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四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第一章

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5/9

5話 ひなんくんれん

このお話は全年齢向けの作品です。

気軽に読んでいただけたらうれしいです。

黒は、まだ()まらなかった。


さっきまで白かったゆかの線が、黒の中に入っていた。


「足!」


まるみのこえで、うっけは下を見た。


つまさきのすぐ前が、黒かった。


白いところは、くつ一つぶんしか(のこ)っていなかった。


「うしろ!」


うっけは、一歩(いっぽ)下がった。


まるみも、下がった。


カサネは、黒を見たまま、足を()いた。


目だけが、黒のはしを追っていた。


三つの足音(あしおと)が、ばらばらに()った。


そのすぐあと。


さっきまで立っていたところが、黒くなった。


こわれる音は、しなかった。


なにかが(ちか)づいてくる音も、しなかった。


ただ、そこにあった白いゆかが、黒くなっていった。


白いところが、すうっと少なくなった。


うっけたちの立てる場所(ばしょ)が、目で見てわかるくらい、せまくなった。


うっけは、もう一回、職員室(しょくいんしつ)のほうを見た。


「先生!」


こえだけが、職員室(しょくいんしつ)の中に入って、そこでなくなった。


となりで、まるみが、ぱっとかおをあげた。


避難訓練(ひなんくんれん)


その言葉(ことば)だけ、うっけの(からだ)()っていた。


「なに」


そう言ったのに、うっけの足は、もう校庭(こうてい)のほうを()いていた。


いつも、そうだった。


()くのは、校庭(こうてい)だった。


カサネも、(おく)れてかおをあげた。


「……校庭(こうてい)


うっけは、走り出した。


たたた。


たた。


たたたた。


足音(あしおと)が、ろうかでばらばらにひびいた。


ろうかを()がる。


うっけが(さき)に走った。


まるみが、すぐよこに来た。


カサネは、すこしうしろだった。


「カサネ!」


返事(へんじ)はなかった。


でも、うしろの足音(あしおと)が、すこしはやくなった。


ろうかを走っているのに、だれも(おこ)らなかった。


それが、走りやすいのに、こわかった。


三人の前に、ガラス()が見えてきた。


その()こうに、校庭(こうてい)が見えた。


白いライン。


鉄棒(てつぼう)


(すな)(いろ)


(そら)


校庭(こうてい)は、あった。


ちゃんと、あった。


いつものものが、そこにあった。


うっけは、ほんのすこしだけ、ほっとした。


うっけの手が、とってにぶつかった。


そのまま、あけようとした。


()って」


まるみが言った。


うっけの手が、()まった。


まるみは、校庭(こうてい)()こうを見ていた。


フェンス。


その()こう。


あさ、うっけが入ってきたはずのところ。


そこが、黒かった。


(みち)も、(もん)も、(そら)の下の明るいところも、見えなかった。


フェンスだけが、黒の前に立っていた。


校庭(こうてい)、ある」


うっけが言った。


ある。


ちゃんと、ある。


でも、その()こうがなかった。


カサネは、フェンスのほうを見ていた。


「……()こう、見えない」


まるみは、ガラス()に手をついた。


校庭(こうてい)、だめじゃん」


うっけの手は、とってをにぎったままだった。


あけることも、はなすことも、できなかった。


校庭(こうてい)は、ある。


でも、校庭(こうてい)(そと)は黒かった。


出たらどこへ()けばいいのか、見えなかった。


校庭(こうてい)(そと)が黒いときのことは、(なら)っていなかった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


6話は明日、5月5日 1:00に更新予定です!


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