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時の加護者のアカネの気苦労Ⅲ~闇を招く手  作者: こんぎつね
2章 永遠の凍結
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炎と純真

 私は「時の加護者」アカネ。

 ギプス港を出港したカレン調査船。目指すは神出鬼没の島・ナンパヒ島だ。場所を示す光鳥シドの羽根を持つ船に接触してきたのは島の守護者である海獣プーフィスでも翠のレフィスでもなかった。天空の魔人ジャクだった。ジャクは使役する冷鳥フロアを呼び出し船へ攻撃を仕掛けて来た。船の上では攻撃のしようがない。早くも危機がやってきた。

—ギプス港~ナンパヒ島へ—


 冷鳥フロアが左右からステレオの様に泣き叫ぶと海面が両端から凍り付いた。


 まるでドキュメンタリー番組で観た事ある北極や南極の海のようだ。


 「カレン様、ダメだ! この氷を何とかしなきゃ、船はこれ以上進めねぇ」


 ラオス船長の叫び声がこだまする。


 まんまとジャクの思惑のままになってしまった。


 「はははは。闘わなくてもなぁ、状況で勝敗が決まる事ってあるんだぜ、単細胞のおバカさん」


 ジャクは自分の頭を指でさしている。


 「く、あんな頭悪そうなガキにしてやられるなんて」


 ジャクは調子づいて踊る様に宙を舞っている。


 「さてと、じゃあ、この動けない船を目がけて特大をお見舞いしてやろうかな♪ 」


 [ アクサタナトール・ラードン!! ]


 瞬く間に大空に超巨大積雷雲が発生した。

荷電域が細かくバリバリしているのがわかる。


 万事休す!


 「さぁ、雷よぉ.. お..おおお」


 急にジャクが弱った蚊のようにヨロヨロと力ない飛び方をし始めた。そのよろめきと共に雷は全く別の所へ落ちていく。


 稲妻の光にジャクの背中に浮く4枚の翼が、いつのまにか2枚になっているのが見えた。


 ジャクはそのままフラフラと凍り付いた海の上に落ちて行った。


 「お、お前らぁ、俺に何をしたぁ!? 」


 ジャクが訊ねるが、まったく何が何だかわからない。


 どうやらジャクの力がどんどんと無くなっているようだ。


 「く、くそ、魔素が抜かれる。 早くここから離れなくては.. 身体が依り代と分離しちまう 」


 氷の上を歩きながら船から遠ざかろうとするジャクの前に立ちふさがったのはシエラだった。


 「僕に足場を作るなんてお前、馬鹿だな。まさか、このまま無事に帰れると思っているのか? 」


 シエラがジャクに蹴りを繰り出そうとした時だった。


 黒い炎がシエラとジャクの間に割って入った。


 船から身を乗り出し炎を発したのは、意識を失っているはずのルカだった。


 「ジャク、にげて.. 」


 ルカは体の中に残るわずかな魔素を絞り出しジャクが逃げる隙を与えた。


 だが、私は見た。ルカの放った黒い炎が一瞬ジャクの身体に燃え移ると赤い炎をあげていた。


 「ル、ルカァ」


 そのジャクの顔は今までの悪童のような険がなくなり、純粋な少年の顔になっていた。


 「逃がすものか! 」


 シエラの手がジャクの羽を掴もうとしていた。


 その時、海の氷がバキバキと割れ大きな氷塊がシエラの手を阻んだ。

 

 ジャクはその隙に冷鳥フロアの背中に乗ると大空へ羽ばたいていった。


 シエラは青い海が氷を飲み込む前に氷塊を蹴り、船に戻って来た。


 「すいません、もう少しのところで逃がしてしまいました」

 「うん。大丈夫だよ。シエラはよくやってくれたよ。それよりあの子の顔を見た? 」


 「あの子というと? 」

 「 ..ううん、いいの。何でもない」


 そうか.. これがドルヂェがルカを遠ざける理由なんだと実感した。


 ルカの炎を当てられた魔人は純真さを取り戻してしまうんだ。だからドルヂェの野望にはきっと邪魔でしかないんだ。


 やがて、この空と海の異変に空のレフィスと海のプーフィスがやって来て、私たちをナンパヒ島へと案内してくれた。


 しかし私たちは気が付かなかった。


 ジャクが力を弱めた時に耳から抜け落ちたピアスが船の上に落ち、それを船員がポケットにしまっているのを。


 それはダリがジャクに与えた魅惑のピアスであることも知らずに..


 そして貨物室では人知れず大男がイビキをかいて寝ていた。肩には男とは不釣り合いな可愛い蝶がピンクサファイアの光を放ってとまっていた。


★作者こんぎつねからのお願い。

この度はありがとうございます。

実は作者はモチベ維持のためにみなさんの感想などをいつでも受け付けています。

ですので、一言二言でも残していただけると励みになります。

厚かましいお願いですがよろしくお願いします。

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