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四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第三章
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29/40

29話 ぐるっと地図作り

三人は、学校(がっこう)の中へ(もど)った。


うっけは、ろうかを早足(はやあし)(すす)みながら()った。


(かみ)(いろ)えんぴつ、(さが)すぞ。(あたま)の中のやつ、出さないとわけわかんなくなる」


まるみが、うしろからついてきた。


「それなら、図工室(ずこうしつ)にありそう」


図工室(ずこうしつ)


うっけは、すぐに(かお)を上げた。


「そこだ」


木のろうかを()がると、(ひろ)()のついた体育館(たいいくかん)があった。


うっけたちの学校のより、すこし小さく見えた。


「ここじゃない」


三人はそこを(とお)りすぎて、まどの(おお)いほうへ(すす)んだ。


その先に、図工室(ずこうしつ)があった。


がら、と(とびら)()けると、木と、(かみ)と、すこしだけ()()のにおいがした。


うっけは、たなから白い画用紙(がようし)を見つけて、大きな(つくえ)(ひろ)げた。


「よし。かくぞ」


まるみが、(いろ)えんぴつをならべた。


「まず、学校(がっこう)?」


「おう。まず、学校(がっこう)だ」


まるみは、(かみ)のまん中に、小さな四角(しかく)をかいた。


阿波瀬小学校(あわせしょうがっこう)


そこからは、(たの)しかった。


「そのまわりに、小川(おがわ)


カサネが()った。


まるみは、青い(いろ)えんぴつで、くねくねした(せん)()いた。


「こっちに()くと、お米屋(こめや)さん」


八百屋(やおや)さんも」


まるみの手が、さらさら(うご)いた。


米袋(こめぶくろ)


(あか)いトマト。


(みどり)のきゅうり。


白い(かみ)に、三人が(ある)いた(まち)が、すこしずつできていった。


うっけは、それを見て(わら)った。


「うま」


まるみは、すこしだけ口をむすんだ。


「……地図(ちず)だから、ちゃんとかかないと」


「いや、うまいって。八百屋(やおや)のトマト、そのままだ」


「うん」


まるみは、ちょっとだけうれしそうに(わら)った。


カサネは、(かみ)の上をのぞきこんだ。


「お弁当(べんとう)のところも、かこう」


まるみの手が()まった。


()()だな」


うっけが()った。


「そこもかこう。おにぎり()べたところ」


まるみは、児童館(じどうかん)のそばに、()()をかいた。


木のかげを、まるくかいた。


その下に、小さな(まる)を三つならべた。


「これ、おれたち?」


「うん」


カサネが、(まる)をのぞきこんだ。


「三つとも、(おな)(おお)きさだ」


「だめ?」


「いいと(おも)う。三人で()べたところだから」


うっけが、(まる)を見た。


「おれ、もうちょっと(おお)きくてもいいけどな」


地図(ちず)だから」


まるみが()った。


カサネもうなずいた。


地図(ちず)だから、うっけも小さい」


「そこ、二人で()うな」


まるみは、あはっと(わら)った。


そこまでは、本当(ほんとう)(たの)しかった。


白い(かみ)の上に、さっきの(まち)がすこしだけ(もど)ってくるみたいだった。


うっけは、(かみ)の上を(ゆび)でたどった。


「で、ここからさらに(すす)んだら、学校(がっこう)(もど)ったんだ」


まるみの手が、ぴた、と()まった。


学校(がっこう)? でも、学校(がっこう)はまん中にあるよ」


「そこにつなげるんだよ」


まるみは、()()の先から、まん中の学校(がっこう)(せん)()こうとした。


でも、その(せん)は、お米屋(こめや)さんや八百屋(やおや)さんの上を(とお)りそうになった。


まるみは、あわてて手を()めた。


「これ、へん。(せん)が、ほかのお(みせ)をこわしちゃう」


「じゃあ、こっちからまわすか?」


うっけは、(かみ)のはしを(ゆび)さした。


でも、そこにはもう(みち)がなかった。


カサネが、(かみ)の右のはしと左のはしを見くらべた。


()りない。(かみ)


うっけは、(かみ)の上の学校(がっこう)をにらんだ。


「なんでだよ。かけば、見えると(おも)ったのに」


まるみは、(いろ)えんぴつを()いた。


「見えてるよ」


「どこが」


「へんなところ」


まるみは、(かみ)のあちこちを(ゆび)さした。


「ここも学校(がっこう)。こっちも学校(がっこう)(とお)くへ()っても学校(がっこう)。だから、この(まち)がへんだってことが見えてる」


カサネが、うなずいた。


(たい)らな(かみ)だと、学校(がっこう)がふえる。おさまらない」


うっけは、(かお)を上げた。


(たい)らな(かみ)だと?」


「うん」


まるみは、(つくえ)の上の(いろ)えんぴつを、ころころと(ころ)がした。


(いろ)えんぴつは、(かみ)のはしで()まった。


まるみは、それを見た。


「じゃあ、(かみ)を、ぐるっとしたら?」


うっけは、まるみを見た。


(かみ)を?」


「うん」


まるみは、(かみ)の右のはしを、そっと()ち上げた。


白い(かみ)が、ふわっと()がった。


「こう」


「まるめるのか?」


「まるめるっていうか」


まるみは、(かみ)の右のはしと、左のはしを(ちか)づけた。


学校(がっこう)のそばから出た青い小川(おがわ)が、くるっと()がって、また学校(がっこう)(ちか)くへ()た。


うっけが、()()り出した。


「お」


カサネも、(かお)(ちか)づけた。


「つながりそう」


「でも、手を(はな)したら、(もど)っちゃう」


まるみが()った。


うっけは、たなの上を見た。


「テープある?」


カサネが、図工室(ずこうしつ)のすみにある(はこ)(ゆび)さした。


「あそこにあるよ。たぶん、テープ」


うっけは、(はこ)の中から透明(とうめい)のテープを見つけた。


「これだ」


まるみは、(かみ)をくるっと()げたまま、(いき)()めていた。


うっけが、テープを()った。


ぺた。


(かみ)のはしと、はしが、くっついた。


まるみが、そっと手を(はな)した。


(かみ)は、(たい)らには(もど)らなかった。


つつになって、(つくえ)の上に()っていた。


「立った」


まるみが()った。


うっけは、つつを(よこ)から見た。


「すげえ。地図(ちず)が、立ってる」


まるみは、青い小川(おがわ)(せん)(ゆび)でなぞった。


「ここから(なが)れて」


つつをすこし(まわ)す。


「ここを(とお)って」


また、すこし(まわ)す。


「ここで、学校(がっこう)のそばに(もど)る」


うっけは、目を(まる)くした。


(もど)った」


カサネも、つつを見た。


「でも、学校(がっこう)は一つ」


三人は、つつになった地図(ちず)を見た。


(たい)らな(かみ)の上では、けんかしていた(せん)が、つつの上では、ぐるっとつながっていた。


「できた」


まるみが()った。


うっけは、すぐには()(かえ)さなかった。


つつの地図(ちず)を見た。


それから、ゆっくりうなずいた。


「できたな」


カサネも、うなずいた。


「ぐるっとしてる」


まるみは、小さく(わら)った。


「ぐるっと地図(ちず)


うっけは、もう一回(いっかい)、つつを(まわ)した。


「よし。ぐるっと地図(ちず)だ」


(たい)らな(かみ)では、けんかしていた(せん)が、つつの上では、ぐるっとつながっていた。


ぐるっと地図(ちず)が、完成(かんせい)したのだ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


次回は


6月11日 1:00に更新します。

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