113話:しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで
「浅茅生の をののしの原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき」
「......」
「八重むぐら しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり」
「......」
と、いうわけで。
私は今、オリーブくんの部屋の床に正座してまして。
肝心のオリーブくん本人は不在でして。
そして......。
「かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを」
「............」
鳥ちゃんの百人一首を聞いていたのでした。
澄んだ瑠璃色の翼を持つ、セイレーン科の女の子。てっきり一個上の先輩かと思ってたけど、どうやら同級生だったらしい。
彼女と初めて会ったのは、去年のクリスマス辺りだったはず。確か、ミルルンたちと一緒にバイトしたとき、同じ班に振り分けられたんだよね。
鳥ちゃんは、色んな意味で変わったヒト。初対面からヒトの羽をむしり取ってくるし(アルバイト回参照)、全体的に不思議ちゃんって感じというか、ついつい『鳥ちゃん!?』って呼びたくなるような子というか。
そして何より、百人一首でしか話せないの。
だからね。今みたいな感じで、めちゃくちゃ話しかけられてもさ。
「明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき あさぼらけかな」
「ぅ......え......????」
本当にわかんないの!!!!
ぎゃーー! ぎゃーーーー!! 助けてぇーーーーー!! 気まずいよぉぉおおっ、そんなキラキラした目で百人一首詠まれてもわかんないよぉおおおぉおお!!!!
「あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな」
鳥ちゃんは桃色の瞳にラメを宿しながら、ぽっ......と頬を染める。
と思ったら、ニコニコ笑いながら、私の周りをクルクルした。鳥ちゃんの爪が、ミシンみたいに床に刻まれる音が響く。
な、なんかよくわかんないけど......上機嫌っぽい......?
「............えっとぉ......鳥ちゃんはなんで、オリーブくんの部屋にいるの......?」
「風そよぐ ならの小川の 夕暮は みそぎぞ夏の しるしなりける」
「そ......ソウナンダ!」
聞いてみたところで、わかるはずがなかったんだ。
うぅぅっ、うぅぅううぅうどうしよぉおおお......オリーブくんはまだ帰ってきそうにないし......だからといって、帰っちゃうのは感じ悪いだろうしっ、
こ、こうなったら......かくなるうえは......!!
「鳥ちゃん!! 甘い物は好きかね!?」
私は制服のポケットからヘソクリ(飴)を出して、鳥ちゃんの視界にそ~~~っとチラつかせてみた。
そう!! 食べ物こそ、言語を越えた先のlanguage!(??)言葉は通じなくても、食べ物さえ与えれば愛は伝えられるはず!!
「......あらざらむ!」
「——わっ」
すると、鳥ちゃんは百人一首を省略しながらジャンプして、口で飴ちゃんを奪い取ってきた。
当たり前のように袋ごと噛み砕いて、ペロペロして、
「ど......どうですかね......?」
「......!」
鳥ちゃんは翼を羽ばたかせながら、空中で華麗に一回転する。
着地した後、すぐに私に頭突きしてきて......頬をすりすりすり~~ってしてきて......、
「巡りあひて~ 見しやそれとも~ わかぬ間に~ 雲がくれにし~ 夜半の月かな~!」
「おぉっ、お気に召しましたか! そうですか!!」
......あ、あれ......? 可愛い......。
なんだろ......やっぱ、『鳥ちゃん』って感じ。
言葉が通じないせいもあるのか、ペット感がすごいというか——
「ハッッッ!! そうか!! 鳥ちゃんは鳥ちゃんなんだ!!!!」
「しのぶれど??」
鳥ちゃんはあれだ! 動物と同じなんだ!!
そ、そういう言い方したら超失礼に聞こえちゃうかもしれないけど、そういうことじゃなくてあの、ほらっ、
ペットもそうでしょ......? 言葉は通じなくても、心は通わせられるでしょ? 家族にも友達にもなれるでしょ?
