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二十二話:近くの歯ブラシを全部チュロスにしちゃう歯ブラシ

『ネルソービュー・マーケット』とは、金曜と週末の夜に開催される、なんかすごいイベントのことである!


二年生から四年生の先輩たちが、校庭で色んな屋台を開くんだって! キャベツくんの話によると、美味しい食べ物とか、ゲーム機とか本とか魔法道具とかも買えちゃったり......あとなんだっけ、劇とかも見れたりするんだっけ?



とにかく、ネルソービューの生徒たちがメインで開催されるお祭りのようなもの! らしい!

今年はだいぶ遅れちゃったみたいだけど、今週からやっと毎週開催されるんだって! 



よーーーっし! 散財してやるぞーーーーっ!


と、意気込んだウィローさんは財布を手に、校庭へ向かったのでした!



校庭への道はもうすでに人に——いや、人外に溢れていて、油断するとすぐ誰かにぶつかりそうになる。いつもよりも明るい気がする夜空を見上げてみると、箒とか羽で飛んでる人外もたくさんいて......いいなー。私も早く飛べるようになりたいなー。



いざ校庭へ足を踏み入れると、スピーカーから流れる重低音が、心臓を揺らしてくる。仄暗い雲にまで届きそうなサーチライトが、左右に、上下に動いて、気まぐれで私を照らしてくる。


黄色だったり、白だったり、水色だったり桃色だったり......今、自分は草むらの上に立ってることを忘れてしまうくらい、楽しそうな色と音でいっぱい。ちなみにコーンドッグみたいな匂いもする。


校庭中が、カーニバルのような雰囲気になってる。飾りが全体的にクリスマスっぽく感じるのは、冬が近いからなのかな?



私は周りに気を取られすぎないようにしながら、まずは集合場所へ向かう。

え~~っと、集合場所は確か......校庭の、校舎から見て右の方......森のちょっと近く......。




「お~~~い!! こっちだガーディナー!!」



あ。

電話しようと思ったけど、その必要はないみたい。



私は手を降り返しながら、わかりやすい三つの人影へ駆け寄った。


キャベツくんは片方の腰に手を当てて。ミルルンは両手を合わせながら微笑んで。ローリエは軽く手を上げて、すぐに下げた。



「やっほ! 三人とも早くない? まだ集合時間じゃないよね?」

「んふふ~。わたくしもローリエちゃんも楽しみで、早く来ちゃったのよ~」

「あ、あーしは......その......」



ローリエは首の後ろに手を当てながら、ちょっと照れくさそうに俯く。すると、ミルルンが『ほわ~』って花のオーラを出してることに気づいて、彼女の腕をバシッて叩いた。


キャベツくんはそんな二人をニヤニヤしながら眺めた後、改めて私に目を向けてくれる。

なんか......夜のキャベツくんって、キャベツ要素薄れるな(?)。光が当たってないときは、髪の毛が暗い色になるし。



「オレはてっきり、お前なら誰よりも先に着いてんじゃないかって思ってたぞ。なのに最後に来るなんて意外だわ! 寝坊でもしたのか?」

「寝坊じゃないですぅー。今日は昼寝してませーーん」



遅れた理由は、まぁ、ないことはない。


......あ、今回はルームメイトくんのせいじゃないよ! ルームメイトくん今日ずっと帰ってきてないし! どこいんのかわかんないし!



あのね......実は、オリーブくんも誘おうとしたんだ。一緒に行こうよって。ミルルン怖くないよーって。ローリエもキャベツくんも癖強いけど良い子だよーって。ほら、オリーブくんだけ仲間外れなんて可哀想だし。


もしオッケーって来たら、寮の部屋まで迎えに行こうと思ってさ、私返信来るまで自分の部屋で待ってたんだよ。


でも、待ち合わせ時間ギリギリまで返信来なくて......結局断られちゃったし......。


オリーブくん、何回も謝ってた。『ぼくのことはいいから、四人で楽しんできてね』って。本人が嫌なら仕方ないよねぇ......こんなに何度も断られるとちょ~~っと心に来るケド......。



「? ガーディナー?」



ハッ! しんみり顔してたら変なやつだって思われる! 切り替えなきゃ!!

だって今日は、すっごく楽しい日になるんだから!



