2話 もうひとりのクラスメイト
このお話は全年齢向けの作品です。
気軽に読んでいただけたらうれしいです。
カサネ。
うっけは、その名前を見て、すぐうしろの男の子をみた。
「おまえが、カサネなの」
男の子は、掲示板を見た。
「……うん」
まるみが、男の子のかおをのぞいた。
「カサネっていう、名前なの?」
男の子は、もう一回、掲示板を見た。
「……たぶん」
「たぶんってなんだよ」
「じぶんの名前だろ」
男の子は、ゆっくりまばたきした。
「……起きたばかりで」
「あ、ねむいの?」
男の子は、片目だけあけてこたえた。
「……あたま。まだ、ここに来てない」
男の子は、まだねむそうだった。
「体は来てるだろ」
男の子は、うっけを見た。
「……そうだね」
「そうだねじゃないだろ」
まるみが、あはっと笑った。
「へん」
男の子は、まるみのかおを見た。
「……いまの、わらうとこ?」
「え。たぶん」
男の子は、片目をとじた。
もう片方の目をあけた。
「……じゃあ、あとでわらう」
「いま、わらえよ」
「……あとでね」
まるみが、また笑った。
うっけは、掲示板へ目をもどした。
四年五組。
うっけ。
まるみ。
カサネ。
「じゃあ、これ、なんか知ってる?」
男の子も、見た。
「……読める」
「読めるだけかよ」
「……五組は、わからない」
まるみは、男の子を見た。
「でも、カサネは?」
男の子は、掲示板にある名前を見た。
「……ぼくだよ」
まるみも、掲示板を見た。
「わたしも、五組は知らない」
うっけは、掲示板を見ながら言った。
「じゃあ、なんなんだよ、五組って!」
「さっきまで、なかっただろ」
まるみは、くびをかしげた。
「五組だけ、こっそり足されたのかな」
「クラスがこっそりふえるなよ」
「でも、ふえてるよ」
「ふえてるのがおかしいんだよ」
「じゃあ、はえてきた?」
「もっといやだよ」
カサネが、二人を見た。
「……五組。はえてきた」
「そこだけひろうな」
カサネは、うっけをゆっくり見た。
「……ひろうな、っておもしろい」
「え?」
「……うっけも、へんだね」
「なんでぼくまで、へんになるんだよ!」
うっけのこえが、思ったより大きく出た。
掲示板の前で、そのこえだけが大きかった。
でも、だれも、ふりむかなかった。
うっけは、はっとして口をとじた。
まるみの笑ったかおが、止まった。
カサネも、両方の目を開けたままだった。
「……え」
三人しか、いなかった。
四年五組のあたらしい第一話です。
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