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森の魔女の後継者  作者: O.T.I


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33 街歩き



SIDE:メリア



 ロザリーの解呪を行った翌日のこと。

 昨日約束した通り、私はイェニーやグレンたちにデルフィニアの街を案内してもらう事になった。



「おはようメリア。準備は大丈夫かしら?」


「ええ大丈夫よ。今日はよろしくね、イェニー」


「任せて!じゃあ行きましょう。もうグレン様も待ってると思うわ」


 客室に迎えに来てくれたイェニーと一緒に、グレンとの待ち合わせ場所だという城のエントランスホールに向かったのだけど……そこで待っていたのはグレンだけではなかった。

 そのうちの一人はカールさん。

 これは事前にイェニーから聞いていた。


 何でも、グレンが率いていた『森の魔女』捜索のための特務隊は、その任が解かれたあとはまとまった休暇をもらうことになっていたとのこと。

 だけど飛竜籠で話をした通り、どうやらその任務が妨害されていたらしいことが分かると、彼らは帰城直後も休日返上で城内の警戒にあたっていた。

 イェニーが私の護衛についてくれてたのも、その一環だ。

 ロザリーの解呪が成功し、容疑者の目星も付いた今になって他の棋士団員たちにある程度は引き継いでいるみたいだけど……私がまだ狙われてるかもしれないということで、護衛強化も兼ねて今回はカールさんも呼んだらしい。

 彼に白羽の矢が立ったのは、私と年が近く話も合うだろう……ということみたいね。


「おはようグレン。それにカールさんも。今日はよろしくね」


「おはようございます、メリア。こちらこそよろしくお願いします」


「お、おはようございます……」


 そんなふうに挨拶を交わしながらカールさんの方を見ると、あからさまに視線を逸らされてしまった。

 もうわだかまりは無いと思ってたけど……まだ嫌われてるのかしら?


 とりあえず二人に挨拶をしたあと、彼らと共にいた別の人物の方に目を向ける。

 彼女たちがここにいるのは予想してなかったことなので、ちょっと驚いてる。


「ロザリーにグリーナさん……なぜあなたたちがここに?」


「もちろん、私もお姉さまたちと一緒に行きたいからです!……ご迷惑でしたか?」


 だから、その上目遣いは反則だってば。

 もしかしてこの子、自分の武器を分かってるのかも知れないわ……


「め、迷惑じゃないのだけど……あなた、病み上がりなうえに狙われてる身でしょう?…………ゼノン様は何と?」


 最後の言葉はグリーナさんに向けた質問だ。

 昨日の今日でゼノン王が外出の許可を出すとは思えなかったのだけど……

 しかしその予想はグリーナさんの応えによって覆される。


「陛下の許可は頂いております。私も本意ではなかったのですが……『城内とて安全とは言えぬ。ならばメリア殿の近くにいた方が良いだろう』とおっしゃいまして」


「さすがはお父様ですわ!」


「えぇ〜……」


 ちょっと適当すぎるでしょ、王様……

 私だって狙われてたのに。

 ロザリーも、自分が狙われているというのに全然怯えていないし。

 可憐な見た目によらず豪胆なのは父親譲りかしら?

 いえ、前王もそんな感じだったし……これは血筋ね。


「……まあ、ゼノン様が許してるなら、私としてもロザリーと一緒に観光できるのは嬉しいわ。じゃあ、よろしくね」


「はい!お姉さま!」


 本当に嬉しそうにニコニコするロザリー。

 そんな顔を見れただけでも良しとしましょう。




 そして私たちは、案内役を買って出てくれたイェニーの先導のもと歩き始めた。


 なお騎士の面々は帯剣しているけど、騎士の制服では当然目立つのでそれぞれ私服を着ている。

 私はそれほと着替えを持ってきてないので、この街に来たときと同じ旅装姿。

 そして……


「……?何でしょう、お姉さま?」


 私の視線に気がついたロザリーは、小首を傾げながら聞いてきた。


「いえ、ロザリーはどんなに地味な格好をしても、可愛くてオーラが隠しきれないわね……って思ったのよ」


 私の言葉にグリーナさんが頷いてる。


「まあ……でも、それでしたらお姉さまのほうが。ほら、あちらにいる男の子たちなんて、ずっとお姉さまを見ていらっしゃるわ」

 

 ロザリーが指す方向に目を向けると、私と同年代くらいの男の子たちが数人、慌てて目を逸らしているのが見えた。


 う〜ん……確かに客観的に見て自分の容姿は悪くないとは思うのだけど。

 鏡とかで見ても、未だに(・・・)自分の顔という認識が持てないのよね。


 とにかく私もロザリーもかなり目立っていて、ただ歩いてるだけでも注目を浴びてるらしい。

 いちいち気にしていてもしょうがないので、突き刺さる視線はまるっと無視することにした。




「そう言えば今更だけど……今日、騎士団がランフェルト公爵家に捜索に入るって聞いたけど、大丈夫なの?」


 騎士団総出……とまではならならずとも結構な人数が駆り出されるらしいのだけど、私の観光になんて付き合ってて良いのかが気になった。


「ええ、問題ないですよ。もともと特務部隊としての任務が終われば非番の予定でしたから。部署も違いますし」


「そうそう、そっちの方は心配しなくても大丈夫だから、今日はしっかり楽しみましょう」


 グレンとイェニーがそう言ってくれたので、私もその事を頭から追い払おうとしたのだけど……その後も漠然とした不安が完全に消え去ることはなかった。




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