歪みきっていた性格
エリオスたちの苦労話です。
「そうなると、僕の性格だって……」
「どの性格だ?」
「昔のも今のも。」
「昔のはまあ無くもないけど……あれはどう考えても姉の教育によるものだろ?で、今のは才能?つか素質?アイリアに逢って昔の歪みきった性格の根元が壊れて元来のソレが出ちゃったみたいな。どっちもまあ歪みきってるが。」
「歪みきった……ね。そうだね。僕らの歪さは黒血のせいかもね。」
どこか歪んだ性格、私のはその歪みが大きかっただけ……だろうか。
「でもエリオスさんは比較的ましな気が。」
「はぁ?何言っちゃってんの。いや、確かにまあ素を見てないからあれだけどさ。エリオスは僕とリディスを足して二で割ったようなイイ性格してんだよ?リディスの口の悪さは確実にエリオスの影響だって。いやまあ素質もあるけども。」
「ハイリツ、お前……」
「え、あ、つい本音が。いやでも別に本当のことだし?ほら、全員目をそらしまくりだよ。みんなそう思ってたんだよ。」
確かにエリオスの素を知ってる人たちは目をそらしまくっていた。
「いや、そうじゃなく……お前、自分の性格の悪さに自覚があったんだな……」
「そっちか……いや、さすがにまあね……性格を改善しようとは思わないけどさ……我ながらかなりの性格だよね。独占欲とか半端ないし、嫉妬深いし……まあこれはアイリアに逢ってから気づいたことだけど。」
「なんせ、見るな、触れるな、考えるな、ついでに話しかけるな。だもんな。」
高校時代のエリオスのクラスのルールだったそうだ。無論アイリアに(を、について)、という言葉が前につく。ハイリツ曰く害虫駆除。ちなみに破った人は私刑。クラスメートは受け入れるも他クラスの人や教師はかなり迷惑を被ったとか。こんなのクラスメートに欲しくないわね。
「あの時は大変だったよね……男子がアイリアに話しかけるときに女子に頼んでたもんね。」
「よくまああんなルールが受け入れられたよな……僕の妹は大変だったんだぞ。」
アリスはたくさん伝言を頼まれていたらしい。
「え、ああごめんなさい。」
「いいよ。大丈夫だったもんね。えへへ、お兄ちゃん褒めて。アリスを褒め称えて。」
「アリスは偉いね。」
「えへへ。」
嬉しそうにするアリス。褒め称えてというお願いを私は初めて聞いた。しかも冗談じゃないし。本気だし。
「あれが受け入れられたのは、中学の時からいろいろあったからだろ……それはもういろいろ……」
「僕は害虫駆除をしただけだろ?」
「クラスの全員が見守った恋愛は多分あれだけだ。お前らが付き合い始めた時にこれで被害が少なくと喜んだんだぞ……これで少しだけ他クラスの害虫が減ると……噂を流して、大急ぎでアイリアに嫉妬した奴らを説得、春休みいっぱいかけてそいつらの彼氏探し。いやはや大変だった。高校卒業の台詞は両親や教師への感謝でも後輩への頑張れよでもなく、これでやっと苦労せずに済む、結婚式には呼んでくれ、それは俺たちの苦労の結晶だから。なんてクラスは後にも先にもうちだけだ。俺なんてご愁傷さま、まあ幼馴染だったことを悔やめ、何かあったら駆けつけてやるとまで言われたんだぞ。」
どんなクラスなのよ。まあ何人かは知ってるし、苦労話も聞かされたけれど。
「今なら彼らはどんな仕事もできるだろうね。僕に感謝すべきだ。」
「この前まだ結婚しないのか、一体何があったんだ、早くしてくれ、苦労が報われないと言われたぞ。あと、子供ができたら全員で育てる、じゃないと歪むと。」
「便利な奴らだね……あれだね、僕らの子供ができたら僕らより親バカになりそうだよね。」
「お前な……」
「まあ感謝だけしとくよ。」
「そうか……」
頑張ってますねー本当。今私が練っている構想のことを考えるとこの苦労は最終的にほぼ全部水に流れ……いえ、何も。当時のハイリツさんの考え(ちょっとしたネタバレを含む上黒いです。注意。)は、
(あー、みんな頑張ってるなー。馬鹿なのかなー。まあクラスメートはともかくエリオスがね。僕のこと信用しすぎだし、なーんにも気付いてないし。下手すりゃこいつ、そこらへんの女より可愛いんじゃないの? 拷問したくなってくる。絶対いつか泣かせよ。可愛いに違いないね。あ、スイッチ入ってきたかも。仕方ないな。どっかにいい獲物は……あれでいいや。)
「愛してるよ。アイリア。だからあの害虫壊してくるね。」
無自覚でエリオス気に入ってるってどうなんでしょうか。ちなみに現在進行形で無自覚です。エリオスは友達の一人、いつでも切り捨て可能って思ってます。