だから、鳥ちゃんの言葉を無理に理解しようとするんじゃなくて......
今、ウィローさんがやるべきことは————!
「......こ......コケーーーーーッ!!」
「————!?」
同じ土俵に立つこと!!!!
よくあるでしょ?? 猫ちゃんに話しかけるときに、『にゃ~~にゃ~~』って言いながら近づくやつ!
だから私も、鳥の真似をするの!!
「こ、コケッ、コケコッコーーー!」
「逢ひ見ての~! 後の心に くらぶれば 昔はものを、 思はざりけり~~」
「コケコケッ、コケコケコケコッコ~~~!」
鳥ちゃんが翼をバタバタさせるから、私も自分の翼をバタバタさせた。白だし! ニワトリっぽいし!
「あはれとも いふべき人は 思ほえで~」
「コケッッッ、コケコケ~~? オリーブくん、コケ~~~?」
「身のいたづらに なりぬべきかな?」
「コッコッ、ココッ、御意~~」
友情とは! 勢いである!!
言葉が通じなければ、勢いとその場のノリで行くしかない!!
我に返るなウィローさん!! 最後まで突っ走るのよ!!!!
このまま鳥ちゃんと共に、友愛の花園へ——
「うぃ......ウィローさん、に......モンスーンさん......?」
あ。
「二人とも、な......何して............」
オリーブくん来ちゃったあ。
「ウィローさん......どうしてここに......?」
「こ、......コケッ............」
部屋の扉を押さえたまま、オリーブくんは目をぱちくりさせてる。
しばらくすると、どんどんアセアセ~~ってし始めて、口を『v』字型にして。
ものすごく申し訳なさそうに、苦笑いを浮かべた。
「ご、ごめん、二人とも......邪魔、しちゃって......」
「ちちちち違うのオリーブくんこれは違くて」
発火する顔を隠したい衝動を抑えながら、私は震える足でオリーブくんに近づく。
だけどオリーブくんは「あはっ...」って笑って、少しず~~つ扉を閉める。
「ぼくは.......何も見てない............から............」
「ちょっっっっ」
オリーブくんは、軋む扉を優しく閉じた。
***
「そっかぁ! 二人はルームメイトだったんだ!」
あの後、なんとかオリーブくんを捕まえて、事情を説明して。
オリーブくんは一応納得してくれたみたいで、事なきを得た(?)んだけど......。
「知らなかったぁ......ごめん鳥ちゃん、私てっきり......鳥ちゃんがオリーブくんの部屋に不法侵入してるのかと......」
「誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松もむかしの 友ならなくに」
「ご、ごめんねウィローさん! 悪いのは、自分のルームメイトの話を一切してこなかったぼくだよ......」
私とオリーブくんが立ち話をしてる間、鳥ちゃんは床に寝転んで、ずっと自分の翼をペロペロ舐めてた。グルーミングってやつかな?
「まさか、ウィローさんとモンスーンが知り合いだとは思わなくて......それに、今まで紹介する機会もなかったから............」
「ううん、謝らないで! 私もなんというか、今まで意識してなかったというか......オリーブくんにもルームメイトがいる事実を忘れてたというか......??」
鳥ちゃんが、オリーブくんの部屋にいる理由。冷静にちゃ~~んと考えたら、わかったはずなのに。
だって、改めて見てみれば、一発でわかるもん。窓側のベッドと机が鳥ちゃんのやつで、扉側のベッドと机がオリーブくんのやつだって。
特に、鳥ちゃんのベッドは青い羽だらけだし......机には、百人一首が載ってるデスクマットが敷いてあるし......。
むしろ、なんで今まで気づかなかったの私......??
