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草案:四年五組  作者: 草案のすけ
第一章
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5/40

5話 ひなんくんれん

このお話は全年齢向けの作品です。

気軽に読んでいただけたらうれしいです。

黒は、まだ()まらなかった。


さっきまで白かったゆかの(せん)が、黒の中に(はい)っていた。


(あし)!」


まるみのこえで、うっけは下を見た。


つまさきのすぐ前が、黒かった。


白いところは、くつ(ひと)つぶんしか(のこ)っていなかった。


「うしろ!」


うっけは、一歩(いっぽ)下がった。


まるみも、下がった。


カサネは、黒を見たまま、(あし)()いた。


目だけが、黒のはしを()っていた。


三つの足音(あしおと)が、ばらばらに()った。


そのすぐあと。


さっきまで()っていたところが、黒くなった。


こわれる音は、しなかった。


なにかが(ちか)づいてくる音も、しなかった。


ただ、そこにあった白いゆかが、黒くなっていった。


白いところが、すうっとすくなくなった。


うっけたちの()てる場所(ばしょ)が、目で見てわかるくらい、せまくなった。


うっけは、もう一回(いっかい)職員室(しょくいんしつ)のほうを見た。


「先生!」


こえだけが、職員室(しょくいんしつ)の中に(はい)って、そこでなくなった。


となりで、まるみが、ぱっとかおをあげた。


避難訓練(ひなんくんれん)


その言葉(ことば)だけ、うっけの(からだ)()っていた。


「なに」


うっけはそう()った。


でも、(あし)はもう、校庭(こうてい)のほうを()いていた。


いつも、そうだった。


()くのは、校庭(こうてい)だった。


カサネも、(おく)れてかおをあげた。


「……校庭(こうてい)


うっけは、(はし)()した。


たたた。


たた。


たたたた。


足音(あしおと)が、ろうかでばらばらにひびいた。


ろうかを()がる。


うっけが(さき)(はし)った。


まるみが、すぐよこに()た。


カサネは、すこしうしろだった。


「カサネ!」


うっけが()んだ。


返事(へんじ)はなかった。


でも、うしろの足音(あしおと)が、すこしはやくなった。


ろうかを(はし)っているのに、だれも(おこ)らなかった。


それが、(はし)りやすいのに、こわかった。


三人の前に、ガラス()が見えてきた。


その()こうに、校庭(こうてい)が見えた。


白いライン。


鉄棒(てつぼう)


(すな)(いろ)


(そら)


校庭(こうてい)は、ちゃんとあった。


うっけは、ほんのすこしだけ、ほっとした。


うっけの手が、とってにぶつかった。


そのまま、あけようとした。


()って」


まるみが()った。


うっけの手が、()まった。


まるみは、校庭(こうてい)()こうを見ていた。


フェンス。


その()こう。


あさ、うっけが(はい)ってきたはずのところ。


そこが、黒かった。


(みち)も、(もん)も、(そら)の下のあかるいところも、見えなかった。


フェンスだけが、黒の前に()っていた。


校庭(こうてい)、ある」


うっけが()った。


ある。


ちゃんと、ある。


でも、その()こうがなかった。


カサネは、フェンスのほうを見ていた。


「……()こう、見えない」


まるみは、ガラス()に手をついた。


校庭(こうてい)、だめじゃん」


うっけの手は、とってをにぎったままだった。


あけることも、はなすことも、できなかった。


校庭(こうてい)は、ある。


でも、校庭(こうてい)(そと)は黒かった。


校庭(こうてい)(そと)が黒いときのことは、(なら)っていなかった。

四年五組のあたらしい第一話です。

https://kakuyomu.jp/works/2912051604055593695/episodes/2912051604055721181

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