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草案:四年五組  作者: 草案のすけ
第一章
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3/40

3話 三人だけの学校

このお話は全年齢向けの作品です。

気軽に読んでいただけたらうれしいです。

だれも、ふりむかなかった。


うっけのこえだけが、掲示板(けいじばん)の前に(のこ)っていた。


さっきまで、そこには人がいた。


ランドセル。


くつの音。


名前を()ぶこえ。


でも、いまはなかった。


まるみは、右の手と左の手を、よこへ(ひろ)げた。


そのまま、くるっとまわった。


だれにも、ぶつからなかった。


「あは。いない」


うっけは、まるみの手を見た。


「手で?」


「手で」


まるみは、もう一回(いっかい)、まわった。


二回(にかい)まわっても、だれにもぶつからなかった。


まるみは、手を(ひろ)げたまま()まった。


「みんなどこ()ったのかな」


()らないよ」


まるみは、すぐ(よこ)体育館(たいいくかん)を見た。


体育館(たいいくかん)のなかかな」


うっけも、とびらを見た。


「みんなで?」


「うん。かも」


「……いるかもな」


カサネは、二人のうしろで、あくびをした。


「……いるといいね」


三人は、とびらへ(ちか)づいた。


まるみが、入口(いりぐち)からなかをのぞいた。


うっけも、となりからのぞいた。


カサネも、(おく)れて、なかを見た。


体育館(たいいくかん)は、からっぽだった。


ステージがあった。


バスケットゴールもあった。


すみには、マットもあった。


でも、人はいなかった。


まるみは、手を口のよこにあてた。


「みーんーなーーー」


こえは、体育館(たいいくかん)のなかにひびいた。


ひびいたこえが、てんじょうのほうで、うすくなった。


それきりだった。


まるみは、もう一回(いっかい)、口をあけた。


でも、こえが()なかった。


うっけも、口をあけた。


でも、なにも()わなかった。


カサネは、目を半分(はんぶん)だけあけた。


「からっぽの、音」


「え、なに?」


「音が、(かる)い」


「だれもいない、か」


うっけは、体育館(たいいくかん)(おく)を見た。


「……先生」


うっけは、ろうかのほうを見た。


「そうだ。先生に()こう」


「先生なら、いるよね」


「いるだろ」


三人は、校舎(こうしゃ)のなかへ(はい)った。


ろうかは、ひんやりしていた。


こつ。


こつ。


こつ。


三つの足音(あしおと)だけがした。


三人は、同時(どうじ)()まった。


音が、とまった。


まるみが、うっけのそでを、ちょんとつまんだ。


「三つだけだよね」


「……そうだよ」


「よかった」


「よくないだろ」


まるみは、うっけのそでをつまんだまま、ろうかの(さき)を見た。


「うん。よくない」


三人は、また(ある)()した。


こつ。


こつ。


こつ。


ほかの音は、しなかった。


「ねえ、うっけ」


「なに」


「いま、学校にいるのって」


()うな」


「まだ()ってない」


「わかるから()うな」


まるみは、口を()じた。


「三人だけ、なのかな」


うっけは、返事(へんじ)をしなかった。


こつ。


こつ。


こつ。


カサネが、うしろから()った。


足音(あしおと)は、三つある」


三つ。


三つある。


それだけは、ほんとうだった。


職員室(しょくいんしつ)が見えた。


三人は、そこで()まった。


音がなくなると、学校がひとまわり、大きくなった。


うっけは、職員室(しょくいんしつ)のドアをあけた。

四年五組のあたらしい第一話です。

https://kakuyomu.jp/works/2912051604055593695/episodes/2912051604055721181

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