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四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第四章
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33/40

33話 ながいかみの子

その()は、まだ、地面(じめん)()れていない。


(やしろ)(まえ)空気(くうき)は、(しろ)(ひかり)のままだった。


(こけ)のついた(いし)


()()


(みじか)(くさ)


そのすぐ(うえ)に、(なが)(かみ)()が、空中(くうちゅう)でねむっているみたいに()いていた。


(かぜ)はない。


()(おと)もしない。


それなのに、(かみ)だけが、ゆっくりゆれていた。


背中(せなか)も、()も、はだしの(あし)も、地面(じめん)のすぐ(うえ)にある。


でも、つかない。


つきそうになって、また、ふわっと(はな)れる。


()()は、つぶれない。


(みじか)(くさ)も、たおれない。


うっけは、(しろ)いボールをかかえたまま、(いき)をのんだ。


まるみの()が、うっけのそでをつかむ。


カサネは、その()から()(はな)さなかった。


まるみが、(ちい)さな(こえ)()った。


「ずっと、つかない」


カサネが、(こえ)()とした。


()りてきてる、のかな」


()ちるの?」


「ううん。()ちてるんじゃない。ういてる」


うっけは、(しろ)いボールをかかえたまま、(やしろ)(まえ)()た。


(しろ)(ひかり)は、(いし)(だい)(まえ)で、しずかにゆれている。


「じゃあ、(した)にいたほうがいいだろ」


その()が、また、ふわっと地面(じめん)(ちか)づいた。


つきそうで、つかない。


うっけは、(しろ)いボールを地面(じめん)にそっと()いた。


まるみが、はっとした。


「うっけ、あぶないよ」


うっけは、(なが)(かみ)()()た。


その()は、(こけ)(いし)()()のすぐ(うえ)で、ゆらゆらしている。


うっけは、(まえ)()た。


「おれ、(した)にいる」


カサネが、すぐに反対(はんたい)がわへ(まわ)った。


「ぼくは、こっち」


まるみは、うっけと、カサネと、その()()くらべた。


それから、うっけのとなりに()った。


「わたしも」


「こわいだろ」


「こわいよ。だから、三人(さんにん)(ささ)えるの」


うっけは、うなずいた。


「ぎゅってしない。()ちてきたら、ちょっと()けるだけ」


まるみは、(ちい)さくうなずいた。


「いたくしないようにね」


三人(さんにん)は、その()(した)()った。


(しろ)(ひかり)は、まだ(おと)()てなかった。


その()は、空中(くうちゅう)でねむっているみたいなまま、ふわりとゆれた。


(なが)(かみ)が、うっけの(かお)(ちか)くまで()りてくる。


けれど、からだは、まだ地面(じめん)につかない。


うっけは、両手(りょうて)()した。


「おい」


(こえ)が、(おも)ったより(ちい)さくなった。


うっけは、もう一度(いちど)()った。


「ここ、地面(じめん)あるぞ。いきなり()ちなくていいからな」


まるみも、(した)から(こえ)をかけた。


「だいじょうぶ。三人(さんにん)いるよ」


カサネは、反対(はんたい)がわで、()()していた。


「こっちも、あいてる」


その()は、(しろ)(ひかり)(なか)で、すこしだけ(うえ)へもどった。


また、地面(じめん)から(はな)れる。


うっけは、(いき)()めた。


でも、こんどは、(とお)くへは()かなかった。


(しろ)(ひかり)が、ゆっくり、ゆっくり、(した)()りてくる。


その()も、(おな)じように、地面(じめん)(ちか)づいてくる。


三人(さんにん)()(うえ)を、(しろ)(ひかり)が、ふわっと(とお)った。


だれの()にも、ずしんとはこなかった。


つかまえた、というより、(ひかり)(とお)ったみたいだった。


それから、その()は、(やしろ)(まえ)地面(じめん)に、そっと()りた。


()つのでも、(すわ)るのでもない。


空中(くうちゅう)でねむっていたときと(おな)(かたち)で、地面(じめん)(うえ)にいた。


(なが)(かみ)が、(かお)のよこへ、さらりと()ちた。


(しろ)(ひかり)は、まだ、その()のまわりに(のこ)っていた。


(いし)のすきまから()(みじか)(くさ)が、(ひかり)(なか)で、ゆっくり()れている。


でも、(かぜ)はなかった。


うっけも、まるみも、カサネも、しばらく(こえ)()せなかった。


その()のまつげが、すこし(うご)いた。


まるみが、そっと(いき)()った。


でも、(こえ)()さなかった。


その()()が、ゆっくり(ひら)いた。


はじめに、(そら)()た。


それから、()()()た。


それから、(やしろ)()た。


三人(さんにん)は、その()がこっちへ()るのを、だまって()った。


三人(さんにん)()たのは、いちばん最後(さいご)だった。


まるみは、(すこ)しだけ()がった。


うっけも、()していた()を、そっと()っこめた。


カサネは、(やしろ)(よこ)()た。


さっきまで(しろ)かった空気(くうき)が、()()(いろ)に、すこしずつまじっていく。


(おと)のなかった場所(ばしょ)に、さら、と()(おと)(もど)った。


そのとき、その()(くち)が、ほんの(すこ)しだけ(うご)いた。


「……どこ」


まるみは、(ちい)さく(こた)えた。


神社(じんじゃ)のところ」


その()は、まるみを()た。


まだ、はっきり()えていないみたいだった。


うっけは、(くち)()けかけた。


でも、すぐに()じた。


まるみが、そっと()いた。


名前(なまえ)()いてもいい?」


その()のまぶたが、すこし(うご)いた。


「……り」


まるみは、()った。


うっけも、カサネも、(うご)かなかった。


「……りっか」


その名前(なまえ)()たとき、(しろ)(ひかり)が、すこしだけ(あか)るくなった。


まるみは、そっと()った。


「りっか」


その()は、まばたきをした。


もう一度(いちど)、まるみが()んだ。


「りっか」


(なが)(かみ)が、地面(じめん)(うえ)で、すこしだけ()れた。


カサネが、(ちい)さな(こえ)()った。


名前(なまえ)だ」


まるみは、りっかから()(はな)さなかった。


「うん」


(しろ)(ひかり)は、もう、ほとんど()えかけていた。


でも、りっかのまわりだけ、まだすこし(あか)るかった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


次回は


6月14日 1:00に更新します。

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