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四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第四章
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34/40

34話 しみわたる

りっかは、まだ、(やしろ)(まえ)にいた。


(こけ)のついた(いし)のそばで、(しろ)(ひかり)は、もうほとんど()えない。


()()も、(みじか)(くさ)も、もう(おと)()てていなかった。


けれど、りっかのまわりだけ、まだすこし(あか)るかった。


まるみが、そっと()いた。


「だいじょうぶ?」


りっかは、まばたきをした。


(なが)(かみ)(した)で、(くち)がすこしだけ(うご)いた。


「……さむい」


うっけは、すぐに自分(じぶん)上着(うわぎ)()をかけた。


「これ、あったかいかは、わかんないけど」


うっけは、上着(うわぎ)()ちあげた。


「ないよりは、いいだろ」


うっけは、りっかの(ちか)くにしゃがんだ。


「かけてもいいか?」


りっかは、ほんの(すこ)しだけうなずいた。


うっけは、上着(うわぎ)をりっかの(かた)のあたりへかけた。


まるみは、自分(じぶん)両手(りょうて)に、はあ、はあ、と(いき)をかけた。


それから、りっかの()を、そっと(つつ)んだ。


りっかの(ゆび)が、すこしだけ(うご)いた。


まるみは、もう一度(いちど)自分(じぶん)()ごと、はあっと(いき)をかけた。


「すぐには、あったかくならないかも」


カサネは、(かお)()げた。


(やしろ)(した)


()()のあいだ。


石段(いしだん)(よこ)


カサネは、(なに)かを(さが)すみたいに、あたりを()まわした。


それから、ぱっと()ちあがった。


()てくる」


「え、どこ?」


まるみが()いたときには、カサネはもう、(やしろ)(よこ)(はし)っていた。


うっけは、りっかに上着(うわぎ)をかけたまま、カサネを()た。


「カサネ、あんまり(とお)くに()くなよ」


カサネは、()()のむこうをのぞいた。


(こけ)のついた(いし)(あいだ)をのぞいた。


(みじか)(くさ)(おく)をのぞくみたいに、しゃがんだ。


それから、ぱっと(かお)()げた。


()つけた!」


うっけが、(かお)()げた。


「なにを?」


カサネは、(やしろ)(よこ)(ゆび)さした。


「あったかいところ。あそこ、地面(じめん)からお()()てるみたい」


まるみの()が、(おお)きくなった。


「どこ?」


「こっち。()()のむこう」


うっけとまるみは、りっかを()た。


りっかは、上着(うわぎ)(した)で、すこしだけ(からだ)()こそうとした。


まるみが、りっかの()(つつ)みなおした。


「ゆっくりでいいよ」


うっけは、りっかの背中(せなか)(ちか)くに()()した。


()たなくていい。(うご)けるところまででいいから」


りっかは、ほんの(すこ)しだけうなずいた。


三人(さんにん)は、りっかを(ささ)えながら、()()のそばへ(ちか)づいた。


ぽこ。


()(いし)のあいだから、(ちい)さな(おと)がした。


うっけは、()をまるくした。


「いま、なんか()った?」


「お()(おと)だと(おも)う」


カサネが()った。


()()のむこうには、(ちい)さなくぼみがあった。


くぼみの(なか)には、お()がたまっていた。


(そこ)から、(ちい)さなあわが()ている。


湯気(ゆげ)が、ふわっと()がった。


まるみは、(いき)()った。


「ほんとに、お()だ」


うっけは、(しろ)湯気(ゆげ)(はな)(ちか)づけた。


「たべちゃいけない、たまごみたいな、におい」


りっかの(くち)もとが、ほんの(すこ)しだけ(うご)いた。


うっけは、りっかを()た。


「たまごで、わらうのか?」


「うっけの()(かた)でしょ」


まるみが()った。


カサネは、湯気(ゆげ)(うえ)()ていた。


「ここ、温泉(おんせん)なのかもしれない」


温泉(おんせん)?」


うっけは、ぽこ、とあわの()たあたりへ、(ゆび)(ちか)づけた。


「あつっ」


まるみが、うっけを()た。


「そこ、まん(なか)だよ」


「だって、そこから()てるし」


カサネも、お()のはしに()()れた。


「まん(なか)はあついけど。はしのほうなら、そこまであつくない」


まるみは、りっかの()(にぎ)った。


「りっか、やってみる?」


りっかは、湯気(ゆげ)のむこうを()て、(ちい)さくうなずいた。


うっけが、りっかの(あし)(した)()()した。


「ちょっとずつな」


まるみとカサネが、りっかの(からだ)(ささ)えた。


りっかの(あし)(さき)が、お()()れた。


りっかの(かた)が、ぴくっと(うご)いた。


まるみが、すぐに()いた。


「あつい?」


りっかは、(くび)(よこ)にふった。


それから、お()(なか)(あし)()た。


(しろ)かった(ゆび)(さき)に、ほんの(すこ)しだけ(いろ)(もど)っていく。


「あったかい」


まるみの(かお)が、ぱっと(あか)るくなった。


「よかった」


うっけは、ほっとした(かお)をした。


それから、温泉(おんせん)()た。


「じゃあ、(つぎ)温泉(おんせん)まんじゅうだな」


まるみが、うっけを()た。


「え。どういうこと?」


温泉(おんせん)っていったら、まんじゅうだろ」


うっけは、すこしだけ(かんが)えた。


「たぶん。温泉(おんせん)まんじゅうっていうくらいだし」


まるみは、(わら)った。


りっかも、湯気(ゆげ)のむこうで、(ちい)さく(わら)った。


ぽこ。


また、(そこ)から(ちい)さなあわが()た。


りっかの(かた)が、ぴくっと(うご)いた。


うっけは、すぐに()った。


「だいじょうぶ。いまの、お()だから」


まるみが、うっけを()た。


「うっけ、うるさい」


「え。だいじょうぶって()っただけだろ」


(こえ)が、(おお)きいの」


()(なか)で、りっかの(あし)(ゆび)が、ほんの(すこ)しだけ(うご)いた。


(あし)(うご)いた」


「おお」


うっけが、(おお)きくうなずいた。


「じゃあ、まんじゅうまで、あと(すこ)しだな」


「まだいってるのそれ?」


まるみが()いた。


「いうだろ。おなかも()いてきたし、温泉(おんせん)(つぎ)は、とうぜん、温泉(おんせん)まんじゅうだ!」


まるみは、もう一度(いちど)、うっけを()た。


「やっぱり、うるさい」


「やっぱりってなんだよ」


まるみとりっかは、(かお)()あわせて(わら)った。


うっけも、すこし(おく)れて(わら)った。


カサネは、お()(そこ)から()(ちい)さなあわを()ていた。


ぽこ。


もう一度(いちど)、あわが()た。


その(おと)に、りっかは、もうびっくりしなかった。


湯気(ゆげ)(なか)で、三人(さんにん)とりっかは(わら)っていた。


その(わら)(ごえ)は、湯気(ゆげ)(なか)をぬけて、鳥居(とりい)()こうへ、(ひろ)がった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


次回は


6月15日 1:00に更新します。

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