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二十三話:ローリエ・ローリエリエ・リリリリリ・ロロロロロ・ローリエリリリローリ

「なんで速攻はぐれんねーーーーーーーん!!!!!!!!」



あらすじ!

『ネルソービュー・マーケット』をいつメンで楽しんでたら、キャベツくんとミルルンとはぐれちゃった!



「だぁぁぁあああもぉぉぉぉおおおおお!! あいつらいつの間にいなくなりよってっっっ」



ローリエは肩をガクッと落として、マーケットの楽しげな音楽も貫通するほどのため息を零した。空へ伸びるサーチライトを睨むべきなのか、足元に落ちた紙吹雪を踏み潰すべきなのかわからないって顔してる。



「なに? 自由?? 自由か?? どーせ各々好きな店勝手に入ってってそのまま迷子になったんやろなもーーーーほんまにガキっ、どいつもこいつも」



えっと......これ、慰めてあげた方がいいやつだよね......?



「ま、まぁま——」



——————待てよ?



どっか行っちゃったミルルンとキャベツくんが子供ってことは、ちゃんとローリエの元に残った私は大人ってこ・と?


私、あの二人より上ってこと!? ふーん? ふ~~~ん??




「へへっ......ローリエ~、褒めてくれてもいいんだよ~?」

「はぁ......ここにもガキが......」

「なんで!?」

「大人枠あーしだけなんはキツイってぇ......三人の子守りとかもう労働やん、ベビーシッターやんもう誰か給料寄こせ給料」



ローリエはとうとうその場に座り込んで、芝生に向かってブツブツ呟き始める。だいぶブチギレてるなぁこれ......ふざけてる場合じゃないみたい......。


そ、そうそう! さっきのは軽いジョーク! ふざけてただけだから! 本気で褒めてほしかったわけじゃないからね!! うん!!



「まぁまぁローリエ、別にあの二人のことはほっとけばいーじゃん! キャベツくんもミルルンも、多分一人でも楽しめるタイプだろうし!」

「......」



ローリエは口を尖らせたまま、隣にしゃがんだ私を見上げてくる。

上目遣い、大きい瞳、もちもちほっぺ......見た目は完全にちっちゃい女の子なんだけど、私たちの保護者はこの子で......う~ん、脳がバグりそう......。



「わざわざ二人のこと探さなくてもいいんじゃない? どうせどっかで合流するだろうし! 多分!」

「......」

「いっそもう、私とローリエで楽しんじゃおうよ! 二人だけで遊ぶ機会ってあんまなかったし!」

「......」



パッと思いついたにしては良いこと言ってない?

ほら、ローリエの表情もだんだん晴れて......!



「ほんまやん。ほっとけばええ話やん、あんたの言う通りやわ」

「でしょ!」

「なんや、あんたたまには天才的なこと言うやん」

「でしょーーーーっ!!」

「ふっ......す~~ぐ鼻高くしよって......」



小さく笑いを零しながら、彼女はゆっくりと立ち上がる。ポニーテールに引っかかった星付きのチェーンピアスを、そっと指先でほどく。


私も立ち上がると、ローリエは両腰に手を当てながら、ニッと笑顔を見せてくれた。



「よっしゃ! あの二人にあーしらと離れたこと後悔させてやるくらい、思いっきり楽しんだるぞ!!」

「おーーーーっ!」



グーにした片手を上げてみたら、ローリエも一緒に上げてくれた。えへへっ、機嫌直ったみたいでよかった!



さて、早速どこに行こうかなって思ったそのとき、タイミングよくクレープ屋さんのテントが目に入る。

中から明るい光が漏れ出ていて、甘い生地の匂いもして......入口の隙間から見えるお客さんが持ってるクレープ、いっぱい苺入ってる! あんなの絶対美味しいじゃん!!


