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時の加護者のアカネの気苦労Ⅲ~闇を招く手  作者: こんぎつね
2章 永遠の凍結
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無慈悲

 私は「時の加護者」アカネ。

 ナンパヒ島では魔法で成長したツグミによって魔人ルカの欠損した肉体が再生した。あとはルカの心が癒されるのを待つだけだ。


 だが、私たちがナンパヒ島にいる間に魔人ドルヂェはソルケやローキに接触し、フェルナン国への蹂躙を宣言したのだ。


—フェルナン国—


 「運命の祠」から北上しフェルナン国の西の村に侵入したドルヂェは魔人ジャクの能力を使い極鳥パルコを呼び寄せた。


 40℃以上の熱風が村を逃げ遅れた老人はベッドの上で干からび、茅葺の屋根には火が着き、村は業火に包まれる。


 そして着の身着のまま脱出した村人を襲ったのは、マミラというムカデから生成された小型魔獣だ。その数は百を越えていた。


 ソルケとローキがその村に着いた時には、ドルヂェは既に次の村へ向かっていた。


 「酷い。私は何千年も生きているが、こんな残酷なことをする者はいなかった」


 足元に落ちている魔獣マミラが食べ残した赤子の腕を見ながらソルケは言った。


 「ソルケさん、魔獣が私たちの気配に気が付いたようです」


 村人を食べることで魔獣から魔獣人へと進化した魔人獣マミラがワサワサとでてきた。その上半身は今ここで魔獣たちに食べられた村人だ。


 [ グガァ.. ガァ ]


 苦悶の表情を浮かべながら喚き散らす魔人獣を前にソルケの悲しみと怒りが頂点に達した。


 「ローキ、巻き込まれないようにお前は闇穴に入っていろ」


 「しかし、わた— 」


 ソルケの涙が凍る様を見てローキは闇穴へ入る。


 [ キュッケケ キュッケケ ]


 甲高いカエルのような鳴き声をムカデの口が発すると全てのマミラが一斉にソルケに襲いかかった。


 「私が大切に思っている者たちを、よくも! よくも!」


 体を齧られようとも微動だにしないソルケは、冷気と共に『不縛の剣』を振るった。頬に流れた涙は氷の結晶となって煌めきながら宙に舞うのだった。そして剣を振って、振って、振るい続けた。


 しばらくして、闇穴から出てきたローキが見たのは何もない景色だった。散乱した村人の体も魔獣の遺体も、目に見えるもの全てが消え去り、無機質な氷の結晶が風に吹かれて舞い上がっているだけだった。


 冷たくなった地面に膝を着いたソルケの嗚咽は、虚しさの中に響き渡るだけだった。


 「ソルケさん、先を急ぎましょう。ドルヂェは同じことを他の村にもいたします。そして王都フェルナンにはさらに酷いことをするかもしれません」


 ソルケは悲しみを引き千切るように地面から立ち上がった。


***


 王都フェルナンの大門はシャーレとクローズの女神像とともに音もなく抉られ、消滅していた。もちろん門番をしていた衛兵もろともだ。


 「さぁ、王都の者よ。上を見ろ! あそこには極鳥と冷鳥が飛んでいる。お前たちは、寒いのと熱いのはどちらがいい? 究極の選択だ」


 王都の隅々まで聞こえる地から沸く声に人々は恐怖した。


 「お前たちに逃げ道はない。お前らがこの王都から外へでた瞬間にこの魔獣どもの餌になると思え」


 ドルヂェはムカデ魔獣マミラの他、周辺の森にいた怪鳥魔獣トリュテスクロー、サソリの魔獣ロックチェアー、地を這うモグラの魔獣バグジを引連れていた。


 王都の城壁まわりは誰一人逃げられないほど魔獣に埋め尽くされていた。


 だが、そこに魔獣たちの血の絨毯が出来た。激しく慟哭する剣を持つ男が道をつくり近づいて来る。


 「その選択肢はどれも却下だ、クソヤロウ」


 「ほぉ、ここにも楽しめそうな男がいたな。名を聞いてやろう」


 ドルヂェは腕を上から構えて指をさした。


 「偉そうに指さしやがって、ムカつく奴だな。俺の名はアコウ。『アリアの意志』を継ぐ者だ! 」


 アコウが持つ「アリアの剣」の周辺が怒りの波動で歪んでいた。


★作者こんぎつねからのお願い。

この度はありがとうございます。

実は作者はモチベ維持のためにみなさんの感想などをいつでも受け付けています。

ですので、一言二言でも残していただけると励みになります。

厚かましいお願いですがよろしくお願いします。

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