーーーっ......ぜぇ~~~~はぁ~~~っ」
鬼ごっこは、約三時間ほど続きました。
森の中が寒くなくなるくらい走って、あのウィローさんの喉が痛くなるくらい叫んだ結果、無事私は動けなくなってしまいましたとさ。
「っっっげほっ、ゴフェッッッ......し......死......?」
「みずいろのおねえちゃん......体力、ない——ね......——。」
「記憶失くす前はババアだったんじゃねぇの?」
私は地面に膝と肘をついたまま、好き勝手言いやがってるガキンチョ二人をキッッて睨んだ。
「ひとーーーつ! 君たち体力ありすぎ!! ふたーーーーつ!! おばあちゃんみんなが体力ないわけじゃありませんすごいおばあちゃんもいます!!」
や、やっぱりちっちゃい子供って、いっぱい体力あるもんなの......?? こんだけ走ったのになんでまだ元気なの??
「みっつーーーーー!! ウィローさんどう見ても若いでしょうが!! どう見てもババアじゃないでしょうがーーーー!!!!」
「アハハハハハハハハハッ」
「あは——はは——、はは~~~——は」
「何笑っとるんじゃーーーーっ!!!!」
テオくんはお腹を抱えながら笑った後、相変わらず舐め腐った笑顔を向けてくる。
そして、私の前でそっとしゃがんで、膝に肘を置きながら頬杖をついて、
「奴隷三号は馬鹿だね! 馬鹿で無知で馬鹿!」
「はい言い過ぎーーー!! まだちっさいのにそんな暴言吐くんじゃありま——」
「記憶を失くす前の自分が、今の自分と同じだって......本気で思ってるの~?」
「......え?」
空気が熱くなくなった。
「奴隷三号も一緒なんだね~。ネルソービューの生徒ってほとんどそうだもん。全員馬鹿で、無知で......こんな簡単なことに、四年経っても気づいてないやつだっている」
テオくんはフッて笑いながら、私のおでこに人差し指を当ててきた。
「考えたことなかった? 記憶を失くす前の自分は、ババアだったかもしれないって。赤ちゃんだったかもしれないって」
光に満ちたチョコ色の瞳に、影が落ちる。
「今ここにいる自分とは、見た目も性格も、名前すらも違ったかもしれないって」
「......え......、え......? きゅ、急に、何言って......」
さっきまでの天使みたいな笑顔が、悪魔のように、
人外の......よう、に——
「何も覚えてねぇくせに......なんで今の自分が、ネルソービューに来る前の自分と同じだって、言い切れるの?」
「——、っ」
......記憶を失う前の自分が......
ネルソービューで目覚める前の自分が......今の私と、違う......?
わ、かんない、わかんないなんで、なんで、そん、な、
あれ......? 前もこういうことあった、よう、
な
『あんたは、自分の体が、自分のじゃないって思ったこと......ある?』
『なんていうか......ネルソービューに来る前——記憶を失う前のあーしは、全然違う体やったんやないか、って』
「、っっ」
「心当たり——あるんだ、ね......。」
ヒナタくんは、テオくんの隣に座る。
黒い玉のような目を細めて、口を三日月のように広げて、
笑って、
「ねぇね——ぇ、みずいろのおねえちゃん。テオにおしえてあげた——こと、おねえちゃんにも......おしえて、あげよう——か。」
「おねえちゃ——んはきっと、しんじつ、から——にげられない、ひとだと、おもうから。」
「ブレイズおにいちゃんは——とっくに、しって——るこ、とだよ。」
「しらないのはネルソービューの、せいと——だけ、だよ。」
「おしえてあげよっか。」
「おしえてあげようか。」
「ネルソービューの、くさった——ひみつ、ぜぇ~~~~~~んぶ。」
ヒナタくんの、真っ黒な目が、伸びて......近づい、て
「きになる——で、しょ? きになるよねぇ?」
「しりたいよね? おねえちゃんはまだにんげんだから、おしえてあげる。」
「そし——て。」
「いっしょに。」
「じんがいを、みなごろしにしようね!」
「わ たし
私
は
」
「アーーーーーーー!!!! テオてめぇっ、こんなところにいたのかよ!?!?」
視界が黒くなくなった。
「やっっっっっと見つけた!!!! ったくよォ、どんだけ探したと思ってんだ!!」
空気も重くなくなって、頭も晴れて、まるで何かが祓われたよう、な、
「!? なんでガーディナーまでいんだよ!? 駄目だろテメェら、森の中に入っちゃ!! 掟違反だぞ!!」
「......っ、あ、きゃ、きゃべつ、く......っ」
声がうまく出ない。
辺りを、見る。
......ヒナタくんがどこにもいない。
森の中にいるのは、キャベツくんと、テオくんと、
私、だけ......、
「ちょっと、奴隷一号! 邪魔しないでよ! 今すっごく良いとこだったのに!!」
「良いとこォ~~~?? テメェら一体何してたんだよ?」
「ばかばかばーーかばーーかばーーーかばーーーーーーか」
「馬鹿っつった方が馬鹿なんだよばーーーーっか!!」
キャベツくんは暴れるテオくんを両手で持ち上げて、抱っこ、して、
「おいガーディナー、大丈夫か? 何そんなとこで座り込んでんだよ?」
「......きゃ、キャベツ、く......ん......っ......」
「お......おい、ほんとに大丈夫か? 顔色やばいぞ......?」
「わ、私、は」
『テオにおしえてあげた——こと、おねえちゃんにも......おしえて、あげよう——か。』
「だ、だいじょう、ぶ」
『おねえちゃ——んはきっと、しんじつ、から——にげられない、ひとだと、おもうから。』
「私は大丈夫、だか、ら」
『おしえてあげようか。』
『ネルソービューの、くさった——ひみつ、ぜぇ~~~~~~んぶ。』
「そ、そんなことよ、り、な、なんでキャベツくんがここ、に......?」
「おぅ、それは......テオのこと探してて......」
『しりたいよね? おねえちゃんはまだにんげんだから、おしえてあげる。』
『そし——て。いっしょに。』
「ふた、りって、し、知り合いな、なの............?」
「一応な? こいつはオレの、なんだっけ、『マスター』? とにかく『奴隷』の反対で、」
『じんがいを、みなごろしにしようね!』
「オレのルームメイトだ! そういや紹介したことなかったな!」
テオくんは、キャベツくんに荷物みたいに抱えられながら。
私に向かって、べーーって、舌を出してきた。
次話:知りたくなかったな
です、だんだん真相に近づいていきます




