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四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第四章
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36/40

36話 シンデレラのように

りっかは、まんじゅうを()()わってからも、しばらく(なに)()わなかった。


(さら)両手(りょうて)()ったまま、湯気(ゆげ)のなくなったまんじゅうのあとを()ていた。


それから、ぽつんと()った。


「ほんとうに、()るんだ」


うっけは、まだ半分(はんぶん)のまんじゅうを()ったまま、うなずいた。


()る」


まるみが、うっけを()た。


「うっけがえらそうにするところじゃないよ」


「おれも、ちゃんと(かんが)えただろ」


「まんじゅうに(ちか)すぎる(こえ)でね」


うっけは、まんじゅうをもう一口(ひとくち)かじった。


カサネは、りっかの(あし)(さき)()ていた。


()(いろ)(もど)った(あし)は、まだ、はだしだった。


カサネは、鳥居(とりい)のむこうを()た。


(みち)(ある)くなら、くつがいる」


りっかも、自分(じぶん)(あし)()た。


くつは、なかった。


りっかは、はだしの(あし)(ゆび)を、ほんの(すこ)しだけ(うご)かした。


「そうだね。くつ、ない」


それから、りっかは、鳥居(とりい)のむこうを()た。


石段(いしだん)(した)には、さっき(とお)ってきた(みち)がある。


そのむこうには、(まち)がある。


どこまで()けるのかは、まだ、だれにもわからなかった。


りっかは、(ちい)さな(こえ)()った。


「それに、なんでここにいるのかも、なんにもわからない」


うっけも、まるみも、カサネも、すぐには()わなかった。


湯気(ゆげ)だけが、()()のそばで、ふわっと()がった。


まるみが、りっかのとなりにしゃがんだ。


「わたしたちも、わからないこと、いっぱいあるよ」


りっかは、まるみを()た。


まるみは、すこしだけ(わら)った。


「でも、りっかに()えて、よかった」


うっけも、うなずいた。


「それに、ここから(ある)くなら、いっしょだろ」


りっかは、だまっていた。


カサネは、(しろ)(かみ)()た。


「まんじゅうが()たなら、(ある)くものも、()せるかもしれない」


うっけは、ぱっと(かお)()げた。


「くつだ」


まるみも、(かみ)()た。


「りっかのくつ」


うっけは、まじめな(かお)でうなずいた。


(いた)くないやつがいい」


「すべらないやつ」


まるみが()った。


カサネは、りっかの(あし)をもう一度(いちど)()た。


(かる)いのがいい」


まるみは、(いろ)えんぴつを()った。


「うん。(かる)くて、(いた)くなくて、すべらないくつ」


りっかは、(ちい)さく()いた。


「わたしの?」


まるみは、りっかを()て、うなずいた。


「うん。りっかの」


まるみは、(かみ)にくつをかきはじめた。


(みぎ)のくつ。


(ひだり)のくつ。


つま(さき)は、すこしだけ(まる)くした。


足首(あしくび)のところは、やわらかそうにした。


くつの(した)には、ぎざぎざの(せん)をかいた。


うっけは、のぞきこんだ。


「それ、すべらないやつだな」


「そう。すべらないやつ」


まるみは、くつの(よこ)に、(ちい)さく、りっか、とかいた。


りっかは、その()()た。


「りっか」


まるみが()った。


「うん。名前(なまえ)も、りっかの」


うっけは、(かみ)()()(ちから)()れた。


「じゃあ、これで()るな」


カサネが、(かみ)のはしをおさえた。


「まだ」


うっけは、カサネを()た。


「まだ?」


カサネは、りっかに()った。


「このくつで(ある)くところを、(あたま)(なか)(つく)ってみて」


りっかは、すこし(こま)った(かお)をした。


(ある)くところ」


「うん」


カサネは、鳥居(とりい)のむこうを()た。


石段(いしだん)()りる。(みち)(ある)く。(まち)()る」


りっかは、鳥居(とりい)のむこうを()た。


それから、ゆっくり()()じた。


「わたしでも、想像(そうぞう)するのは、とくいかもしれない」


まるみは、だまって()った。


うっけも、(くち)()じた。


カサネも、(かみ)をおさえたまま、(うご)かなかった。


りっかは、はだしの(あし)を、ほんの(すこ)しだけ(まえ)()した。


(いし)にふれる、と(おも)った。


その(まえ)に。


ことん。


りっかの(あし)(した)に、くつがあった。


うすい茶色(ちゃいろ)


つま(さき)(すこ)(まる)い。


(した)には、ぎざぎざの(せん)がある。


まるみの()と、(おな)じくつだった。


りっかは、()をつむったまま、くつに(あし)()れた。


くつは、りっかの(あし)を、そっと(つつ)んだ。


りっかが、(ちい)さく(いき)()った。


「……うまく、()せたみたい」


まるみは、(いき)()った。


「りっかの」


りっかは、()()けた。


くつを()た。


それから、まるみに()いた。


「これ、あとで、なくならない?」


うっけも、くつを()た。


「そうだよな。まんじゅうは()べたらなくなるけど、くつはなくなったらこまる」


カサネは、すこしだけ(かんが)えた。


「なくならないと、(おも)う」


りっかは、カサネを()た。


「なんで?」


カサネは、(かみ)のくつを()た。


それから、りっかのくつを()た。


「シンデレラのくつも、まほうがとけても、なくならなかった」


うっけは、(すこ)しだけだまった。


「シンデレラって、そうだっけ」


まるみが()った。


「そうだよ。ガラスのくつが(のこ)るの」


りっかは、(あたら)しいくつを()た。


「まほうが、とけても」


「うん」


カサネは、うなずいた。


「これは、りっかのくつ」


まるみも、すぐに()った。


「りっかのために、かいたくつ」


うっけも、うなずいた。


「りっかが(ある)くためのくつ」


りっかは、くつの(なか)で、つま(さき)(すこ)(うご)かした。


(いた)くない」


まるみは、ほっと(いき)をはいた。


「よかった」


りっかは、もう片方(かたほう)のくつも、そっとはいた。


りっかの(あし)に、ぴったりのくつだった。


りっかは、(やしろ)(まえ)()った。


さっきまで地面(じめん)()れないで()りてきた(あし)が、いまは、くつの(なか)にあった。


りっかは、一歩(いっぽ)だけ(ある)いた。


こつ。


まるみの(かお)が、ぱっと(あか)るくなった。


「うん。(ある)けてる」


りっかは、その(おと)()いて、すこし(わら)った。


もう一歩(いっぽ)(すす)んだ。


こつ。


うっけは、にっとした。


「じゃあ、()くぞ」


りっかは、鳥居(とりい)のむこうを()た。


「このくつで、(ある)いてみたい」


まるみは、(しろ)(かみ)をたたまずに()った。


(かみ)も、(いろ)えんぴつも()ってく」


「なんで?」


うっけが()いた。


「また()けるかも、しれないでしょ」


うっけは、うなずいた。


「よし。()くぞ」


こつ。


りっかは、自分(じぶん)のくつで、もう一歩(いっぽ)(すす)んだ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


次回は


6月17日 1:00に更新します。

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