19
──ってなワケで、四日目。
今日はビーチではなく、街を観光。んで、何故か、ヘルハスとユリヒスがおり、
「──ほう、成る程──」
「──ええ、ですので──」
ツァラトゥストラとヘルハスが政治の話をしており、
「──まあ、そうですのね──」
「──ええ、そうなんですよ──」
と、ファナリスとユリヒスが世間話に話を咲かせる。私は我関せずと、ひとり後方を歩く。
いやはや、私は場違い感がパない。
気付くと、いつの間にやら皆と逸れてしまった。
「……ってか、逸れたの私じゃなくね?」
そんな事を思い、私は逸れたときの集合場所に行ってみる。
──夕方。
「おー、ミエアちゃん!」
ヘルハスを連れたツァラトゥストラが漸くやって来た。私は珈琲三杯で粘った努力は無駄ではなかったようだ。
「──ミエアさん!」
そして、ファナリスとユリヒスも、神官と王太子とは別方向からやって来た。
「……すみません、つい話に夢中になってしまって……」
私は冷めた珈琲の残りをズズズと啜って、一先ずは逸れた四人を一瞥してから、
「いやいや、皆、楽しそうでなによりだよ」
カップをソーサーに戻す。
明けて翌日。
今日は帰る日。といっても、帰るのは私だけで、ツァラトゥストラとファナリスは私についてくる。
列車に揺られて、過ぎ行く景色を眺める。窓に映る私の顔は無表情。
「……あの、ところでヘルハス様は“いつまで、付いてくる”気で?」
第三王子とは駅のホームで別れたのだが、何故か、第一王女のヘルハスは“態々同じ客車”にして、私たちと同席している。
「私が薬草の研究をしているのはご存知ですか?」
「ええ、まあ。」
そういえば確かに、第一王女のヘルハスは“薬草の研究”をしている。そして、私がいつも“薬草摘み”をしている薬草園に私財を投じていた。
詰まりは、遠回しにスポンサーなワケね。
「ですが、これまではスポンサー的立場でしたのに、何故、今更?」
「そうですわね。確かに、これまでは薬草の栽培は“お委せ”でしたが、王太子という立場になり、“より直に”現場へと足を運ぶことで──」
さてさて、私はまたもや地雷を踏み抜いたようで、ヘルハスの話はイマーチの駅に着くまで続いたのだった。
イマーチの駅に着くと、既にヘルハス──王太子の到着を待ち侘びる民衆の黒山ができていた。どうやら、マジにイマーチ(厳密にはその一区画)は王太子の直轄に入るようだ。
さて、その王太子が直轄地の統治をする為の事務所に選ばれたのはなんと、最新の宿屋。六階建ての六階のフロア全体を貸し切りにして、事務所にするそうな。




