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四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第四章
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38/40

38話 だいけっさく。そのに

「ごめんなさい」


りっか、だった。


うっけの()した六枚(ろくまい)


まるみは、(かど)()わせた。


カサネが、ずれないようテープでとめた。


りっかのごめんなさいは、図工室(ずこうしつ)(ひろ)がった。


(ゆか)画用紙(がようし)にも、(ひろ)がった。


そう。


(いし)だけだ。


ごつごつした(いし)


それ以外(いがい)画用紙(がようし)(しろ)


それなのに。


うっけは(うご)かない。


まるみの(いろ)えんぴつも。


カサネの()()も。


りっかの(こえ)も。


でも、だれも。


りっかを()めていなかった。


りっかは(いし)から、()(はな)せなかった。


「りっか。だいじょうぶ?」


まるみの()が、(いろ)えんぴつを(にぎ)りなおした。


「うまく、(おも)()せないの」


りっかは、(いし)(うえ)(しろ)()た。


「この(うえ)


うっけも、そこを()た。


そこには、まだ、なにもなかった。


りっかは、もう一度(いちど)(ちい)さく()った。


「わたしが(おぼ)えてないと、(つく)れないのに」


まるみは、(いろ)えんぴつを()かなかった。


「ぜんぶじゃなくていいよ」


りっかが、まるみを()た。


「ぜんぶじゃなくて?」


「うん。(いろ)でも、()えたところだけでもいい」


カサネは、(しろ)いところを()た。


「ちがっても、(なお)せる」


りっかは、カサネを()た。


カサネは、(しず)かに(つづ)けた。


「あとで(おも)()したら、そこにかける」


うっけは、(いし)(ゆび)さした。


(いし)は、もう()た」


りっかが、うっけを()た。


うっけは、六枚(ろくまい)(しろ)()まわしてから、(いし)をもう一度(いちど)(ゆび)さした。


「だったら、そこから(ひろ)げればいい。温泉(おんせん)なんだから、いっぺんにぜんぶ()なくてもいいだろ」


まるみは、ふっと(わら)った。


「いまの、理由(りゆう)になってる?」


「なってる」


「まあ、なってるかも」


りっかは、(いし)(うえ)()た。


ぜんぶは、まだ()てこない。


でも、(いし)はあった。


ぬれていた。


その(うえ)に、()(いろ)があった。


()屋根(やね)が、(かさ)なってた」


まるみの()(うご)いた。


()屋根(やね)


湯気(ゆげ)(はい)っていく、(ほそ)階段(かいだん)


建物(たてもの)(よこ)の、(ちい)さな看板(かんばん)


佐々江温泉(ささえおんせん)


(しろ)かったところに、(すこ)しずつ場所(ばしょ)()てきた。


りっかの(こえ)も、(すこ)しずつ(もど)ってきた。


階段(かいだん)は、湯気(ゆげ)(なか)(はい)っていくみたいだった」


まるみが、(ほそ)(せん)()れた。


看板(かんばん)には、佐々江温泉(ささえおんせん)って()いてあった」


まるみが、(ちい)さな看板(かんばん)に、(ほそ)()()れた。


まるみは、(かお)()げた。


「さっき()えた、(ふた)つの(いわ)は?」


りっかは、(かお)()げた。


そこだけは、(こた)えが(はや)かった。


(やま)(なか)で、(ちか)くに()ってた」


うっけは、灰色(はいいろ)()(がみ)(かさ)ねた。


まるみが、ごつごつした(せん)()した。


カサネは、(ふた)つの(いわ)(あいだ)()ていた。


「もう(すこ)しだけ、(あいだ)をあけて」


「くっつけないのか?」


うっけが()いた。


りっかは、(ふた)つの(いわ)()ながら()った。


「くっついてないのに、(たお)れない(かん)じだった」


まるみは、(ふた)つの(いわ)(あいだ)を、ほんの(すこ)しだけ()けた。


その(かたち)()たとき、りっかの()(おお)きくなった。


「うん。(ふた)つの(いわ)は、この()(かた)だった」


まるみは、(ふで)()った。


最後(さいご)に、湯気(ゆげ)


(しろ)()()が、(いし)(あいだ)から()がった。


()屋根(やね)をかすめた。


(ほそ)階段(かいだん)(つつ)んだ。


(ふた)つの(いわ)(した)へ、ふわっと(なが)れた。


うっけが、(いき)をのんだ。


りっかは、(うご)けなかった。


さっきまでばらばらだったものが、湯気(ゆげ)でひとつになっていった。


まるみは、りっかを()た。


「どう?」


りっかは、()から()(はな)さなかった。


「うん。わたしが(おぼ)えてる佐々江温泉(ささえおんせん)は、こういう場所(ばしょ)だった」


図工室(ずこうしつ)(ゆか)に、佐々江温泉(ささえおんせん)があった。


本物(ほんもの)ではない。


でも、四人(よにん)(あたま)(なか)には、もう、(おな)温泉(おんせん)があった。


まるみは、あはっと(わら)った。


「だいけっさく。そのに、だ!」


「なんのこと?」


カサネが()いた。


「カレーの()が、そのいち。温泉(おんせん)が、そのに」


まるみは、(ゆか)いっぱいの温泉(おんせん)()た。


「みんなで(つく)ったから」


りっかは、()(なか)湯気(ゆげ)()ていた。


それから、(ふた)つの(いわ)(した)()た。


「あの(いわ)のところに、()けるはず」


うっけが、りっかを()た。


()ける?」


りっかは、(ゆか)いっぱいの()()た。


「うん。佐々江温泉(ささえおんせん)が、もう(あたま)(なか)にある」


カサネが、(ちい)さくうなずいた。


「ぼくの(あたま)(なか)にも、ある」


うっけは、にっとした。


「じゃあ、今度(こんど)()ける」


うっけは、もう昇降口(しょうこうぐち)のほうを()ていた。


温泉(おんせん)、あるはずだ。()くぞ」

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


次回は


6月19日 1:00に更新します。

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