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恨まれていた現学園長

長め?

「で?さっきのは何ですか?」

「外に出てからね。」

外に出る。うーん……新鮮な空気って素晴らしいよね。

「で?」

「そんなに言わなくても教えてくれるって……」

「くれる?って……」

「頭使いたくないからね……エリオスに聞いてね?」

「なんで俺……」

そりゃあ仕方がない。なんか一番ちゃんとした説明できそうだし。まあハイリツでもいいんだけどさ。一番詳しいのはエリオスだろうし。

「シェール……月巫女って知ってるか?」

「知ってたら聞きません。教えてください。だめならいいですけど……」

だよねぇ……まあ結構そのまんまな感じだから想像力を働かせれば分かるだろうけど。

「だめじゃない。月の精霊を召喚することはどんな魔楽師でもできないだろう?」

「そうですね。」

月の精霊はどんな魔楽師でも召喚できない。他にも星、太陽等々結構そういう精霊は多いわけで……

「でも、月巫女の一族は召喚できる。ただし血が必要だがな。で、ルーチェの母親は月巫女の――――ネイレストの一族の直系。ということでその娘にもその能力は宿っている。こんなもんでいいか?」

「すごいね。完璧だよ。まあ補足すると、月の精霊の力はすごく強くてね、特に浄化に優れているんだよ。まあ不要な説教も付いてくるけどね……」

月巫女は白魔楽師に似てるのかもしれない。ちなみに、月巫女以外には星巫女もいる。

「そうなんですか……大変なんですね。」

「何が悲しいって普段から散々出血しているせいで多少血がドバドバでようが何も感じなくなっちゃったことだよね。」

「まあ自業自得ってことで……ね?ほら、出血だって悪いことじゃないんだよ?吸血鬼には好まれるよ?」

「嫌だよ……そんな微妙な……はぁ。」

「ため息ついたら幸せが逃げてくわよ。」

「もしそうなら世の中の人はみんな不幸だよ。」

「それで?あの岩、どーするのさ……まさかと思うけど僕に転移させるつもりじゃないよね?」

「わーハイリツすごいね。あれって白魔楽の触媒の原料だからね。ミリエナの家まで魔法で運んでもらおうと思って。」

強力な悪意の塊を浄化するとそれは強力な聖なるものとなる。これ常識。

「分かったよ……貸しね。」

「はいはい。」

一瞬にして岩は消える。さすが最強の魔術師。貸しについては……まあエリオスに貸しを作るよりずっとましだしいいか。

「ハイリツすごいね……これで少しは妖怪も減ったかな?」

「まあ少しは減っただろうな。」

少しね……ああ悲しい。こういうの、専門じゃないのに。まあオパールも頑張ってくれてるみたいだしいいけどさ……

「もうやだ……家でゆっくり寝たい……」

「はいはい。じゃあまあ頑張って。」

「……もう十分頑張った……」

「ていうか、あの岩どけちゃっていいんですか?」

「先代の学園長はいい人だった。まあ腹黒かったが……」

ああ、らしいね。ここの学園長はとある一族が代々継いでるらしいけど先代……つまり今の学園長の父親はものすごくいい人そうにみせかけてものすごく腹黒かったらしい。

「いい人だったわね……その分腹黒かったけれど。」

「多分この岩のことも知ってたんだろうね。」

「きっと自分の息子の性格も熟知してたに違いない。」

「ここを死体置き場にしなさい。くらいしか言わなかったんでしょうね。自分がここに置いていたものはわざわざ作った新倉庫に入れて……」

「いい人だったよな……俺たちが問題を起こしても笑ってるだけだった……」

「目は笑ってなかったけどな。」

もういろいろ微妙だな……いい人なのか悪い人なのか……というかお前ら問題起こしすぎだろうと思うのは私だけかな?

「わざと気付かないふりして問題起こしまくってたよね。僕ら。」

「卒業式の日に笑って俺たちにこれで少しは楽になれるって言って喜んでたよな。」

こいつら、どんだけ悪いんだよ……ってまあ知ってるけど。昔の話は聞いたことがあるし。

「ま、とにもかくにも今の学園長は知らないだろうからな。この岩のことなんて。」

「そうそう。親の七光りだし。」

「能力ゼロだし。」

「あんな奴死んじゃえばいいんだよ。ま、僕が殺すけど。」

「今不穏な言葉が聞こえて来たんですけど。」

ああ、シェールは知らないもんなぁ……ハイリツとアイリアと現学園長の関係。

「ま、簡潔に言うと、現学園長がアイリアを犯しかけて……」

「それをハイリツが救ってあげて……」

「現在二人が付き合ってるってことだね~。」

そういうことですね。

「なんでそんな人が学園長になってんですか……」

「仕方ないよ。先代の子供が一人しかいなかったんだから。先代ももう年だしね……だから、僕が殺すんだよ。あいつを……いつかね。絶対に殺す。生まれたことを後悔するくらいに貶め、辱めながら。」

ま、仕方ないか。現学園長が悪いということで。自業自得。

「だからって……殺さなくてもいいのに……」

シェールは純粋すぎるよ。悪に善で刃向かったってこの世界では無駄だ。裏の世界で生きるなら、悪には悪で刃向かい、いつだって殺す準備をしておかなくちゃ、自分が殺される。ハイリツを含め、私たちが生きてきたのはそういう世界だ。


ルーチェの言う私たちは自分やハイリツやエリオスのこと。ちなみにこの話で過去が悲惨な人ランキングを作ると一番すごくて歪んでるのがハイリツ。一番傷になっているのはルーチェ。ほぼ乗り越えたのがエリオス。当時一番苦しんだのはアイリアとリインだと思われます。

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