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四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第一章

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4/9

4話 かくれんぼ

このお話は全年齢向けの作品です。

気軽に読んでいただけたらうれしいです。

きい、と小さい音がした。


職員室(しょくいんしつ)の中は、しずかだった。


(あか)いペンが見えた。


(ひら)いたノートが見えた。


すこし()かれたいすが見えた。


でも、先生はいなかった。


まるみが、うしろからのぞいた。


つくえの下。


いすのうしろ。


ロッカーのすきま。


まるみは、そこをじっと見た。


「かくれんぼみたい」


「ちがうだろ」


「でも、だれもいないよ」


「だから、へんなんだろ」


「みんな、すごくかくれるのうまいのかも」


うっけは、なにも言えなかった。


言い(かえ)したかった。


でも、職員室(しょくいんしつ)は、ほんとうにかくれんぼの途中(とちゅう)みたいだった。


さっきまで()こえていたこえが、どこかにかくれている。


でも、どこからも、くすくす(わら)うこえはしなかった。


まるみが、(あか)いペンを見た。


「赤ペン先生がいる!」


「ペンは先生じゃない」


「じゃあ、赤ペン校長(こうちょう)先生?」


「えらくするな」


まるみは、つくえの上を見た。


「でも、さっきまでいたんだよね」


うっけは、うなずいた。


「いた」


「じゃあ、どこ()ったんだろ」


うっけは、(こた)えられなかった。


つくえのはしに、赤いペンがあった。


いすは、すこしだけ()かれていた。


さっき、だれかが立ったみたいだった。


でも、だれも立っていなかった。


「先生!」


うっけは、もう一回()んだ。


うっけは、すぐに返事(へんじ)がくると(おも)った。


返事(へんじ)はなかった。


まるみが、手を口のよこにあてた。


「もーう、いーかい!」


こえは、職員室(しょくいんしつ)の中をぬけて、ろうかの(さき)()った。


まーだだよ、も。


もういいよ、も。


なにも(かえ)ってこなかった。


まるみは、手を下ろした。


「……言わなきゃよかった」


それから、もうなにも言わなかった。


足音(あしおと)まで、かくれたみたいだった。


そのとき、まるみの手が、うっけのそでをつかんだ。


ぎゅっと、つかんだ。


「うっけ」


うっけは、ふりむいた。


まるみは、職員室(しょくいんしつ)の中ではなく、ろうかを見ていた。


カサネは、もう、ろうかを見ていた。


ろうかは、まだつづいているはずだった。


まるみが、小さく言った。


「まど、あったよね」


うっけは、ろうかの(さき)を見た。


さっきまでは、(さき)のまどが見えていた。


白いゆかも、まだつづいていた。


でも、今は見えなかった。


そこから(さき)は、黒かった。


かべも、ゆかも、まども、見えなかった。


白いゆかが、一枚ぶん、黒になった。


うっけがまばたきすると、もう一枚ぶん、黒になった。


さっきまで見えていたはずのろうかの(さき)が、もう見えなかった。


「……これ。かくれんぼじゃない」


まるみが言った。


うっけは、目をそらせなかった。


こえが、ちゃんと出なかった。


カサネは、黒の手前(てまえ)の、白いところを見ていた。


(あか)いペンは、つくえのはしにころがっていた。


先生は、いなかった。


ろうかの(さき)は、なかった。


うっけは、もう一(かい)、先生と()べなかった。


カサネは、すこしだけ、足を()いた。


「……(ちか)い」


ろうかの白いところが、またすこし、短くなった。


黒は、()の具の黒みたいだった。


でも、紙の上の黒じゃなかった。


ろうかの(さき)にあったものを、音もなく、見えなくしていった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


5話は明日、5月4日 1:00に更新予定です。

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