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時の加護者のアカネの気苦労Ⅲ~闇を招く手  作者: こんぎつね
2章 永遠の凍結
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船上の不利

 私は「時の加護者」アカネ。

 いよいよ私たちはカレン調査船に乗り込んでギプス港を出港した。さて、光鳥シドの羽根の気配に海獣プーフィスが先か、それとも翠のレフィスが先に現れるのだろうか?どちらにしろ私のことは覚えていないだろうし、魔人を乗せている船を簡単に通すようなことはしないだろう。考えても仕方がない。こうなったら成るように成れ!


—航海2日目


 (あの子たち、無事にフェルナンへ着いたかしら.. )


 私は船の上の不利をハクアとの闘いで知っていた。接近戦で闘う自分とシエラに最も不利な場所が船と言える。それ故に、ラインとソックスに言伝という名目のもと、この航海から遠ざけた。


 もちろん、2人は嫌がって縋りついてきたけど..


 その温もりが今もまだこの腕に..


 「ラインとソックスが心配ですか? 」


 甲板にシエラが上がって来た。


 「うん。だって私にとって2人は弟と妹だもん」


 「大丈夫ですよ。『時の加護者』の恩恵を持つ2人に追いつける者など絶対にいませんから」


 「そうだね」



 航海2日目にもなると陸から遠く、空には水鳥の姿さえ見えなくなっていた。



 「そう言えば.... クローズが言ってました。あいつ、魔人の手下と思われる魔獣と闘ったと」


 「そうなの? シャーレは言ってなかったよ」


 「あの方は基本、こちらから訊ねなければ答えないですから」


 「そうだけど.. で、やっつけたの?」


 「はい、無論、ぐちゃぐちゃの肉塊にしたそうです」


 「よかった.. 見ることなくて.. 」


 「気になるのはなぜ魔獣を闘わせたかです。その場にはソルケもいました。ソルケとクローズを相手に魔獣などでは歯が立たない事などわかりきっている。では、なぜ闘わせたのでしょうか」


 「弱点とかを探っているとか? 」


 「もちろん、それもあるでしょう。しかしその弱点を知ったとしても『法魔の加護者』の副産物であるあいつらが『加護者』やそのトパーズに勝てないのはわかりきっている。憶測ですが、僕が思う事を言ってもいいですか? 」


 「うん」


 「あいつらは僕らに勝てる確信があるんだ」


 「でも、さっき『勝てないのはわかりきっている』って.. 」


 「はい、それは今の現状です。あいつらは将来的に勝てると見込んでいる。だから僕らがどれくらいの強さかを観察して、自分が闘いを挑む時期を見計らっている。だから、あいつらは無暗に国攻めをしない。それは一重に『今』は勝てないから。僕はそう思うのです」


 「じゃ、今は力を蓄えているって事? 」


 「蓄える.. いいえ、力を蓄えても所詮は魔人。僕は何かもっと違う事を考えているように思うんです」



 「へぇ、その『違う事』って何だろうねぇ。俺も知りたいな」



 まさか!

 私の耳元で囁いたのはダリと同じ右耳に6連ピアス左耳に大きな1連ピアス、そして下唇にリップピアスを付けている15歳くらいの少年だ。


 シエラの拳が唸った。


 「ははは。シエラさん、あんたの先制攻撃がくっそ鈍いのは、ダリの情報で知っている」


 まるで空間を瞬間移動の様にジャクは宙に浮いている。


 「あんた、ジャクね。私たちを待ち伏せしていたの? 」


 「はははは。待ち伏せなんかしねーよ。そんな面倒くさい事するなら、こちらから行ってやるさ」


 「なら、なぜやって来ない? 」


 「 ....」


 シエラが逆に聞き返すとジャクは黙ってしまった。


 「ね、アカネ様、言ったとおりでしょ。こいつらは僕らには勝てないことを承知しているんですよ」


 「う、うるせー! それよりもお前ら、どこへ向かっている? 」


 「お前に教える義理なんてないだろ? それよりも家に帰れよ。あ、そうか、お前らは家の場所がわからなくなって帰れないんだっけ? 」


 シエラがジャクを煽りまくる。


 「きーっ! 」

 

 〘 落ち着きなさい、ジャク。貴方は貴方がやれることをしなさい 〙


 「シエラ、今、何か聞こえなかった? 」


 「ええ、僕にも聞こえました」


 「 ..ふぅ.... わりぃ、ドルヂェ 」


 ジャクはぶつぶつと独り言を言いながら落ち着きを取り戻した。

 そして、また船に降り立つと、質問を繰り返した。


 「いったい何処にいくんだ? ..ん? 何か感じるな.. この気配は.. そうか、お前らルカを乗せてやがるな」


 〘 〇〇〇——〇〇、——〇〇〇 〙


 「また、何か聞こえる。アカネ様、わかりますか? 」


 「小さい声でわからない」



 「ルカに俺とダリの邪魔をさせるわけにはいかねぇ」


 ジャクは指を天に向かってゆっくりと回転させ始めた。

 

 魔法を使うつもりだ。


 「船長―っ!! 全力で前進して!」


 「無駄だよ。あんたらはここから進めなくなるのさ」


 —リィ リィリィリリリリィ —


 今まで水鳥1羽もいなかった空に大きな鳥が2匹現れる。


 次の瞬間、冷鳥フロアが船に向かって冷たい咆哮をあげた!

★作者こんぎつねからのお願い。

この度はありがとうございます。

実は作者はモチベ維持のためにみなさんの感想などをいつでも受け付けています。

ですので、一言二言でも残していただけると励みになります。

厚かましいお願いですがよろしくお願いします。

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