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四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第三章
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28/40

28話 小川のそとがわ

三人は、小川(おがわ)からはなれるほうへ(ある)いた。


うしろでは、まだ、(みず)(おと)がしていた。


さらさら。


ころころ。


(まえ)(ある)いているのに、(おと)だけは、背中(せなか)にくっついてくるみたいだった。


うっけは、(かた)(すこ)()げた。


「うしろにいろよ!」


「え。だれに()ったの?」


小川(おがわ)。こんどは、そっちへ()かない」


まるみが、(すこ)しだけ(わら)った。


小川(おがわ)から、はなれよう」


(ほそ)(みち)は、(いえ)のあいだへ(はい)っていった。


木のかべ。


(ひく)屋根(やね)


(ふる)看板(かんばん)


(みず)(おと)は、だんだん(ちい)さくなった。


そのかわりに、(まち)のものが、(ちか)くなった。


「あ。お米屋(こめや)さん」


(みせ)(まえ)には、米袋(こめぶくろ)がならんでいた。


うっけは、入口(いりぐち)をのぞいた。


「だれかー」


へんじはなかった。


となりには、八百屋(やおや)さんもあった。


(あか)いトマト。


(みどり)のきゅうり。


まるみは、(おく)()た。


「なんか、へん」


カサネは、(みち)(さき)()()けていた。


「まだ、(つづ)いてる」


三人は、看板(かんばん)のならぶ(みち)(すす)んだ。


小川(おがわ)(おと)は、もうほとんど()こえなかった。


児童館(じどうかん)(まえ)に、()()があった。


大きな木のかげが、草の上にまるく()ちていた。


まるみが、(あし)()めた。


「あそこ」


三人が(すわ)れば、ちょうどおさまりそうなかげだった。


まるみは、お弁当(べんとう)()た。


「お弁当(べんとう)()べない?」


うっけの弁当(べんとう)が、さっきより(おも)(かん)じた。


「そうだな、()べようか」


三人は、木のかげに(すわ)った。


弁当(べんとう)()けると、おにぎりのにおいがした。


うっけは、おにぎりをひとつ()()った。


ほんの(すこ)しだけ、()のひらに(こめ)のあたたかさがうつった。


「おにぎりまで、ぐるっとしてたらいやだろ」


まるみが(わら)った。


「まるいけどね」


うっけは、ひとくちめを、(すこ)(おお)きくかじった。


(こめ)が、口の中でほぐれた。


「……うま」


カサネも、ゆっくりかじった。


「とっても、おいしい」


(かぜ)が、木の()をゆらした。


まるみは、(まち)をながめた。


「ここ、ちょっといいね」


「へんなのに?」


「へんなのに」


カサネは、草の上にそっと()をついた。


「ここ、すわっていい(かん)じがする」


三人は、お弁当(べんとう)をしまった。


「あとで、ここでまた()べてもいいよね」


「まず、あとで()られるかだろ」


三人は、()()()た。


児童館(じどうかん)のよこをぬけた。


小さな薬局(やっきょく)


郵便局(ゆうびんきょく)


そして、(つぎ)(かど)()がった。


ふいに、(あし)のうらの(かん)じが()わった。


()(まえ)に、木の(もん)があった。


阿波瀬小学校(あわせしょうがっこう)だった。


「……お弁当(べんとう)のところは?」


米屋(こめや)さんも、八百屋(やおや)さんも、()()()えなかった。


うっけは、(あたま)をかいた。


「もう一回(いっかい)


「また?」


「こんどは、ちがう(みち)


こんどは、三人はちがう(みち)(えら)んだ。


小さな(いえ)(すく)なくなった。


(はたけ)


()んぼ。


山が、さっきより(ちか)かった。


小川(おがわ)(おと)は、もう背中(せなか)にもいなかった。


そのかわり、(そら)(ひろ)かった。


カサネは、山の(した)にある大きな建物(たてもの)()つけた。


「あれ」


入口(いりぐち)(うえ)に、(ふる)看板(かんばん)があった。


うっけは、その文字(もじ)()んだ。


佐々江町役場(ささえまちやくば)


まるみが、まばたきをした。


「ささえまち?」


佐々江町(ささえまち)、だって」


「ここ、阿波瀬(あわせ)じゃないのかよ」


まるみは、山のほうを()た。


「もっと(さき)()ったら、(そと)()られるかな」


()く」


三人は、役場(やくば)のよこを(とお)って、山のほうへ(すす)んだ。


(みち)は、(さき)(つづ)いているように()えた。


そのはずだった。


(つぎ)(かど)()がった瞬間(しゅんかん)、山の(みどり)()えた。


()(まえ)に、木の(もん)があった。


阿波瀬小学校(あわせしょうがっこう)だった。


うっけは、(あたま)をくしゃくしゃにかいた。


「もう、(ある)いて(おぼ)えるの、むりだ」


まるみが、うっけを()た。


「じゃあ、かけば?」


「なにを」


(ある)いたとこ。()たとこ」


うっけは、はっとした。


地図(ちず)?」


「うん。(まち)の」


カサネが、ぽつんと()った。


小川(おがわ)も、かく?」


「かく」


まるみの(ゆび)が、空中(くうちゅう)に、すっと(せん)をかいた。


学校から、小川(おがわ)のそとがわへ。


米屋(こめや)さんへ。


()()へ。


役場(やくば)へ。


そして、また学校へ。


でも、その(せん)は、空中(くうちゅう)で、どこかにぶつかったみたいに()まった。


「……かいたほうが、わかるかも」


うっけは、学校の中を()た。


(かみ)と、(いろ)えんぴつ」


カサネが、うなずいた。


地図(ちず)


三人は、学校の中へ(もど)った。


(あたま)の中はぐちゃぐちゃだった。


でも、うっけの()は、もう(かみ)(いろ)えんぴつを(さが)していた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


次回は


6月10日 1:00に更新します。

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