ローリエの方を振り返ると、彼女はもうすでにニヤニヤしてた。



「ほんま、食い意地張っとるやっちゃなぁ......」

「うっ......まだ何も言ってないもん......」

「まぁでも、クレープは全然アリやな。んじゃ、行こっか!」



ローリエは若干スキップしながら、クレープ屋さんのテントの中へ先に入っていった。



「あ!! ちょっと、置いてかないでよーー! 私のこといじった割には、めちゃくちゃ乗り気じゃない!?」




急いで彼女を追ってお店に入った瞬間、カフェラテの中に迷い込んだような温もりが、私を包み込んでくる。


生クリームとカスタードの匂い。コーヒーに似た色の、お洒落なテーブルとカウンター。白いはずなのに暖色に見える照明は、ほんのり焼けたマシュマロに見えなくもない。


す、すごい......ここってテントの中だよね? 人気のお洒落カフェみたいな感じになってるけど......!? こんなにお客さんがいるのも納得だなぁ......!



私とローリエはちょっとだけ列に並んだ後、紫のネクタイを付けた店員さんにそれぞれ注文を言う。

ローリエは看板メニューの『チョコバナナクレープ』にしてて、私は散々悩んだ後、『いちご大福クレープ』にした!



「うわっ、炭水化物の中に炭水化物入っとるやつやんそれ......」

「ふふん、わかってないねぇローリエさん! 結局はね、(ハート)の声に耳を貸すことが一番大事なんだよ」

「つまり欲望に勝てなかったと」



魔法で作ってるのか、注文したクレープは結構すぐ出てきたよ! クレープを受け取った後、テーブルは一個も空いてなかったから、私たちはカウンター席に座った。


まぁ、そのカウンター席までの道のりが遠すぎて(2メートル)、座る前に一口食べちゃったんだけどね。我慢できなくて。



「ん~~~!!!! しふくらぁ~~~(至福だぁ~~~)! このよぉいやなころ(この世のイヤなこと)え~んぶ(ぜ~んぶ)わすえらえそう(忘れられそう)!」

「なんて??」



まずは餅からはみ出してる苺を食べるでしょ? 甘酸っぱいのが残ってるうちに大福部分を口に入れて、その後すぐにクレープの生地をかじる。すると、餡子のずっしりした甘みを優しく包み込むように、生クリームの味が広がって、苺の酸っぱさが良いアクセントになる。


その後はね、もちもちの暴力(?)が始まるの! お餅のもちもちとクレープ生地のもちもちがランデブーして、一口の満足感を底上げしてくれて......おいしっ、あ~おいしっ、うまっ、おいしっっ



「ちょっっ、ちゃんと良く噛んで食べてよ? 喉に詰まらせたら知らんで??」

「わはって——ンゲホッッッごほっっ」

「うわぁぁあああ水!! 水!!!!」

「む、むせただけ!! むせただkっっげほっっっっ」



ローリエはカウンターに頬杖をついて、呆れたような顔で私を眺めてくる。


しばらくして、自分が頼んだ『チョコバナナクレープ』を小さくかじると、少し頬を染めながら顔を輝かせた。



「......ほお? まぁ、これが美味しくないわけないか」

「素直に美味しいって言えばいいのにー」

「うっ......お、おいしい......」



ぽぽぽっと耳を赤くしながら呟いた後、彼女は誤魔化すようにクレープをもう一口食べた。

『よくできました~!』って言いながら頭撫でてあげたくなるけど、そんなことしたら拳が飛んでくるんだろな......。



「ねーねー、私のやつも一口いる? いちご大福美味しいよ!」

「は!? あんた、あーしにまで掟破らせるつもりか!?」



言うと思った。だからウィローさんね、こんなこともあろうかと、事前に言い訳を用意したのです!



