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──ガラガラ……。
ンにゃ、なんか煩い。私が目を覚ますとそこは馬車の中だった。
「は?」
「おはようございます、ミエアさん」
そこに居たのは王太子──こと、第一王女ヘルハス。
馬車の窓から外を見やれば、其処は首都。ヘルハス、謀りやがったな!
そういえば、昨日に話が長引き一旦ヘルハスの執務室に入り、ハーブティーを頂いたのだが、アレに遅効性の睡眠薬が混ぜられていたのだろう。
「……まったく。んで、なんでまた、私なんて小物を拉致って如何するのよ?」
「拉致なんて、してませんわ。ちゃんと、ご両親に許可を得ています」
──をひ。私のことを売りやがったな! 恩を仇で返すとはまさにこの事。なの為に、せっせと毎日“薬草摘み”してると思ってるのよ……。
「……それで、なんの為?」
「はい、ミエアさんは隣国の国王が命じられた“七大魔王の討伐”にて“傲慢の魔王”にトドメを刺された功績があります。故に……──」
──ハァー。もう六年も前のことを、なんでまた掘り返すかな?
延々と語るヘルハスを余所に、私は馬車の中で天を仰いだ。
迎賓館。約三年前に廃嫡になった第一王子の事件以来だ。
またもや、私はドレスを着せられ、此処にいた。しかも、今回は前回のような立食形式ではなく、席の決まった会食形式。しかもしかもだ、なんでまた私の席が隣国の国王の隣という席なんだ?
時間というものは残酷で、会食の時間となり、私は人のよさそうな淑女をエスコートして会場内へ。そして、着席したワケだが、なんと、エスコートした淑女が隣国の国王とは!?
──結果、隣国の国王とはどんな話をしたのかや、食事の味さえも、緊張の剰りに覚えてなかった。私といえど、さすがに隣国の国王などは準備なしで会ったら緊張もするさ。
──さて、不意打ちにより、食事をしたことしか覚えていない会食を終え、やっとこさイマーチの我が家に帰ると、
「お帰り、ミエア。隣国の王様ってどんなだった?」
姉がいきなり声を掛けてきた。そういえば、隣国の国王は若年で戴冠しており、まだ未婚であったっけ? さて、隣国の国王が女性と知ったら、姉はどうなることやら?
「……ああ、うん、綺麗だったよ……」
間違いではないが、正確ではない情報を口にする。そんな、私の曖昧な回答に、
「──マジ! イイな、ミエアは……」
羨ましそうにそう言う姉。きっと、姉には美形男子が投げキッスをしているのだろう。
私はそんなことを考えながら、階段を上がっていく。さてさて、私の頭を悩ませているのは、帰りの鉄道に乗る前のヘルハスの言葉だ。
「──これまで放置していた『嘆きの丘』の調査に入ります。ミエアさん、貴方には同行してもらうので、お願いしますね」
と。
──あれから、約六年。イマーチの上空に滞空したままの浮遊島『嘆きの丘』。なんでまた、今更になって調査なのか、意味不明だ。
翌日に私は『嘆きの丘』への転移陣が現れた場所へ。そこは、規制線で囲まれていた。
「……まったく、またこの先に行かなくちゃならないとは……」
私はジッと転移陣を見据えてる。すると、転移ゲートが開き出てくるチンピラ連中。
「あん? 何だ、ネーちゃんは?」
そんな中の一人が私に声を掛けてくる。こんなんでも、先行調査隊である。
「私はアンタらの後に入る本隊の一員よ。」
睥睨しながらも、険悪化はよくないので素直に答える。
「なんだ。そうか、すまんね……」
私はその後、二、三聞いて、その場を後にするのだった。




