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四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第三章
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23/40

23話 むこうの校舎へ

うっけの(あし)が、先に(うご)いた。


(あたま)より先に、(からだ)()ていた。


四年五(くみ)()()けると、中庭(なかにわ)(ひかり)が、すぐそこにあった。


くつの(した)で、土と小さな(いし)が、ざり、と()った。


うっけは、(わた)りろうかの入口(いりぐち)()って、はじめて(いき)をすった。


「……ほんとにあった」


まるみが、ぱっととなりに()た。


カサネも、(すこ)しおくれて()た。


(はしら)のあいだから、中庭(なかにわ)(ひかり)(はい)っていた。


屋根(やね)の下を、(かぜ)がすっと(とお)った。


まるみは、むこうの木の校舎(こうしゃ)()た。


「学校、もういっこある」


()()こうぜ」


「うん」


カサネは、むこうの校舎(こうしゃ)()たまま、(すこ)しだけだまっていた。


「ひとりだったら、たぶん()かない」


しばらく、だれも()わなかった。


まるみが、小さく()った。


「わたしも」


うっけは、(まえ)()いたまま()った。


「三人で()けばいいだろ。とうぜん」


それだけだった。


でも、(わた)りろうかの足音(あしおと)が、三つになった。


こつ。


こつ。


こつ。


(はしら)のかげを(とお)るたびに、(あか)るくなったり、すこしだけ(くら)くなったりした。


まるみの(かみ)が、(かぜ)でふわっとゆれた。


カサネは、木の(はしら)()ながら(ある)いていた。


「木、(ふる)いね」


「うん。この木、四年五(くみ)()てる」


うっけは、むこうの木の()()た。


「四年五(くみ)は、もう()ってる」


まるみが、うっけを()た。


「こっちは?」


うっけは、すこしだけだまった。


「まだ、()らない」


まるみは、うなずいた。


「わかる」


三人は、(わた)りろうかの(さき)まで(ある)いた。


そこには、大きな木の()があった。


()のよこに、小さなまどがあった。


まるみが、()のびをした。


「中、()える?」


「ちょっとだけ」


うっけも、まどをのぞいた。


すりガラスのむこうに、ほそい(ひかり)がのびていた。


(なが)いな」


「うん。(おく)、あるね」


カサネは、()の木に手を()てた。


「木のにおいがする」


うっけが、()に手をかけた。


がら。


木の()()いた。


中は、やっぱり木のにおいがした。


()まった()がならんでいる。


すりガラスのまどが、すこしずつ(ひかり)(かえ)していた。


まるみは、ろうかの(おく)()た。


「めいろみたい、だ!」


「まっすぐだろ」


うっけが()った。


「まっすぐだけど、ひろくて、めいろみたい」


カサネも、ろうかの(おく)()ていた。


()が、いっぱいあるからかな」


まるみは、ならんだ()を、(ゆび)(かぞ)えようとした。


ひとつ、ふたつ、みっつ。


その(さき)で、(ゆび)()まった。


「……いっぱい」


「だから、そう()っただろ」


うっけが()った。


まるみは、()まった()のひとつに、そっと手を(ちか)づけた。


ふれなかった。


でも、(ちか)づけた。


「わたし、こういうの、すき」


うっけが、まるみを()た。


「こわいだろ」


「こわいよ」


まるみは、手をひっこめた。


でも、目は()からはなさなかった。


「こわいけど、()たい」


うっけは、ならんだ()()た。


()るだろ。(あたら)しい校舎(こうしゃ)だぞ」


まるみの(かお)が、ぱっと(あか)るくなった。


「あとで、ぜんぶ()る?」


()る」


うっけは、すぐに()った。


「ぜんぶ()るなら、弁当(べんとう)……」


そこまで()って、うっけは口を()じた。


カサネも、すりガラスを()ていた。


()ないと、わからない」


うっけは、うなずいた。


「まず、(さき)だな」


三人は、まっすぐ(すす)んだ。


ろうかの(さき)が、すこし(ひろ)くなっていた。


木のくつ(ばこ)が、ずらっとならんでいた。


(うえ)のだんにも、(した)のだんにも、なにも(はい)っていなかった。


まるみは、くつ(ばこ)()た。


それから、大きな()()た。


「ここ、くつをはくところ?」


うっけは、大きな()()た。


「……(そと)()るところじゃん」


まるみの目が、大きくなった。


カサネは、()のすきまからもれる(あか)るさを()ていた。


(そと)、あるんだ」


うっけは、()一歩(いっぽ)(ちか)づいた。


()られるってことだよな」


まるみは、くつ(ばこ)(まえ)で、(すこ)しだけ(あし)をそろえた。


「ほんとに、(そと)?」


大きな()の上と、(りょう)わきに、(いろ)のついたガラスがはまっていた。


(あお)


みどり。


(あか)


きいろ。


ガラスの(いろ)が、木のゆかに()ちていた。


まるみが、ゆかを()た。


「……ステンドグラスみたい」


「なにそれ」


「こういうの」


まるみは、()の上を(ゆび)さした。


うっけは、ゆかに()ちた(あお)(いろ)()た。


くつの(さき)を、そっとのせた。


くつが、すこし(あお)くなった。


「……ほんとだ。すげえ」


まるみが、きいろのところへ(あし)をのせた。


「かわいい」


「そこかよ」


「だって、かわいいもん」


カサネは、みどりのところへ、そっと(あし)()いた。


三人のくつに、三つの(いろ)がのった。


だれも、すぐには()わなかった。


でも、三人とも、()のむこうを()ていた。


カサネが、小さく()った。


「むこう、もっと(あか)るい」


うっけの手が、()手前(てまえ)()まった。


うっけのおなかが、小さく()った。


きゅ。


三人は、しばらくだまった。


()のむこうの(あか)るさは、まだそこにあった。


まるみが、口をおさえた。


「いま」


()こえてない」


()こえたよ」


カサネが、(すこ)しだけ(わら)った。


「ぼくも、おなかすいた」


まるみも、うなずいた。


「わたしも」


うっけは、もう一回(いっかい)()のむこうを()た。


「……じゃあ、弁当(べんとう)いるな」


まるみの(かお)が、ぱっと(あか)るくなった。


「お弁当(べんとう)?」


「お弁当(べんとう)


カサネが()った。


「三人ぶん、()っていこう」


うっけは、くるっとふりむいた。


「いったん、もどろう」


まるみは、大きな()に手を()てた。


「あとで、()けるからね」


「すぐもどるだろ」


うっけは、もう一回(いっかい)、大きな()()た。


「いくの、やめるんじゃないからな。お弁当(べんとう)(つく)ったら、すぐここに()る。それで、今度(こんど)こそ(そと)()る」


まるみとカサネは、うなずいた。


うっけも、うなずいた。


三人は、四年五(くみ)のある校舎(こうしゃ)へむかった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


次回は6月5日 1:00に更新します。

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