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四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第一章

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3/9

3話 三人だけの学校

このお話は全年齢向けの作品です。

気軽に読んでいただけたらうれしいです。

だれも、ふりむかなかった。


うっけのこえだけが、掲示板(けいじばん)の前に(のこ)っていた。


さっきまで、そこには人がいた。


ランドセル。


くつの音。


名前を()ぶこえ。


でも、いまはなかった。


まるみは、右の手と左の手を、よこへ広げた。


そのまま、くるっとまわった。


だれにも、ぶつからなかった。


「あは。いない」


うっけは、まるみの手を見た。


「手で?」


「手で」


まるみは、もう一回、まわった。


二回まわっても、だれにもぶつからなかった。


なんだか、かなしかった。


「みんなどこ()ったのかな」


()らないよ」


まるみは、すぐ横の体育館(たいいくかん)を見た。


体育館(たいいくかん)のなかかな」


うっけも、とびらを見た。


「みんなで?」


「うん。かも」


「……いるかもな」


カサネは、二人のうしろで、あくびをした。


「……いるといいね」


三人は、とびらへ(ちか)づいた。


まるみが、入口(いりぐち)からなかをのぞいた。


うっけも、となりからのぞいた。


カサネも、(おく)れて、なかを見た。


体育館(たいいくかん)は、からっぽだった。


ステージがあった。


バスケットゴールもあった。


すみっこのマットもあった。


でも、人はいなかった。


まるみは、手を口のよこにあてた。


「みーんーなーーー」


こえは、体育館(たいいくかん)のなかにひびいた。


ひびいたこえが、てんじょうのほうで、うすくなった。


それきりだった。


まるみは、もう一回、口をあけた。


でも、こえが出なかった。


うっけも、口をあけた。


でも、なにも言わなかった。


カサネは、目を半分(はんぶん)だけあけた。


「……(かる)い」


「は?」


うっけがふりむいた。


「音が、(かる)い」


「音が(かる)いって、なに」


「わかんない」


「わかんないのに言うなよ」


「うん」


「……先生」


まるみが言った。


うっけは、ろうかのほうを見た。


「そうだ。先生に()こう」


「先生なら、いるよね」


「いるだろ」


三人は、校舎(こうしゃ)のなかへ入った。


ろうかは、ひんやりしていた。


こつ。


こつ。


こつ。


三つの足音(あしおと)だけがした。


三人は、同時(どうじ)()まった。


音が、とまった。


まるみが、うっけのそでを、ちょんとつまんだ。


「三つだけだよね」


「……そうだよ」


「よかった」


「よくないだろ」


まるみは、うっけのそでをつまんだまま、ろうかの(さき)を見た。


「うん。よくない」


三人は、また(ある)き出した。


こつ。


こつ。


こつ。


ほかの音は、しなかった。


「ねえ、うっけ」


「なに」


「今、学校にいるのって」


「言うな」


「まだ言ってない」


「わかるから言うな」


まるみは、口を閉じた。


「三人だけ、なのかな」


うっけは、返事(へんじ)をしなかった。


こつ。


こつ。


こつ。


カサネが、後ろから言った。


足音(あしおと)は、三つある」


三つ。


三つある。


それだけは、ほんとうだった。


職員室(しょくいんしつ)が見えた。


三人は、そこで()まった。


音がなくなると、学校がひとまわり、大きくなった。


うっけは、職員室(しょくいんしつ)のドアをあけた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


4話は明日、5月3日 1:00に更新予定です。

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