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四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第四章
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37/40

37話 あの岩をめざして

(みち)は、(すこ)しずつ(ほそ)くなった。


(ひと)はいないのに、(いえ)だけある。


りっかは、(あたら)しいくつで(ある)いていた。


こつ。


くつの(さき)に、(まち)(つち)がついた。


りっかは、(あし)もとを()た。


(おと)、する」


「するな」


うっけが()った。


「そのくつ、いいな」


りっかは、くつの(さき)を、もう一度(いちど)()た。


それから、(すこ)しだけ(わら)った。


しばらく(ある)くと、(みち)(おく)に、ほかの(いえ)より(おお)きな建物(たてもの)()えてきた。


入口(いりぐち)(よこ)に、()看板(かんばん)がかかっていた。


佐々江町役場(ささえまちやくば)


りっかの(あし)が、ぴたりと()まった。


佐々江(ささえ)


「そうだな。佐々江町役場(ささえまちやくば)


うっけが()った。


りっかは、看板(かんばん)()たまま()った。


佐々江(ささえ)は、()(おぼ)えある。でも、役場(やくば)は、()らない」


ぎい。


(かぜ)が、うっけたちの(まえ)(とお)り、看板(かんばん)()らした。


うっけは、役場(やくば)(よこ)()た。


建物(たてもの)のかげに、(ほそ)(みち)がのぞいていた。


「こっち、()けそうだな」


四人(よにん)がその(みち)(はい)ると、(みち)(さき)(ひろ)くなった。


児童館(じどうかん)(まえ)の、()()だった。


(おお)きな()のかげが、(くさ)(うえ)()ちていた。


「おにぎり()べたところだ」


うっけは、()のかげから(そら)見上(みあ)げた。


(えだ)(あいだ)に、(やま)()えた。


(まち)屋根(やね)のむこう。


(はたけ)のむこう。


()()くなっている、(やま)(なか)ほど。


うっけが、()をほそめた。


「なんだ、あれ」


まるみも、(えだ)(あいだ)()た。


「どれ?」


「ほら、あそこ」


カサネが、(すこ)しだけ(まえ)()た。


(いわ)が、(ふた)つ」


(やま)(なか)ほどに、(いわ)(ふた)つあった。


(ふた)つの(いわ)は、左右(さゆう)からよりかかっているみたいだった。


りっかは、その(いわ)()た。


りっかの()が、すこし(おお)きくなった。


「あの(いわ)で、(おも)()した」


まるみが、りっかを()た。


「なにを?」


りっかは、すぐには(こた)えなかった。


(ふた)つの(いわ)(した)のほうを、じっと()ていた。


佐々江温泉(ささえおんせん)


うっけは、(やま)()た。


温泉(おんせん)?」


「うん。わたしが、(ちい)さいころ、()ったところ」


りっかは、(ふた)つの(いわ)(した)のほうを(ゆび)さした。


「あの(いわ)の、(した)のほう」


うっけは、()のびをした。


()えるのか?」


()えない。でも、あの(した)のほう」


りっかは、(いわ)(した)のほうを()た。


「でも、(いま)は、やっていないの」


「なんで?」


うっけが()いた。


「わたしが()ったとき、もうすぐ、しまりますって()いてあった」


「しまる?」


「うん。もう()られなくなるって」


カサネは、(ふた)つの(いわ)()ていた。


「でも、場所(ばしょ)は、まだ()えてる」


()く」


うっけが()った。


りっかが、うっけを()た。


「でも、もう()まっているよ」


()まっててもいい」


うっけは、(やま)(ゆび)さした。


「おれたち、この(まち)のこと、なんにも()らないんだぞ」


まるみは、はっとして、役場(やくば)のほうを()た。


佐々江町役場(ささえまちやくば)


