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草案:四年五組  作者: 草案のすけ
第一章
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6/40

6話 おおきなやね

このお話は全年齢向けの作品です。

気軽に読んでいただけたらうれしいです。

「黒いの、なに?」


まるみが()った。


うっけは、(こた)えられなかった。


黒いのは、そこにあるのに、なんなのかは、わからなかった。


「わからない」


「わからないの、やだ」


「ぼくだって、やだよ」


カサネは、だまっていた。


うっけは、校庭(こうてい)(そと)から目をそらした。


黒くないものを、さがした。


まだ見えるもの。


体育館(たいいくかん)が見えた。


黒くなかった。


屋根(やね)とかべが、見えた。


とびらも、見えた。


体育館(たいいくかん)なら、()けるかも」


うっけが()った。


「黒くない、ね!」


まるみも、体育館(たいいくかん)を見て()った。


その白いかべを見ていると、まだ、まにあう()がした。


()こう」


「うん」


カサネは、うっけとまるみを見た。


「……うん」


うっけは、カサネを見た。


「なに。こわいのか」


(あし)おそいの、ごめん」


「だいじょうぶ。ひっぱってくよ」


三人は、ろうかを(はし)った。


たたたた。


たた。


たたた。


もうすぐ、ろうかの(さき)


(ひろ)いところに()た。


体育館(たいいくかん)は、すぐそこに見えた。


(おお)きな屋根(やね)は、学校の上にのっているみたいだった。


あそこまで()けたら。


うっけは、そう(おも)った。


そのとき、まるみは、(そら)を見ていた。


「きれい」


「なにが」


うっけも、(そら)を見た。


(そら)が、半分(はんぶん)、黒かった。


(あお)いところが、黒に()されて、せまくなっていた。


(あお)と黒のあいだは、にじんでいた。


見てはいけないくらい、きれいだった。


うっけは、(いき)をするのを(わす)れていた。


でも、カサネは、(そら)ではなく、二人を見ていた。


二人のかおが、まだ見えているか、たしかめるみたいに。


黒は、おりてきた。


(そら)の上の黒が、すこしずつ、下のものを見えなくしていった。


「……やだ」


まるみが、体育館(たいいくかん)をゆびさした。


(おお)きな屋根(やね)に、黒がかかった。


屋根(やね)のはしが、見えなくなった。


(つぎ)に、上のほうのかべが見えなくなった。


かげじゃなかった。


ただ、黒すぎて、見えなかった。


まるみの目が、(あか)くなった。


()くなよ」


うっけは()った。


でも、うっけのこえも、すこしふるえていた。


カサネは、二人のかおを、ひとりずつ見た。


「ここに、いる?」


「いるよ」


うっけは、そう()って、まるみを見た。


まるみのかおは、ちゃんとあった。


なきそうな目で、うっけを見ていた。


(なに)()いかけて、うっけは口をとじた。


「……(へん)なこと()うなよな」


カサネは、二人を見たまま、すこしうなずいた。


でも、(おお)きな屋根(やね)も、かべも、すこしずつ黒の中に(はい)っていった。


まるみが、うっけの手をさがした。


うっけは、黒から目をはなせないまま、その手をにぎった。


こわれた音はしなかった。


()ちた音もしなかった。


体育館(たいいくかん)は、おおきいまま、黒に()まれていった。

四年五組のあたらしい第一話です。

https://kakuyomu.jp/works/2912051604055593695/episodes/2912051604055721181

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