表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第三章
PR
30/40

30話 ただしいボールの使い方

ぐるっと地図(ちず)が、完成(かんせい)した。


三人は、(つくえ)の上のつつを見た。


青い小川(おがわ)は、ぐるっと(まわ)って、また学校(がっこう)のそばへ(もど)っていた。


「できたな」


うっけが()った。


まるみも、うなずいた。


カサネは、つつの上から中をのぞいた。


「でも、上、あいてる」


「つつだからな」


カサネは、つつをすこし()ち上げた。


「下もあいてる」


うっけは、口を()じた。


まるみも、つつの(あな)を見た。


(まち)って、あいてたっけ」


図工室(ずこうしつ)が、しんとした。


まるみは、青い(いろ)えんぴつを()った。


()()のほうも、つなげてみる」


つつの(よこ)に、(みち)をかきたそうとした。


でも、(せん)は、すぐにつつのはしへ()った。


(はい)らない」


「ちっちゃくしたら?」


「もう、ちっちゃい」


まるみが(せん)()げると、こんどは、お米屋(こめや)さんにぶつかりそうになった。


「だめ。こっちだと、お(みせ)をこわしちゃう」


うっけは、つつをぐるっと(まわ)した。


小川(おがわ)は、いけた」


「うん」


「でも、()()(はい)らない。上と下があいてるから」


うっけは、つつの(あな)を見た。


「じゃあ、あいてないやつだ」


まるみが()いた。


「あいてないやつ?」


「ぐるっとしてて、あいてないやつ」


カサネが()った。


「もっと(まる)いやつ?」


うっけは、ぱっと(かお)を上げた。


「ボール」


体育館(たいいくかん)にある」


カサネが()った。


三人は、図工室(ずこうしつ)()()した。


木のろうかを(はし)る。


体育館(たいいくかん)(ひろ)()が、すぐに見えた。


うっけが()に手をかける。


ぎい、と(おも)(おと)がした。


中は、ひんやりしていた。


木の(ゆか)に、三人の足音(あしおと)が、こつこつこつ、とひびいた。


うっけは、体育館(たいいくかん)のすみへ(はし)った。


用具室(ようぐしつ)()が、すこしだけ()いていた。


中には、なわとび。


カラーコーン。


マット。


それから、ボールの(はい)ったかご。


「あった」


赤いボール。


黄色(きいろ)いボール。


茶色(ちゃいろ)いボール。


黒い(せん)(はい)った、かたいボール。


まるみが、茶色(ちゃいろ)いボールを見た。


「これ、かけなさそう」


「もう(せん)あるしな」


うっけは、かごの(おく)に手を()れた。


「あ」


白いボールがあった。


すこしよごれていて、ところどころ、白がくすんでいた。


でも、ちゃんと白かった。


「これ、バレーのやつかな」


まるみが()った。


()らない。でも、白い」


カサネが、ボールを(ゆび)でたたいた。


「これなら、(せん)が見える」


うっけは、白いボールをかかえた。


「これだ」


三人は、図工室(ずこうしつ)(もど)った。


(つくえ)の上では、つつの地図(ちず)()っていた。


うっけは、そのとなりに、白いボールを()いた。


つつより、まるい。


上も下も、あいていない。


まるみは、たなからマーカーを()ってきた。


黒。


青。


赤。


(みどり)


うっけは、白いボールを、とん、とたたいた。


「今日は、()げない」


まるみが、黒いマーカーを()った。


「かく」


カサネもうなずいた。


「それが、ただしい使(つか)(かた)


うっけは、にやっとした。


「そういうこと」


まるみは、ボールの上に、小さな四角(しかく)をかいた。


「まず、学校(がっこう)


(まる)いところなので、マーカーの先がすべった。


「うわ、むずかしい」


うっけが、ボールを両手(りょうて)でおさえた。


カサネも、反対(はんたい)がわをおさえた。


「今」


まるみは、もう一度(いちど)(せん)をなぞった。


小さな学校(がっこう)が、白いボールの上にできた。


つぎは、小川(おがわ)


まるみは、青いマーカーを()った。


学校(がっこう)のそばから、青い(せん)()く。


くねくね。


くねくね。


ボールをすこしずつ(まわ)しながら、青い(せん)をのばす。


「ここで、(はし)


「ここで、お米屋(こめや)さん」


「こっちに、八百屋(やおや)さん」


三人で()いながら、ボールの上に(まち)ができていった。


つつの地図(ちず)()まった(みち)も、ボールの上では、くるっと()がった。


(はい)る」


まるみの手が、(はや)くなった。


児童館(じどうかん)


()()


木のかげ。


その下に、小さな(まる)を三つ。


うっけが(わら)った。


「また(まめ)だ」


地図(ちず)だから」


まるみは、ボールを(まわ)した。


(はたけ)


()んぼ。


山。


それから、四角(しかく)建物(たてもの)


佐々江町役場(ささえまちやくば)


まるみは、建物(たてもの)を小さくかいた。


ボールをゆっくり(まわ)すと、学校(がっこう)から()小川(おがわ)が、(まち)(とお)り、山のそばを(まわ)って、また学校(がっこう)(もど)ってきた。


()()も、役場(やくば)も、ボールの中に(はい)った。


(はい)った」


まるみが、ボールを()めた。


そのときだった。


カサネが、ボールの下のほうを見た。


「でも、ここ、白い」


うっけは、ボールを(まわ)した。


ボールの裏側(うらがわ)に、まだ(なに)もかいていないところがあった。


そこだけ、ぽっかり白かった。


まるみが、白いところを見つめた。


「ここ、なに?」


「わかんない」


カサネが、その白いところを(ゆび)さした。


「まだ()ってないところかも」


うっけは、すぐにボールをかかえた。


()くぞ」


「今から?」


「今から」


うっけは、白いところを(ゆび)でたたいた。


「ここが、まだだ」


まるみは、マーカーのふたをしめた。


「うん」


三人は、図工室(ずこうしつ)()た。


白いボールの裏側(うらがわ)には、まだ、(なに)もかいていなかった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


次回は


6月12日 1:00に更新します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