「大丈夫だよ~! 掟ってさ、『食堂で自分がもらった料理は、絶対に他の生徒に分け与えてはならない』って言ってるでしょ? 『食堂で』って言ってるでしょ? ここは『食堂』じゃないでしょ?」

「もうあんたが言おうとしてることわかったわ。でもそれ屁理屈やない?」

「そ、そそそそんなことないよ! ほらローリエさん、あ~~ん!」

「あんたもだいぶ不良側よな......」



ローリエはいちご大福クレープの方をチラチラ見ながら、口を尖らせる。


何度か瞬きした後、彼女はため息をついて......目の前の誘惑には勝てなかったのか、苺と生地にカプっとかじりついた。一口ちっちゃ......かわい......。



「ねっ? 美味しいでしょ?」

「......ん」


すると、まだ何も言ってないのに、ローリエは自分のチョコバナナクレープを私に差し出してくれた。


「ほら、どうせあんたも一口欲しいって言うんやろ?」

「さっすがローリエ、わかってる~~!」

「ふふっ、これであーしら共犯者やな」



私は普段より小さめに口を開けて、生地とバナナとチョコソースと生クリーム全部が食べられる場所をかじった。


圧倒的甘さ、かと思いきや、いちご大福クレープよりも甘さ控えめだ。生クリームも生地も優しい甘みで、時々チョコソースが舌を撫でて......苺ほどじゃないけど、バナナから酸味を感じられて、全体のバランスを整えてくれて......。



美味しい!!



って、全ての語彙力を捨てた感想を言おうとした、ちょうどそのときだった。




「はぁ~~~。マジ疲れたっす......甘いもん食ってないとやってらんねぇっすよ~」



知らない声が近づいてきたから、私はついそっちの方向を見てしまう。


生徒......ではない。警備服みたいなの着てる。体も手も人間のものだけど、頭だけは......く、クリオネ??


クリオネの頭そのまんまだから、表情が見えない。というか、ない......のかな?



「『疲れた』って、ただパトロールしてただけだろ?」



半獣人......半魚人?の警備員さんの隣には、もう一人いる。こっちは半人半鳥かな? 羽も生えてるし、頭に赤いタテガミがあるし、足も鳥っぽいし......。


どっちも、ネルソービューで働いてる警備員さんみたい。

こんなに近くで見るのは初めてかも......。



「それが疲れるんすよ! 僕だってマーケット楽しみたいのに、ずっと見回りしてなきゃいけないし......どうせならなんか事件起こった方が面白いのに~」

「警備員が事件を求めるな! まったく、お前はいつまで経っても子供だな......」



二人の警備員さんは仲良さげに話しながら、私たちの隣のカウンター席に座ってきた。正確には、ウィローさんの隣、かな。


私はいちご大福を口に含んで、自分のクレープとローリエに集中しようとするけど......すぐ隣に座られちゃったら、ついつい聞き耳を立ててしまう。



「にしても今回、配置された警備員の数多すぎません? ちょっと歩いたらすぐ同僚に会うんすけど?」

「無理もないだろ。ここ最近、悪霊の目撃情報が急増してるからな......」



!! 悪霊のこと話してる!!!!



「あ~。最近悪霊のせいで怪我した生徒が増えてるって聞きますもんねー。なんであいつら急に現れ始めたんでしょうかね?」

「さぁな。ただ、今年のマーケットの開催がここまで遅れたのも、あいつらのせいだと聞く」

「はぇ~......ネルソービューの治安も悪くなったもんだなぁ......」



け......結構大事になってるじゃん......。


そっか。そりゃそうだよね。ネルソービュー側が動かないはずないもんね。悪霊さんたち、普通に生徒襲ってるし、あの観覧車の、なんだっけ、砂時計!壊そうとしてるし......。



『————そこまでです』

『言ったはずでしょう。生徒を襲ってはならないと』



............ルームメイトくんは......——




「ていうか、人間の悪霊ばっか現れてんのも変じゃないっすか? もしみんなあのダンジョンから脱走してんだとしたら、人外の幽霊も現れてるはずなのに!」



『あのダンジョン』......??

っていうか、幽霊って死んだ人間だけじゃないんだ。人外の幽霊、ってことはあれか、吸血鬼の幽霊みたいな? いや、そもそも吸血鬼って死ぬの......?



