老眼
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「すまん、岡西俺は老眼が進んでしまったのか、よくわからなかった」
「隊長、それを言うなら老眼じゃなくて近視じゃないですか?」
「どっちでもいい。そんなことよりどうなってる」
「詠唱が聞こえました。あれは『ファイアブリッツ』ですね」
「岡西『ファイアブリッツ』は蒼かったか?」
「いえ、私のはオレンジですね」
「老眼のせいか、花岡の指に五本の蒼い槍が見えたんだが」
「私にもそう見えましたね」
「一本で何匹倒した?」
「八匹ですね」
「岡西、どういうことだ?」
「私にもわかりません」
「日枝、どうだ?」
「隊長、私四九ですよ。隊長より老眼進んでますから」
「ふ~~っ。まいったな。まだ底も見えんな」
「上級も使えるみたいですよ」
「そうなのか」
「はい、飲みに行ったときに全部覚えてるって言ってましたから」
「まじかよ。こっちは時間がないってのにどうなってる」
「覚悟を決めて後ろからやりますか」
「やれると思うか?」
「自信はないですね」
「ふ~~っ。もう少しみてから、御大に報告するしかないな」
犬が八匹で残された魔石は二個。
特別ドロップ率が高いわけではないけど、一度に現れる数が多いおかげもあって連続で魔石が手に入った。
しかも今度のは少し大きめだ。
寒いというマイナス要素はあるけど、そのかわりと言ってはあれだが、7階層って実入りはすごくいいんじゃないだろうか。
“やべえ、修太朗無双”
“何あれ。ホーミング強すぎ”
“修太朗の中級やばい”
“なんか7階層ってイージーだな”
“そうそう。鴨ネギな感じでモンスターがまとめてやってきてくれる。そんなわけあるか“
7階層は、モンスターの出現頻度が高い事もあって進行速度自体はペースダウンした。
おかげで、みんなの体力もそこまで損なうことなく帰路に就くことが出来た。
ただ時間の都合で帰りもハイペースで飛ばすことになってしまった。
「それじゃあ、やりますか」
明神隊と別れ、事務所で自分の報告書を書き終えてから湊隊長からお願いされてサポートをしていると湊隊長が小声で声をかけてきた。
「修太朗さん、最近凜との距離が近いというか……」
「ああ、すいません。迷惑をかけるつもりはなかったんですが」
「いえ、迷惑というか、少し気になったので凜と何かあったんでしょうか」
「あったといえばありましたかね」
「差し支えなければ伺っても?」
特に隠すようなことでもないので、昔凜を犬から助けたこと。連休に凜と実家に行ったことを話した。
「そうなんですか……実家にというのは、挨拶にという事でしょうか」
「挨拶?」
「結婚……とか」
「いえ、いえ、そういうんじゃないです。凜が静岡に行ってみたいっていうからそれだけです。まあ、うちの両親は勘違いしていたようですが」
「そうですか。二人は特別な関係だったりするのでしょうか」
「特別⁉ 仲はいいと思いますが、そういう関係では」
「そうですか」
「はい」
「凜もだったんですね……」
凜も?
どういう意味だ?
そうつぶやくと湊隊長が難しい顔で何かを考え込んでしまった。
女性がこういう表情を浮かべているときはおそらく触れない方がいいのだろう。
女性経験は薄くとも四十年という人生経験がそうサイレンを鳴らしているので、俺は意識を書類へと集中させる。
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