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四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第三章
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25/40

25話 丸いベンチのとこ

(もん)(そと)には、(ほそ)(みち)があった。


うっけのくつが、土を()んだ。


ざり。


さっきの校庭(こうてい)より、やわらかかった。


まるみのくつも、すこししずんだ。


カサネは、(かお)()げた。


さらさら。


ころころ。


水の(おと)が、(まえ)から()ていた。


うっけは、(みち)のよこを()た。


「どこだ?」


(おと)はするのに、()えなかった。


(くさ)が、(みち)のよこでゆれていた。


まるみが、しゃがんだ。


(くさ)のあいだを、のぞきこんだ。


「あ、(ひか)ってる」


うっけも、しゃがんだ。


(くさ)の下で、きらっと(ひか)るものがあった。


カサネが、耳をすました。


(くさ)の下。水が(なが)れてる」


(ほそ)い水が、(いし)にあたった。


ころころ。


小川(おがわ)じゃん」


うっけが()った。


まるみは、口を(ちい)さくゆるめた。


「この(おと)、やっぱりすき」


まるみは、(くさ)の下を(なが)れる水を()た。


()えないのに、ちゃんといるみたい」


うっけは、(くさ)の下をのぞいた。


(ほそ)い水が、(いし)にあたって、ころころ()った。


「……いるって、水が?」


「水も。(おと)も」


カサネが、耳をすました。


「うん。すきになっちゃうね」


まるみが、ぱっと(かお)()げた。


「うん」


水は、(くさ)の下から()たり、かくれたりしながら、(みち)(さき)(なが)れていた。


「このさき、()くぞ」


三人は、小川(おがわ)にそって(ある)()した。


(みち)は、ゆるく下っていて、(くさ)が、くつのよこをかすった。


さらさら。


ころころ。


水の(おと)が、(すこ)(おお)きくなった。


まるみが、(かお)()げた。


(そと)のにおい、する。水と、(くさ)と、土」


うっけも、(いき)をすった。


学校のにおいではなかった。


さらさら。


ころころ。


水の(おと)が、もっと(ちか)くなった。


木のかげが、ふっと()れた。


(まえ)が、ぱっと(あか)るくなった。


うっけは、(あし)()めた。


まるみと、カサネも、()まった。


(かぜ)が、(まえ)から()た。


三人とも、しばらく(なに)()わなかった。


まるみが、ぽつりと()った。


屋根(やね)がある」


木のむこうに、ひくい屋根(やね)()えた。


ひとつ。


ふたつ。


三つ。


うっけは、屋根(やね)のあいだを()た。


(ほそ)(みち)が、屋根(やね)屋根(やね)のあいだを(とお)っていた。


さらさら。


ころころ。


水も、そのほうへ()っていた。


そのむこうで、きらっと(ひか)った。


まるみが、(ゆび)をさした。


(はし)


うっけも、そこを()た。


屋根(やね)


(みち)


水。


(はし)


ばらばらだったものが、(きゅう)に、ひとつに()えた。


まるみが、小さく(いき)をすった。


「……(まち)?」


「でも、人いないよな」


屋根(やね)も、(みち)も、(はし)も、そこにあった。


さらさら。


ころころ。


水の(おと)だけが、(さき)でしていた。


カサネが、小さく()った。


「でも、ある」


うっけは、もう一回(いっかい)(まえ)()た。


「うん。(まち)だ」


その言葉(ことば)()たとたん、そこにあるものが、ぜんぶ(まち)()えた。


水は(なが)れていた。


(みち)(つづ)いていた。


どこかの(いえ)のかげで、(くさ)だけがゆれていた。


カサネは、(まち)()ていた。


「だれもいないのに、だれかがいたにおいがする」


うっけは、カサネを()た。


「それ、人がいるってことか?」


カサネは、(くび)(ちい)さくふった。


「わからない。でも、からっぽじゃない」


まるみも、(まち)()た。


「でも、わたしたちの(まち)じゃないよね」


「だな」


うっけは、屋根(やね)のあいだを()た。


「でも、(なに)()ってるものがあったら、すぐわかるだろ」


まるみが、ぱっと(かお)()げた。


(まる)いベンチのとこ?」


「そう、それ。あわせ公園(こうえん)だな」


「うん。どっちが(まえ)かわかんないベンチ」


「あるだろ。すわったほうが(まえ)じゃん」


「じゃあ、すわる人がかわったら、(まえ)もかわるの?」


うっけは、すこしだけだまった。


「……それは、まあ、そうかも」


まるみが、ちょっと(わら)った。


うっけは、(まち)()た。


「じゃあ、(さが)すぞ」


「なんで?」


(まる)いベンチなら、()たらわかるだろ。おれたち、()ってるんだから」


カサネが、うっけとまるみを()た。


「そのベンチ、()たい」


うっけは、(みち)(さき)()た。


「まずは、(まる)いベンチのとこだ」


さらさら。


ころころ。


まるみが、耳をすました。


(おと)、まだそっちにいる」


三人の(あし)は、もう()まらなかった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


次回は


6月7日 1:00に更新します。

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