「べ、別にー?? 守護魔法の宿題やってただけだから! だから遅れたの!」

「宿題? お前が?? ほんとかぁ~~?」

「ちょーーーい!! 普段私が宿題やってないやつみたいに言うなーーーっ!!」

「へいへいわかったわかった、仕方ねぇから信じてやるよ」



キャベツくんは肩をすくめながら、片方の口角を上げた。ぐぬぅぅううう!! ムカつくぅぅううううう!!



「それでそれで~、みんな揃ったことだし~、まずはどこ行く~?」


ミルルンは落ちてきた紙吹雪を両手でキャッチしながら、私たちに笑いかける。


「何か食べる~? 映画見る~?」

「あーし、探してる本あんねんよ。あと上着も買いたい、最近外寒いし」

「チビロリサイズの上着、売ってるといいなァ?」

「『浮け』!」

「え」



ローリエはポケットから出した杖をキャベツくんに向けて、呪文を唱える。


するとキャベツくんの体が浮いて、す、すごい! あんな重い物浮かせられるなんて! 私まだティッシュの箱くらいしか浮かせられないのに!!



「オラァァアア!!」

「ぐぇっ」



ローリエは杖を勢いよく下げて、あ、あぁ......キャベツくんが土に埋められちゃった......。


『オラァァアア』は呪文じゃないよね? ただの掛け声だよね? っていうか、ローリエなら魔法使わなくても土に埋めることくらいできるんじゃ......?




「くそっ......冗談だったのに......」



キャベツくんはガタガタ震えながら地面に手を着いて、埋まった下半身をなんとか外に出す。こいつも懲りないよなぁ。



「お、オレ......オレも寄りたい店あってよォ......多分こっから近いから、先にそこ行ってもいいか? い゛っっっってぇ......」

「クソキャベツが行きたい店ぇ? 嫌な予感しかせーへんねんけど......」

「んふふ~、おもしろそうだわ~」



ローリエとミルルンの意見が真逆でも、キャベツくんはまったく気にする素振りを見せない。彼はズボンについた砂埃や芝生を振り払った後......ん? なんでまた私の方見て......?



「いでででっ......。ガーディナー、今から行くところにはな、オレらと古い因縁があるヤツがいてな、」

「古い因縁......?」

「おう!」



私が目を丸くすると、キャベツくんは眉を上げて、後ろのサーチライトよりも眩しい笑顔を浮かべた。



「『笑顔拡散委員会』って覚えてるか?」




***


『屋台』とか『お祭り』って聞いたから、そりゃあもう屋台~~って感じのお店が並んでるって思うでしょ? 


でもね、実際は屋台というより、サーカスのテントって感じ。


開いたテントの入口をそっと覗いてみると、中に商品棚がいくつかあって、生徒の店員さんもいて......キラキラした石が売ってたり、洋服が売ってたり! あと、お店じゃなくて中がクラブみたいになってるテントもあったよ。


私たちは気になるテントたちを一旦横切った後、並んでるテントの中でも一番怪しそうなテントの前に立った。


テントの外側がね、LEDライトでできたニコちゃんマークでいっぱいなの。もうそれだけでやばそうでしょ?

他にも色々ツッコミどころ満載だけど......触れないでおこう......。



「な、なぁ、ここなん? あーしら今からここに入るん?? 大丈夫なんここ?」

「大丈夫だっての! ほらっ、さっさと行くぞ!」



キャベツくんはローリエの背中を押しながら、テントの中に入って行った。私とミルルンは顔を見合わせた後、そのまま二人についていく。


中は思ってたよりも人......人外......生徒で賑わっていて、商品棚もちゃんと整理されてる。見た感じ、魔法道具が売ってるのかな?



え~~っとなになに、『講堂の中を急にぬいぐるみだらけにする大砲』......え?



この歯ブラシみたいな見た目のやつは、『近くの歯ブラシを全部チュロスにしちゃう歯ブラシ(使い捨て)』......ん?


