特に何事もなかった準備
更新が遅くなって申し訳ございません。
「何するんですか?」
「ペンダントを出すだけだよ。」
昔、契約のため、そして私のために渡されたペンダント。
「きれいですね。赤紫の触媒ですか?あ、でも六角形じゃなくてしずく型ですね……。」
「うん。もとは赤だったんだけどね。結構珍しいものなんだよ。」
「居場所が分かるんですか?」
「うーん……曖昧だけどね。学校内にいるかってことといたら場所は大体特定できるかな?」
まあ、感覚に頼るところもあるが。その辺は気にせず……。
「この調子だと……家ってことはないね。学校と家の間かな?ま、車だろうからちょっとしたら来れるか。」
赤紫が少しずつ……本当に少しずつ赤に変わっていく。この学校内なら分かるのは私か美術教師くらいのものだろう。
「ま、とにかく気をつけて捜査しなきゃね。シェール。黒魔楽も楽器にストックためれるよね?」
魔楽は楽器にストックをためることができる。つまり、ストックをためるために、ちょっとした操作をすれば弾いた分ストックがためられ、呪文一つでためていたものを出せるというわけだ。ただし白魔楽は例外。ストックはためられない。
「ええ。結構ためてます。妖精五。結界十。かまいたち十五。龍一ですね。」
「そんだけあれば十分。」
とりあえずのところは、だけれど。まあ、エリオスに会えば何とかなるし。シェール一人ならミリエナが守れる。
「ここで準備しといたほうがいいかな?危険そうじゃないし。」
「うん。そっちのほうがいいでしょ。目立ったことはしないでよ。」
「大丈夫。私の場合は銃と体さえあればどうにでもなるから。ミリエナは?」
たしかに。元人間でもリインは現吸血鬼。身体能力はかなり高い。そのうえ銃器の扱いはプロ並みだ。
「私は大丈夫よ。いざとなればリージア解放するし。」
ミリエナは体の中に女神がいる。罪を犯し、玉の姿にされた女神。その玉に触ってしまったミリエナは彼女に取りつかれた……といってもミリエナ自体に被害はなく、それどころか、彼女はミリエナを気に入って何もしないから誰もどうにかしようとは思わないというか利益しかないし。
「ルーチェは?大丈夫だよね?」
「当たり前でしょ。とりあえず剣だけ持っとく。ジャスティス。」
剣の名前を呼ぶと、私の手に現れる。
「どうなってんですか。それ……」
「ま、なぞの多い剣だから。いろいろと。」
実を言うと、伝説の暗殺姫と呼ばれる彼女が持っていた武器で、ついでにエリオスの祖先だったりする。つまりは、武器だけど人で人だけど武器なわけだ。形状は変えることができる。暗殺姫の武器で騎士で右腕。といっても、彼はこれが原型である黒い鎌となったときにしか現れないが。
「しかも人型にならなければ声聞けるの私だけだし……。」
「何か言いました?」
「何も。とりあえず職員室行こ。」
職員室のある中学棟まで慎重に進む。と、中学棟と音楽室のある芸術棟の中間程度のところで、大きいネズミらしきモノ、つまりは妖怪に会った。
「あんた何?」
「答える義理はない。」
まったく、近頃の妖怪は人の力を見る目がない。
「ブレイカーって知ってる?」
「あぁ。当たり前だ。知らないやつなんぞいない。」
だろうね。いろいろやってるし。
「それについてどう思う?」
「怖い。純粋に恐怖の対象だ。」
「まともね。で、私はそのブレイカーの奴隷なんだけど?」
妖怪、青くなる。素晴らしい色の変化だった。
「う……そ……だろ?」
「本当。これ見れば分かるよね。」
リボンをとり、ブレザーの下に着ているブラウスの第一ボタンをはずす。
「何考えてるんですか。」
「ね?分かるよね?」
白い肌の鎖骨の部分に呪いのように刻まれている青い魔法陣のような印。妖精のアルファベットでEとLが書かれている。Eが左上でLが右下。Eの右下とLの左上は重なっていて二重の円で囲まれている。円と円の狭い間には細かい精霊語がびっしりと書かれている。
「Lは私の名前、ルーチェの頭文字。Eは……言わなくても分かるでしょう?」
エリオスの頭文字。そして、その刻印が青ということは……刻印の意味するところは……
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ブレイカーってすごいよね。うん。




