↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/6

五.迷走、そして……

 原因が分からないまま帰宅した富恵は居ても立っても居られず、

 藁(わら)にも縋(すが)る思いでネットを漁った。


 ここから富恵の迷走が始まる。


 ネットで「猫 食べない 原因」を検索した結果――


- 高級キャットフードを買い漁る

- チュールを“山盛り”与える

- 新しいおもちゃを大量購入


 ――という有り様で、

 終いには『霊験あらたか』と評判の猫神社にお詣りし、 

「どうかみぃちゃんに食欲を……!」と祈願する始末。


 しかし、みぃちゃんは依然として沈黙したまま。

 水も舐める程度で、ほとんど飲まない。


 ついに、富恵は居間の隅で体育座りをしながら

 座布団の上で丸くなるみぃちゃんに恨めし気に呟いた。


「みぃちゃん……、なんでなん……」



 こうして三日ほど経ったある日、

 そんな富恵を見兼ねた母の佳恵が、ふと炊事場で訊いた。


「なあ、富恵。あんた、みぃちゃんの食器台の水飲み用のコップ変えた?」

「ああ……割れたから、プラスチックのに……」

「それやないの?」

「えっ……?」


 佳恵は炊事場の隅に置かれた食器台の水飲みを指差した。


「ほら、前は透明のガラスのコップやったやん。

 それと比べたら、今の、なんか安っぽいプラスチックやん」

「…………」


 佳恵の指摘に絶句しつつ、富恵の脳内では、

 過去の記憶が走馬灯のように流れた。


――みぃちゃんお気に入りの広口ガラスコップ

――洗っているときに手が滑って割れた

――急いで代わりにプラスチックのコップを食器台に置いた

――その日からみぃちゃんは水を飲まなくなった


「ま、まさか……そんな……」


 しかし、四の五の言ってる場合ではなかった。

 富恵は急いで、よく似た透明な広口ガラスコップを買ってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。