「ねぇ先輩、やっぱ僕思うんすよ! ここ最近になって、ネルソービューに人間の悪霊が現れ始めたのは、誰かポ——」

「おい馬鹿っっ!!!!!!」



鶏っぽい先輩警備員さんは、クリオネ頭の後輩警備員さんの口を押さえた。ものすごく、慌ててる。キョロキョロしてる。


私は目が合わないように、さっと顔をそらした。



「......あの、先輩? 大変申し上げにくいんですが、そこ僕の口じゃな——」

「お前!! ネルソービュー内でその話をするなって何回も釘刺されてるだろ!! 生徒に聞かれてたらどうする!?」

「ハッッッ!! やっっっば、クビにされるところだったぁ!!」



え......え......? 

『ポ』って何? 気になる、けど、


生徒に聞かれちゃまずい話......? やっぱりネルソービューの運営側は、私たちが知らない何かを知ってるってことだよね。


もう、わかってたつもりだったけど......いざそうやって口にされると......。




「先輩!! 僕の『キャラメルマキアートクレープ』一口あげるんで、上司には言わないでください!」

「一応俺もお前の上司なんだがな......本当に仕方ないやつだ......」



............わ、わかんない。わかんない、しか感想が出てこない。


わかんなくて。冷たくて。もう、ずっと、わかんないことばっかり増えていく。

ネルソービューのことも、悪霊のことも、ルームメイトくんのことも、全部。



わかん、なくて、わかんなくなって、


私は——




「ウィ~~~ロ~~~~~~~?」


「はひっ!?」



目の前にローリエの顔があって、私は思わず何回も息を呑みそうになる。彼女は上目遣い&ジト目のまま、じ~~~っと私を見てきて、片方の頬を少し膨らませて。

地面に着かない足が、前後に揺れていた。



「あんた......あーしとのデート中にボーッとするとか、ええ度胸してんなぁ?」

「ぇあ、で、デー......!?」

「へっ、なんてな。ミルフォイルならそう言うやろなぁ思って」



ローリエは「ふぅ」っと息をついて、私から離れる。

そのままチョコバナナクレープを一口かじって、リスみたいにもぐもぐした後、ちゃんと飲み込んでから彼女は口を開いた。



「あーしこの前言うたよなぁ? あんまり悪霊の件に首突っ込みすぎんなって」



あ......警備員さんに聞き耳立ててたこと、バレて......。



「あんたがなんもせんでも、運営側が勝手になんとかするやろって言ったでしょ? 実際警備員も動いとるみたいやし」

「で、でも好奇心が——」

「幽霊のことよりももっと気にするべきことがあるって言うたよね??」

「......はい......」



普通に怒られちゃった......。



うぅぅぅううう......確かに気になること多いけど......色々気になりまくりすぎるけど......今は考えるときじゃないよね......。


考えすぎるのも、私らしくないし......。


そうだよ! 今は悪霊のこととか忘れて、めいいっぱい楽しまなきゃ!



「ご、ごめんローリエ! 私ちゃんと——」

「まぁでも、不安になるのはわからんくもないよ? 実際あんたは二回も悪霊に襲われたわけやし、ルームメイトはあんなんやし、そりゃ色々気になるやろなぁ」



ローリエは私を優しく遮った後、首を少し傾けながら、顔を覗き込んでくる。

前後に動いていた足が止まる。クレープの中からバナナがこぼれ落ちそうになってるけど、気づいてないみたい。



「また悪霊の標的になる可能性だってゼロじゃない。もうあんたはすでに狙われてるんかもしれん。あんたはどう足掻いても巻き込まれる運命にあるんかもしれんなぁ」

「ちょっ......急に怖いこと言うじゃん......」

「でもな、ウィロー。これだけは忘れんといて」



彼女は私から顔をそらして、クレープの崩れそうになってる部分を食べる。そのまま、カウンター前の壁にかかった絵画を見上げて、バナナの欠片を飲み込んだ。


絵画には、弓矢を持ったキューピッドが、美しく描かれていた。



「あんたにはあーしがおる」

「......あ......」

「あんたを襲おうとする幽霊がいたら、あーしがぶっ飛ばしたる。ルームメイトにいじわるされとるんやったら、そいつもぶん殴ったる。だから......要するに......」



ローリエは私の方を見て、真っ直ぐな目を向けてくる。

彗星のように輝いてる、シアン色の瞳。

......なのに、眩しすぎないの。


強くて......優しくて......