これは、『パソコンが爆発したように見せるUSBメモリ』。

これは『ヘドバンしないと取れないヘッドホン』......。



「は? なんやこのふざけた商品は??」

「チビロリには『切れ味が良さそうなだけでまったく切れないハサミ』を買ってやるよ! 喜べ、サンタからの早めのプレゼントだ」

「いらん」



なんだろう......全部絶対に使わなさそうなのに......。



「ぜっ......絶妙に全部欲しい......ッ......!!」

「嘘やろウィロー?」

「へははっ! お前なら気に入ってくれると思ってたぜ!」


「〈あっ、キャベツく~ん! 来てくれたんだね!〉」



脳内で知らない声が響いて、私は思わずキョロキョロする。

聞こえたのは私だけじゃなかったのか、他三人もキョロキョロする。


な、なに今の声!? なんか、普通に話しかけられたっていうよりは、直接脳に語りかけられたような......?



「〈それにお友達まで! えへへっ、いらっしゃ~い!〉」



後ろを振り返ってみると、すぐ近くに店員さんっぽい悪魔がいて、思わず商品棚を倒しながら悲鳴を上げるところだった。


泡のようにもこもこした黄色の髪の毛に、ハイライトが目立つ黒の瞳。大きくて立派な角。


ロリータ制服の上に、店員用のエプロンを着ていて、悪魔の羽も綺麗に畳まれていて......。



「レベッカ パイセン!! お前ら、こいつはレベッカ先輩だ! オレのガイドな!」

「〈みんな、ボクのお店にようこそ!〉」



ガイド......ってあれか、ベアくんみたいな子のことか。在りし日の一つ目巨人の子。


そんなことより......レベッカ先輩......。



「〈どんな商品をお探しかな? なんでも言ってね! ここにあるガジェットは全部ボクと仲間が作ったやつだから、使い方の説明もできちゃうよ!〉」



せ、先輩、やっぱりさっきから口動いてないよね!?

魔法......? テレパシーってこと? 流石四年生......。 



「こいつはオレのガイドってだけじゃなくてな、『笑顔拡散委員会』のリーダーでもあるんだぜ! すげぇやつなんだ!」



キャベツくんはまるで偉人を紹介するかのように、先輩を両手で差す。私たち三人に向かって言ってるんだろうけど、その目は主に私を捉えて......。


......あー......こりゃもう隠せないなぁ......。



「あのぉ、キャベツくんさん? 大変申し上げにくいのですが~.....」

「もう嫌な予感すんなぁ」

「え、『笑顔拡散委員会』ってなんだっけ......??」

「はぁぁぁああああ!? お前忘れたのかよ!?!? 嘘だろ信じらんねぇ!!!!」



試しにミルルンたちの方を見るけど、やっぱり二人も知らないみたい。なのに二人は怒られてないってことは、私だけ知ってる......はず、ってこと。


そのはずなんだけど、ウィローさん、『笑顔拡散委員会』がなんなのかま~~ったく覚えておりません。



「だって! だってーーーっ! そんな長い名前のやつ覚えてるわけないじゃん!! ちゃんと名前言えてるだけでも奇跡なんだから!!」

「よし、じゃあ一言で思い出させてやるよ」

「やれるもんならやってみろぃ! ウィローさんの記憶力の無さ舐めんじゃ——」

「ステージ爆破の黒幕」

「あーーーーーっ!!!!!!」



思い出した!! 思い出した!! めちゃくちゃ思い出したよ!!!!


ネルソービュー学園で目覚めた初日! いっちばん最初の日!! キャベツくんと私が出会うきっかけにもなった、あのリモコンを押してステージ爆破しちゃったやつ!


初日退学になるかと思いきや、本当の黒幕は『笑顔拡散委員会』だってことが判明して、私たちは奇跡的に見逃されて。



その、例の『笑顔拡散委員会』のリーダーが......




「〈あぁ~、あの体育館のステージ爆破したやつかぁ! あれはボクたちなりに、一年生を歓迎してあげたくって!〉」

「き、君があのリモコンを作ったの......?」

「〈そーだよ!〉」



こ、ここに来て登場かぁ......あの日からもうだいぶ経ったし、『笑顔拡散委員会』のこととかすっかり忘れちゃってたよ......。


でも、その『笑顔拡散委員会』のリーダーがキャベツくんのガイドだなんて、すごい偶然だなぁ。



「〈ボクら『笑顔拡散委員会』は、ネルソービューの由緒正しきサークルの一つでね!〉」

「ステージ爆破したのに何が『由緒正しき』やねん」

「〈名前の通り、みんなに笑顔を届けるのがボクらの仕事なんだ!〉」



レベッカ先輩は満面の笑みでローリエを無視した後、私たちの隣にあった商品を手に取って、愛おしそうに撫でる。あれだ、『近くの歯ブラシを全部チュロスにしちゃう歯ブラシ』だ。



