魔界の礎
私は「時の加護者」アカネ。
魔人ローキは次に自分が次に取るべき行動に迷いを感じていた。フェルナン国のジイン王の助言を聞き北西山脈にいる光鳥クリルに会いに行った。間近で光鳥クリルに対面した魔人ローキはつい「母上」と口走ってしまう。魔人が光鳥に対してなぜ母の面影を感じてしまうのか、クリルはその秘密を紐解く。
——今は消された6年、南極タイサント
「奇跡の暗欄眼」を持つ少女結月の力を利用しハクアは光鳥レイを消し去った。
だが、その時、光鳥レイは察したのだ。
「奇跡の暗欄眼」を持つ者が現れる時『それは新たな秩序が創られる布石なのだ』と。
光鳥レイは成り行きに抵抗せず消滅という運命を受け入れた。
だが、それは光鳥というエネルギー生命体から別の存在へ成るための試練だった。
やがて、ツグミの癒しの魔法が「奇跡の暗欄眼」によって、この世界を包み込んだ時、世界に新たな秩序が加わったのだ。それは、この惑星が「法魔の加護者」を認めた事に他ならなかった。
そして生まれた異世界が、魔界だ。
光鳥レイの莫大なエネルギーは「魔界」を作る礎となった。そして魔界は「魔界を見守る魔鳥レイ」の卵を創りあげたのだ。
——卵は今も魔界の奥深くで光り輝きながら鳴動している——
「ローキよ、それが、魔人が光鳥に母のような懐かしさを感じる理由なのです」
ローキは光鳥という存在の懐の深さに涙を流していた。
「しかし、ローキよ。この事をドルヂェに気づかれてはいけません。力を追い求めるドルヂェがそれを知れば、魔鳥の卵をわが物にしようとする事でしょう」
「わかりました、クリル様」
「でも、大丈夫でしょ? 今の所、魔人が魔界へ帰れる方法はないと聞いたよ。魔界に帰る前にやっつけちゃえばいいんじゃない」
ラヴィエが能天気に明るく言った。
「いえ、ラヴィエ様、私たち魔人が魔界の場所を知る方法がひとつだけあります。それは『法魔の加護者』に触れる事です。その瞬間に魔界の場所がわかり、魔人は容易に魔界へと帰る事が可能になるのです」
「それならば、当面は大丈夫でしょう。『法魔の加護者』であるツグミは人知れない場所へいます。ですから、魔人ローキよ、今はまず、ソルケの最後をシャーレに語り伝えてください」
***
「そうか.... 」
ローキがソルケの最期を事細かく話すと、シャーレはひとこと呟くのみだった。
ただ、ローキからソルケとブレスは永久の凍結の状態であることを告げられると、一言だけ呟いた。
『私も間違える事があるのだな』
そう言いながら地平線の夕日を眺めるのだった。しかし、その顔に深い悲しみの色はなかった。
***
「ローキ、これからどうするの? もし、行くところがなければ、一緒に王都フェルナンに来る? 」
「ありがとうございます。ですが、私がいると再びドルヂェの攻撃に会うかもしれません。私はひとりで行動いたします。ですが、もしもフェルナン国に何かありましたら、これを割ってください。割れば私がお助けいたします」
ローキは木でできた髪留めをラヴィエに手渡した。
「これは? 」
「これは私がダリの為に作った髪留めです。私はダリの事を愛しているのです」
「だめだよ、そんな大切なもの」
「気にすることはございません。私たちの事柄は全て嘘なのです。何千年も生きていることも嘘であり、ドルヂェと兄弟というのも嘘なのです。私がダリを愛し、彼女の為にこの髪留めを千年朴樹から作ったとうのも全てが嘘なのです。ですからいいのです」
「うん。わかった」
「では、私はここでお別れいたします。お気をつけてお帰りください」
ラヴィエを送るローキの姿はどこか寂しそうだった。
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