「そう、だよねぇ......オリーブくんにもいるよねぇ、ルームメイト......そりゃそうだ......」
「ご、ごめん、ずっと黙ってて............隠すつもりはなかったんだけど......」
「忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな!」
すると、鳥ちゃんは急に立ち上がって、私たち二人の周りをグルグルした。
少しすると、ルーレットみたいにその場に止まって、私の腰に向かって突進してくる。
び、微妙に痛いんだよねぇこれ......可愛いけど......。
「久かたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ」
「......オリーブくんは、この子がなんて言ってるかわかる......?」
「全然......」
オリーブくんは小さく肩を落としながら、しょも...と顔を歪ませる。コウモリみたいな羽も、一緒にしょんぼりしちゃってる。
「モンスーンさんはぼくのルームメイトだから、仲良くしたいんだけど......あんまり話せないというか............話が通じないというか......」
「だろうねぇ~」
鳥ちゃんは頭をブルブルブルってさせる。長髪を束ねていたゴムが少しだけ緩んで、下にずれていく。
そのままブルブルさせ続けて、多分、ゴムを外そうとしてて......?
う......駄目だ、鳥ちゃんが気になってつい目で追っちゃうよ! 今はオリーブくんと話してるのに!
一旦鳥ちゃんのことは無視しよう。一旦ね......。
「私の知り合いに唯一、鳥ちゃんの言葉がわかるヒトがいるんだけど......オリーブくんは多分知らないよね? フィービー先輩のこと......」
「ううん、知ってるよ? パンダの獣人の、今は四年生のヒトだよね......?」
あれ? 意外!
「そうそう、そのヒト! 一瞬で鳥ちゃん語を訳せてね、なんかすごい先輩なの!!」
「そうなんだ......去年の『魔法道具・応用』で同じクラスだったから、そのときから気になってはいたけど......すごいヒトだったんだね......」
......え?
「え、え? 同じクラス? そうだっけ!? え!? 覚えてないよ!? 私とオリーブくんは一緒のクラスだったはずで、あ、あれ?? フィービー先輩もいたっけ......??」
「うん、でも最初の方だけだよ。すぐにクラス替えしちゃって......だから、ウィローさんが覚えてなくても仕方ないと思うよ......」
「はぇぇえ............」
ま......全く覚えてねぇ......。
ごめんフィービー先輩! まさか元クラスメイトだったなんて!!
でもあのクラス、だいぶ大人数だったし......オリーブくんの言う通り、覚えてなくても仕方ないのかも......?
「オリーブくんはすごいねぇ! クラス替えでいなくなっちゃったクラスメイトのことも覚えてるなんて!」
「あ、あはは......」
彼は曲がった角を手で撫でながら、にんじん色の目を伏せた。
そばかすが、少しだけ暗く映る。
「ぼくも、クラスメイト全員のこと覚えてるわけじゃないよ? フィービーさんのことは、たまたま覚えてただけだから......」
「へぇ~......」
......?
まぁでも、そういうこともあるよね! 特に話したこともないのに、やけに印象に残ってるクラスメイトとか!
私も何人かいるもん! 名前は全く覚えてないけど!
「それより、ウィローさん。ぼくたちの部屋にいたってことは、何か——」
「燃ゆる思ひを!」
鳥ちゃんは急にぱぁっと顔を輝かせたと思ったら、その場で頭を低くする。
そして、翼を広げて、離陸前の飛行機みたいになって、
「——————えっ」
「恋ひわたるべきーーーーーーっ!!!!」
彼女はいきなり、私に向かって突進してきた。
今回は容赦なくて。ぶつかられた私はバランスを崩して、足が普通に宙に浮いちゃって。
「ウィローさん!?」
頭から転びそうになった私を、オリーブくんが受け止めてくれた。
細い、のに。安定感がある。落ちる感覚が全くしなくなる。
ほんのりと、砂糖のような匂いがした。
オーブンの中で溶けた、飴の残り香のような。
「も、モンスーンさん、いきなり何して——」
「つくばねの 峰よりおつる みなの川......」
彼女がオリーブくんを遮ることn回目。
鳥ちゃんはウンウンと満足げに頷いた後、急にベッドの上に登って、窓のブラインドを口で引き剥がして(!?)