「〈ボクらが作ったガジェットで、面白い事件を引き起こす。そうすれば、みんなも笑顔になるでしょ?〉」

「サイコパスか?」


「んふふっ、要するに~」



ずっと『講堂の中を急にぬいぐるみだらけにする大砲』を起動しようとしていたミルルンは、その大砲を両手で抱きながら、会話に入ってきた。



「あなたたち『笑顔拡散委員会』は、『いたずらサークル』ってことかしら~?」

「〈そういうこと!〉」



認めちゃったよこの人......人じゃないけど......。



「とんだ迷惑サークルやないかい!! キャベツがあんたを気に入るのも納得やわ......」

「さりげなくオレをディスんのやめろっ」

「〈迷惑なんかじゃないよ~! それに、ボクらはいたずらガジェットだけじゃなくて、実用性がある物だっていっぱい作ってるんだから!〉」



先輩は『ふふん』とドヤ顔を浮かべながら、手のひらをテントの天井に向ける。


すると、空中にクマのフィギュア?みたいなやつがパッと二つ現れて、彼女の手に着地した。



「〈例えばこれとか自信作だよ! 効果は......まぁ、実際に使って見せた方が早いかな!〉」



彼女はキャベツくんの......手を取って、手のひらに小さなクマを一つ押し込んで、持たせる。そして、余った方のクマを持ちながら、私たちの方を向いて......



「〈じゃあ......そこの紫のちっちゃい子! おいで!〉」

「え、あ、あーし?」



ローリエは『ちっちゃい子』って言われたからか、それとも実験体にされるのが嫌だからなのか、若干眉をひそめながら先輩の元へ歩く。


そのまま、差し出されたクマのフィギュアを躊躇しながら受け取って、じと~~って眺めた。



「んふふ~、怪しんでるローリエちゃん可愛いわ~」

「ええなぁあんたは、そうやって見てるだけでよくて」

「〈それじゃあキャベツくん、ローリエ?ちゃん! ちょっとだけ目閉じてね~〉」



キャベツくんは『楽しみだけどちょっと嫌な予感する』って顔しながら、素直に目を閉じる。


ローリエは『本当にめちゃくちゃ嫌すぎる』って顔をしながら、おそるおそ~る目を閉じた。



何か光ったり動いたりするんじゃないかと思って、私もミルルンも二人の様子をまじまじと見つめる。


だけど、二人が握ってるクマさんフィギュアが光ることも、キャベツくんがロールキャベツになることも、ローリエがチュロスになっちゃうこともなくて。




「〈はい! 二人とも目を開けていいよ!〉」



先輩の元気いっぱいな声が脳内で響くと、何も変わってなさそうな二人は目を開け




「ぎゃぁぁぁぁああああぁぁぁあああ!?!?!?!?」

「——っ!?」




ローリエはリアクション芸人の如く、悲鳴を上げながらその場で尻もちをついた。


対してキャベツくんは、キャベツくんにしては落ち着いた驚き方で......ん......?



なんで二人ともびっくりしてるの? もしかして二人にしかわからない何かが——




「うわーーーーっ!?!? オレがいる!? オレがもう一人いる!?!?」

「あ、あーしら、まさかっ」



あっ......理解。



「〈じゃ~~ん! これが『入れ替わりベアーズ』の力だよ! すごいでしょ?〉」

「パイセン!! なんでよりによってチビロリと入れ替わんなきゃいけねぇんだよ!?」



ローリエ......違う、キャベツくんは体を起こしながら、キャベツくんを指差......違う、ローリエを指差......ややこしい......。


えっと、つまりこの子はローリエの姿の、キャベツくんなんだよね? さっきローリエの方がリアクション大きいみたいになってたのはそういうことかぁ。



「んなもんこっちの台詞やし!! あーーやだやだキャベツの中に自分がいるみたいで嫌やしキャベツの声なんも嫌すぎるあーーーーもーーーーほんま最悪!!!!」



こっちは関西弁のキャベツくんだ!