何故か......——



「もっとあーしを頼れってこと。だから、どうしても悪霊の件に首突っ込みたいんやったら、まずあーしに話して。一人でなんとかしようとするのだけはやめて。」



ローリエはそう言った後、自分の手についちゃったチョコソースを見て、顔をしかめる。そっと指を舐めて、クレープを眺めて、次の一口をどこにしようか悩んでるような......


......。



「......ローリエ......」

「っていうかさぁ、このクレープ大きすぎん? 全然食べきれる気せぇへんねんけど......」



彼女は当たり前のように話を変える。



「あーしの胃袋ちっさいんかなぁ......おい。今『背も低いもんね』とか思ったやろ? どうせそうやってあんたもあーしのこといじるんや!」



......そうだ。初めて会ったときから、ローリエはこうだった。


言うのに勇気がいるようなことを。心に届くような言葉を、当たり前のことみたいに言っちゃうんだ。

日常会話の一部みたいにしちゃうんだ。


だから、余韻に浸る時間も与えずに......

でも、それもきっと、一種の優しさで......。



「逆にあんたはようそんなに食えるよなぁ。いちご大福だけで満腹感えぐいはずやのに......」

「......ローリエ......」

「ん? 何? さっきから」



......い......



「い......っ......!!」

「?? 『い』?」



イケメンが、大渋滞してる......!?!?!?



なに!? なんなのこの子!? イケメンすぎない!? もはや王子様じゃない!?!?


『あんたにはあーしがおる』? 『もっとあーしを頼れ』?? め、めちゃくちゃ普通にドキッとしましたけど? 顔熱くなりましたけど!?


ローリエ様って呼びたいくらいだよぉ......かっこよすぎるよぉ......!!



「い、い、一生ついていきます~~!!」

「は!? 急になに!?!?」

「ローリエ様ぁ~~!!!!!!」



私はクレープを手に持ったまま、つい、


ローリエを、

抱きし——




「——~~~っさわらないで!!!!」


「へっ」




グラッと視界が揺れる。


危うく、カウンター席から転げ落ちるところだった。


クレープは無事。だけど......、




「はぁーーーーっ、はぁ......あっ......!」



ローリエは、私を突き飛ばした手を急いで引っ込める。

後ずさろうとしたのか、椅子がガタッと揺れる。



「あ......あーし......っ」



光を失った目を泳がせて、時々浅い息を吐いて。

クレープを握りしめてる手は、すごく、震えてて......クリームが落ちても、気にする余裕はないみたいで、



「ローリエ......?」

「っっ、ご、ごめんウィロー、あーし、あんたのことっ」



一瞬、何が起きてるのかわからなかった。

だって気づいたら、ローリエが青ざめてて、ちょっとだけ自分の胸が痛くて、


......抱きしめようとしたから、だよね......?



『だぁぁぁあああああもう! さわるなっつってるやろ!!』

『撫でようとすな手握ろうとすな抱きつこうとすな!! 何回言えばわかるん!? また背負い投げされたいんかワレ』



ミルルンに触られるときも毎回怒ってるから、スキンシップが嫌いなのは知ってたけど......。

でも私、てっきりもっとポップなノリというか、そんな深刻なものだとは、


だって......今までは......こんな......



「ご、めん、ほんまごめんっ、急で、急だったからびっくり、して、あーし、つい、」

「う、ううん! 悪いのは私だから! ごめんねっ、急に抱きつこうとしたりして!」

「......っ、ち......が......」



ローリエは片手を自分の胸に当てて、暗いシアン色のリボンを握りしめる。

肩を下げて、椅子の上で縮こまるようにして。


伏せた目は、罪悪感に満ちてるだけじゃなくて......。



「ご......めん、な......さい......」




怯えているようにも、見えた。









次話:キューピッドの呪い

です、ローリエが元気をなくしてしまったようです

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