無詠唱魔法で器用に窓を開けて。
そして、私たち二人にウインクしたのを最後に。
「恋ぞつもりて 淵となりぬる!」
......外へ......飛び立っていっちゃった............。
「......」
「......」
と、いうわけで。急に二人きりになった私とオリーブくんですが。
鳥ちゃんはまぁ、いつも通りフリーダムということで。
これくらいのハプニングはね。もう慣れっこですよ。
こういうのはね、ツッコんだ方が負けなの。スルーが正解なの。
by 今まで色んなことに巻き込まれすぎてきたウィローさんより。
「あ......りがとう、オリーブくん! 大丈夫?」
受け止めてくれたオリーブくんにしがみついたまま、私は体重を自分の両足へ移動させる。
「痛くなかった? 私、結構思いっきりオリーブくんに頭突きしたような......」
「う......ううん、大丈夫だよ。ウィローさんこそ、怪我してない......?」
オリーブくんは私の二の腕をそっと撫でながら、顔を覗き込んでくる。
体温も、気配も。温かい。
「ごめんねウィローさん、その......あのヒト、いつも脈略のない行動をしがちだから......」
「気にしないで! 面白いルームメイトさんだね......」
「あははっ......ウィローさんのルームメイトの方が面白いと思うけどね......」
「え~~、鳥ちゃんもいい勝負じゃない? あれだけど、面白さのベクトルは違うけど......」
これ、ブレイズくんが聞いたら拗ねるんだろうなぁ......『あのわけのわからない鳥と一緒にしないでください』とか言いそう......。
「それにしても、オリーブくん意外と力あるじゃん! このウィローさんを受け止めるなんてぇ、結構やりよるのぉ~~」
「え......? そ、そうかな? ウィローさん軽いから......」
「軽い!? ほんと!? 私っ、最近太ってきたかな~~とか思ってたんだけど、もしかしてダイエットしなくても大丈夫だったり?? 深夜ドーナツ解禁してもオッケーってこと!?」
「ふふっ......いっぱい食べた方が、いいと思うよ?」
......あれ?
なん、だろう。なんか。
オリーブくん、いつもと違う。
何が違うんだろう。そばかすが可愛いのは、いつものことでしょ?
オレンジ色の瞳は......いつも以上に輝いてるような、そうでもないような......。
なんか。胸の辺りに、振動が伝わってくるような。
「............?」
髪。灰色がかってるけど、暖色にも見える茶色。黒ごまドーナツのコーティングに、ちょっとだけ似た美味しそうな色......。
大きい角が生えてるからかな。髪のハネが、垂れた犬の耳に見えてくる。
可愛くて、つい撫でちゃいたくなりそうで、
それで、
......それ、で......——
「あーーーーーーーーーっ!!!!」
「!? ど、どうしっ、」
オリーブくんが目の前にいるのに、ついつい大声を出しちゃった。
そのまま私は彼の髪に触れて、頭の上をわしゃわしゃして、
「ない!! ない!!!! どこにもない!?」
「ぅ、っぁ、が、がーでぃなー、うぃ、ろ、さ、」
「アホ毛がなーーーーーーい!!!!」
ない! ほんとになくなってる!!
オリーブくんのアホ毛がなくなってるーーーー!!