結構似合うなぁ......そう言ったら二人にめちゃくちゃ嫌がられそうだけど。



「てかチビロリほんと目線低いんだな!! 世界デケェ~~!」

「あんた馬鹿にしよるやろ」

「お? お? 殴んの? 自分の体殴っちゃうの?? お?? いいのか??」

「こいっっっっっつ」


「あら~! ローリエちゃんのそんな顔初めて見たよ~! 可愛い~!」



ミルルンはメスガキ顔してるローリエ、じゃなくてキャベツくんに抱きついて、頭をなでなでってして......。......



「うぉっ!?!? びっっっっくりしたっっ」

「あら~! このローリエちゃん、抱きついても殴り返してこないわ~」

「......は、へ、へっ......オレはあいつと違って性格悪くねぇからなー......」



ま、まぁ、顔面偏差値カンストしてるミルルンに包み込まれたら、誰だってあんな反応になるよね......私とローリエはもう慣れちゃったけど......。


......。......?



「キャベツ? あんた......」



すると、二人を見てたローリエ(キャベツくんの姿)は真顔になって、自分の手首をぎゅって掴んで、え、あ、怒、めちゃ怒、



「今あんたの体ん中にあーしが入ってること忘れんなよ......? いつでもあんたの手首へし折れるんやからな......?」

「怖すぎるだろ!!!! てかそれお前も痛いじゃん!!」



流石に身の危険を感じたのか、キャベツくん(見た目はローリエ)はミルルンを押し返して、彼女から遠いところに立つ。


あんな黒いオーラ出しながら怒ってるキャベツくん(の姿)、初めて見た......。



「ん~? ローリエちゃん、嫉妬しちゃったの~?」

「そんなんちゃうけどなんか無性に腹立つねん、こいつが満更でもなさそうにしとんのがほんまに殺したいねん」


「〈あっはははは~! おもしろ~い! やっぱ二人を入れ替わらせて正解だったよ!!〉」



ずっと私たちの様子を傍観してたレベッカ先輩は、両手を叩きながら笑った。

声を出して笑うときも、口は開かずにテレパシーで笑うみたい。



「なんも面白くねぇよ!! なぁこれ元に戻るんだろうな!?」

「このクマのどこが『実用性がある物』やねん!!」

「〈あれだよぉ、賢い友達に代わりにテスト受けてもらうときとか!〉」

「なるほど! でも自分の友達全員アホだったらどうす——」



ローリエ(キャベツくんの姿)は、キャベツくん(ローリエの姿)を思いっきり引っ叩いた。キャベツくん(ローリエの姿)は頬を押さえながら、信じらんないって顔をする。



「お前!! 自分の体は大事にしろよ!!!!」

「じゃああーしに喧嘩売んな」

「それはム——」

「〈ま、入れ替わった状態でテスト受けようとしたら、80%の確率でバレるんだけどね! この学校の先生鋭いから!〉」

「「バレるのかよ!!!!」」



なんか......。

二人とも、ところどころ新鮮な表情は見せるけど......。



「さてさて、気になるこちらのお値段ですが......なんと、たったの百万ペタルでーす!」

「「誰が買うか!!!!」」



二人って、入れ替わってもあんまり違和感ないなぁ......。




***


ローリエとキャベツくんが自分の体を取り戻した後も、『笑顔拡散委員会』のお店では色々わちゃわちゃが起こって。


あそこの商品は全部高すぎたから、結局誰も何も買わなくて......だって私たち、みんな所持金1500ペタルとかなんだもん。



あのお店から出た後、他のテントの店にも片っ端から入ろうぜ!ってことになって、私たち全員張り切って。


だけど。



「......なんで......っ」



ローリエは頭を抱えて、紫のポニーテールを何度も揺らす。

しばらく唸った後、彼女は両手を広げながら顔を上げて、天に向かって咆哮するように、



「なんで速攻はぐれんねーーーーーーーん!!!!!!!!」



校庭中に響き渡るような声で、思いっきりブチギレた。




私とローリエは、いつの間にか二人だけになっちゃったのでした。









次話:ローリエ・ローリエリエ・リリリリリ・ロロロロロ・ローリエリリリローリ

です、ローリエが出てきます

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