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四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第一章

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8/9

8話 こわくてもいいよ

このお話は全年齢向けの作品です。

気軽に読んでいただけたらうれしいです。

三人は、掲示板(けいじばん)(ちか)づいた。


黒のすぐ前なのに、そこだけ、あかるかった。


掲示板(けいじばん)のすぐうしろに、白い(ひかり)があった。


その(ひかり)の中に、木の(わく)みたいなものが見えた。


(ひかり)は、下のほうでゆれていた。


うっけの(あし)()まった。


「なんで掲示板(けいじばん)なんだよ」


うっけは、名前のところを見た。


四年一(くみ)


四年二(くみ)


四年三(くみ)


四年四(くみ)


そこまでだった。


あさ、そこにあったはずの四年五(くみ)は、なかった。


三人の名前も、なかった。


「なんでないんだよ、名前」


うっけが()った。


男の子は、その白い(ひかり)の中を、じっと見ていた。


うっけは、男の子を見た。


「なにか、()ってるのかよ」


男の子は、(くび)(よこ)にふった。


「ううん。でも、こっちな()がする」


女の子も、白い(ひかり)の中を見た。


「そこ、とびらみたい」


木の(わく)みたいだったものには、下に(ほそ)い白いすきまがあった。


女の子は、うっけの手を、ぎゅっとつかんだ。


その手をはなさないまま、そっちへ一歩(いっぽ)(ある)いた。


「おい、そっちは体育館(たいいくかん)だろ」


「うん」


女の子は、うっけの手をひいたまま、うなずいた。


「うん、じゃないだろ」


「でも、白いよ」


たしかに、白かった。


黒のすぐ前なのに。


体育館(たいいくかん)は黒いのに。


その手前(てまえ)だけ、白かった。


三人は、そこへ(ちか)づいた。


(ちか)づくと、(ふる)い木のにおいがした。


それは、木のとびらだった。


下の(ほそ)い白いすきまが、(あし)もとの(すな)をてらしていた。


男の子は、すこし(さき)にいた。


でも、とびらにはさわっていなかった。


さわれないみたいに、手を下ろしていた。


「あ。下、あかるい」


女の子が()った。


うっけは、男の子を見た。


()けないのかよ」


男の子は、(くび)(よこ)にふった。


それから、うっけをまっすぐに見た。


「あけてほしい」


「ぼくかよ」


男の子は、うなずいた。


うっけは、とびらを見た。


白いすきまが、まだそこにあった。


白いのに、こわかった。


黒じゃないのに、こわかった。


「こわくないからな」


うっけが、ぽそっと()った。


だれも、返事(へんじ)をしなかった。


「……ほんとに、こわくないからな」


男の子が、木のとびらを見たまま()った。


「こわくてもいいよ」


「よくないだろ」


女の子が、うっけの手を、ぎゅっとした。


「ちょっとなら、いいよ」


「なにが」


「こわいの」


うっけは、うなずいた。


うなずけたかどうかは、わからなかった。


でも、手は(うご)いた。


うっけは、女の子の手をはなさないまま、木のとびらに手をかけた。


男の子も、手を()した。


うっけの手のすぐ(よこ)で、とびらに手をおいた。


「おまえもかよ」


「すこしなら」


うっけは、(いき)()めた。


すぐ(よこ)で、男の子の手も(うご)いた。


とびらを()いた。


木のとびらが、すこし(ひら)いた。


すきまから、白い(ひかり)()てきた。


白すぎて、()こうが見えなかった。


白いままだった。


でも、黒ではなかった。


うっけは、一歩(いっぽ)、白い中へ(はい)った。


女の子も、手をにぎったまま、(はい)った。


男の子の足音(あしおと)も、白い中へ(はい)った。


とびらが、しまった。


音だけが(のこ)った。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


9話は明日、5月8日 1:00に更新予定です!


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