「い、いつから!? 切っちゃったの!? アホ毛仲間だと思ってたのにぃ~~っ」
「っ、っ~~、あ、............うん............角とあんまり合わないから......」
オリーブくんは私の両肩に手を置きながら、下を向いちゃう。
や、やっぱり......ない......あの三日月型のアホ毛がぁ......。
「そ、その......実は............後ろの髪も切った、んだ。お、覚えてる? 今まではずっと長くて、その、た、束にしてたんだけ、ど......」
「嘘!? えぇぇええ見せて!!!!」
「あぅっっっ」
私はオリーブくんの肩幅から覗き込んで、彼の背中を眺める。
はわぁ......バッサリいってるぅ......いつの間にぃ......。
「なんで切ったの? イメチェン?」
「、っ、............ぅ............、」
「あ、わかったー! 飛行訓練とかで邪魔になるからでしょ! 翼広げるときに、髪が引っかかっちゃったりしそうだも——」
「うぃ、ウィローさん!!!!」
突き、
飛ば......された。
、え
「ち、違うんだウィローさん、い、嫌だったわけじゃないけど、で、も、でも......っ」
オリーブくんはどんどん口ごもっていく。
前に突き出したままの両手を、少しずつ引いて。指先を震わせて、
その指先まで、赤く、なってて。
揺れ続ける尻尾を掴んで、抱きしめるように動きを止めさせる。
それでもまだピクピクと、ハートの先が動いてる。
橙色の目が少し潤っていて、熱があるんじゃないかってくらい顔も赤く、
————————あ、
「っ、~~~~、......ちょっと............心臓が......もたない、から............っっ」
彼は、今にも座り込んでしまいそうなほど。震えていた。
............オリーブくんは、私のことが好き。
わかってる。あの日の告白も、忘れてなんかなかったのに。忘れるわけないのに。
そうじゃん。
当たり前じゃん、急に好きなヒトにベタベタさわられたらそりゃ緊張しちゃうじゃんっ、
当たり前じゃんっっ、
なのに、わた、し、
......え? 私クズ????
無自覚バカ? 思わせぶり?? あ、悪女!?
相手の好意を知ってるくせに、ずっとあの距離で、勝手に髪とかさわったりして、
撫でたり、して、
離れようともせずにずっと、ぺちゃくちゃ喋っちゃって、
え
あ
「....................................自決します............」
「ウィローさん!?」
あーーー! あーーーーーー!!!! 誰か私を殺せぇぇぇええぇえ!!!!
何が『アホ毛がなーーい』だよ! どうでもいいわそんなこと!!
え? 私のことが好きな男の子に私、ナチュラルセクハラしちゃったってこと? え??
「ご、めん、ごめんオリーブくん私は馬鹿です大馬鹿者です踏んでくださいおやつ抜きにしてください」
「だ、大丈夫だよっ、怒ってないよ全然っっ、むしろ~~~ぅぅううぅ」
「ほんとにごめん、ほんとに最悪じゃん私っ、お、オリーブくんの気持ちで弄んじゃって、」
オリーブくんから3メートルくらい離れたところで、私は頭を下げる。まだちょっとヒリヒリする腰を90度曲げる。
さ、最低、だよ。流石に今のは本当に最低。
だって、私。告白にまだ返事すらもできてないのに。
ずっと保留にしちゃってさ。
甘え、ちゃって。オリーブくんの優しさに、いつまでも......。
「......っ、............ご、め......私............」
どう、挽回したらいいんだろう。
オリーブくんは優しいからなんでも許しちゃうけど、駄目だよ、
そんな、
「......ウィローさん。申し訳ないって、思ってくれてるのなら......」
オリーブくんの足が、一歩、一歩。近づいてくる。
「それなら、一つだけ......聞いてもいい、かな......?」
そして。
私の、手を取ったの。
その手つきが、あまりにも優しかったから。
淡い、彼の匂いが......した、から......。
私は、顔を上げてしまったの。
オリーブくんは。笑ってた。
「......正直に、答えてほしいことがあって......」
『答え』......?
まさか、や、やっぱり、告白の返事?
そう、だよね。そろそろ本当に答えてあげないと、だよね。
もうずっと待たせちゃってるんだから、いい加減、
「わ、私は......その——っ」
「ウィローさんは、キャベツさんのことが好き......なんだよ、ね?」
次話:ご都合主義
です。よかったね!