名前(なまえ)はあった。


でも、だれも、そこを()らなかった。


カサネも、(ふた)つの(いわ)()ていた。


「ぼくも、()らない」


その(こえ)は、いつもより(ちい)さかった。


うっけは、りっかを()た。


「でも、りっかは()ってる」


りっかは、(すこ)しだけ()()げた。


うっけは、もう一度(いちど)(やま)(ゆび)さした。


「りっかが()ってる場所(ばしょ)なら、()く」


まるみが、うなずいた。


「うん。()こう」


カサネも、(ちい)さくうなずいた。


()ってる場所(ばしょ)なら、なにかあるかもしれない」


りっかは、(やま)(いわ)()た。


「……うん」


それから、うっけを()た。


「うっけくん、すぐ(はし)るね」


「まだ(はし)ってない」


「でも、もう(はし)りそう」


うっけは、()()(おく)(みち)()た。


「あの(いわ)のところまで()く」


四人(よにん)は、()()(おく)(ほそ)(みち)(はい)った。


(ほそ)(みち)は、(くさ)(なか)(はい)っていった。


りっかのくつに、(くさ)(さき)()れた。


さわ。


りっかは、(あし)()めなかった。


うっけは、(まえ)(ある)いた。


でも、りっかから(はな)れなかった。


役場(やくば)(うら)をぬけると、(はたけ)(ひろ)がった。


(はたけ)(さき)で、(みち)(つち)(さか)になった。


カサネは、(あし)もとの(つち)()た。


「ここまで(みち)(つづ)いたの、はじめてだと(おも)う」


うっけの(かお)が、ぱっと(あか)るくなった。


「じゃあ、()ける!」


まるみが、すぐに()った。


「うっけ、まだだよ」


「でも、(つづ)いてるだろ!」


うっけの(あし)が、(すこ)(はや)くなった。


りっかは、くつの(さき)()た。


(つち)が、もう(すこ)しだけついた。


「さっきより、(やま)(ちか)い」


まるみが、(いき)()った。


「ほんとだ」


(さか)(のぼ)ると、(まち)屋根(やね)(した)()えた。


(たか)いところまで()てる!」


うっけの(こえ)が、はずんだ。


(ふた)つの(いわ)も、さっきより(おお)きく()えた。


りっかは、(いき)()った。


(ちか)い」


まるみも、(やま)見上(みあ)げた。


「ほんとだ。もうすぐみたい」


うっけの(あし)が、また(すこ)(はや)くなった。


()ける。これ、()けるぞ!」


「うっけ、(はし)らない!」


(はし)ってない! でも、もうすぐだろ!」


りっかも、(あたら)しいくつで、(さか)(のぼ)った。


こつ。


こつ。


(いし)(おと)が、(やま)のほうへ(つづ)いていくみたいだった。


(さか)(さき)で、()()えた。


(ふた)つの(いわ)は、()(あいだ)()えたり、かくれたりした。


うっけは、(いわ)()えるたびに、(まえ)()そうになった。


まるみが、そのたびに()った。


「まだ」


「わかってる」


「わかってないよ」


りっかの(くち)もとが、すこしだけゆるんだ。


()のにおいが、(ちか)くなった。


(ふた)つの(いわ)は、もう、()(うえ)から、すぐそこみたいに()えていた。


うっけが、()()ばした。


「もうすぐだ」


りっかの(あし)も、()まらなかった。


でも、カサネだけが、(すこ)(あし)をゆるめた。


「……(しず)かすぎる」


うっけが、()(かえ)った。


「なにが?」


(やま)なのに、(おと)がない」


まるみも、(みみ)をすませた。


()(おと)も、(とり)(こえ)も、しなかった。


りっかは、(ふた)つの(いわ)()た。


「でも、()えてる」


うっけは、(まえ)()いた。


「だったら、()く」


(つぎ)()がり(かど)


そこを()がれば、(いわ)(した)()る。


はずだった。


うっけは、()がった。


そして、()まった。


()校舎(こうしゃ)があった。


(やま)()かっていたはずの(みち)は、昇降口(しょうこうぐち)(まえ)()わっていた。


うっけは、(くち)()げた。


「またかよ」


まるみは、(うし)ろを()(かえ)った。


さっきまで()えていた(ふた)つの(いわ)は、(まち)のむこうに(もど)っていた。


りっかは、校舎(こうしゃ)ではなく、(まち)のむこうの(やま)()た。


「あそこに、あったはずなのに」


うっけも、(やま)()た。


うっけの()は、まだ、(まえ)()びかけていた。


「じゃあ、()そう」


「なにを?」


佐々江温泉(ささえおんせん)


まるみは、()(まる)くした。


温泉(おんせん)とか、(おお)きすぎるよ」


「でかいなら、でかくかけばいいだろ」


うっけは、校舎(こうしゃ)見上(みあ)げた。


(ある)いて()けないなら、()す」


りっかは、(まち)のむこうの(やま)を、まだ()ていた。


まるみも、カサネも、(やま)()た。


うっけは、もう図工室(ずこうしつ)のほうを()いていた。


佐々江温泉(ささえおんせん)を、()そう」

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


次回は


6月18日 1:00に更新します。

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