静かだった学園内
「ま、会って声聞きゃ分かるよ。名前を呼ばれたらどんな鈍い人でも気づく。何かがおかしくなるのがね。しかも、本人があまり制御しようとしないしね。まあ安心しなよ。一番影響受けてるのは私だから。」
「でしょうね。私たちはたいして影響ないもの。少し制御してるんじゃないかしら?ところで、どうしてチャイムがならないうえに先生が来ないの?おかしいわ。」
確かにそうだ。みんな気づいているのに喋っているのは都合がいいからだろうけど……さっきから嫌な予感がする。
「仕方ないなぁ。少し様子を見てみるかな。でも、職員室が制圧されてたらイーリン先生が気づくはずだし、行動を起こすはずなんだけどね……。」
なんたって私と同族なわけだし。私ほどではないけれど強いし。
「でも、チャイムを管理するのは職員室じゃないわよ。精霊でしょ?音楽の先生は音楽職員室にいるし……鍵がかかってるわよ?」
「うーん……とりあえず外でるかな。チャイムがならないことはみんな分かってるはず……。」
あれ?でもどうして避難しろなどの放送がこない?やっぱり職員室が制圧されてる?イーリン先生は?情報が少ない今、やっぱり外に出るのが上策。
「ま、大したものじゃなければエリオスの名前を出せばいいし。」
「そんなにすごいんですか?」
「一部の世界じゃ絶大な影響力を誇るよ。妖界、それから裏世界。エリオスの味方だって言えば何とかなるね。逆に恨まれて殺されかける可能性もあるから微妙だけど。」
あの男が今まで何をしてきたかがよく分かる。名前を出したらみなさん顔が青くなるってどうよ。たまに赤くなる人もいるけど。怒りで。
「さて、行きますか。」
「ルーチェ?どうしたの?」
「ちょっと外出てくるよ。みんなはそこにいたほうがいいと思うけどね。危ないかもだし?」
「え?でも……ルーチェ達はいいの?」
「いいのいいの。私たちには幸運の女神様がついてるから。あぁ……違うな。そうじゃなくて、最も強くて最も凶悪で最も恐ろしく最も狂った悪魔。すべて冷酷に壊しつくす最悪の存在。味方にすれば最高、敵に回せば最悪。何でそんなのに気に入られたんだか。どうせなら幸運の女神さまに気に入られたかったよ……」
「意味分からないよ。」
だろうね。まあミリエナとリインは苦笑してるけど。
「ま、じきに分かるでしょ。漆黒だから結構目立つし。」
なんせ先祖は黒の騎士だ。別名黒の武器ともいう。この広い世界でたった一つ、漆黒の髪と瞳を持つ一族のモノ。
「じゃ、とりあえず行ってくるね。」
「そうね。行きましょ。」
「シェールもちゃんとついてきてね。会ってみたいでしょ?」
すべてを変えていく漆黒の存在に。あれが地獄の王といわれて納得できるようなモノに。
「えぇ。ルーチェさんを手なずける存在には会ってみたいですね。」
「否定できないあたりが悲しすぎるわ。」
というわけで、私たちは外へ出た……。
「あまりに静かすぎない?」
「うん。鳥の声すら聞こえないよ。普段ならうるさいくらいなのに。」
「とりあえず職員室かしらね。」
「いや。ちょっと待って。やることあるから。」
学校の外がどうなっているかは知らないけど、どうせエリオスは何ともないだろうし。むしろ暇つぶしができて喜んでいる気がする。私との約束は必ず守る人だから絶対にここに来るだろう。それなら学校内のどこにいるか分かるようにしたほうがいいはずだよね。一緒に暇をつぶしたいし。
エリオスが言われたい放題。まあ事実最強ではあるのですが。




