表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第二章
PR
22/40

22話 明けない夜はない

このお話は全年齢向けの作品です。

気軽に読んでいただけたらうれしいです。

うっけは、まぶしくて()をあけた。


まどのむこうが、(あか)るかった。


「……(あさ)じゃん」


こえは、(ちい)さく出た。


まるみも、ふとんの中で()をこすった。


「ほんとだ」


カサネは、まどのそばに立っていた。


(あさ)のにおいがする」


「なにそれ」


カサネは、まどを(すこ)しだけ()けた。


(つめ)たい空気(くうき)が、すうっと(はい)ってきた。


「ねむくないにおい」


まるみが、(ちい)さく(わら)った。


「ちょっとわかる」


うっけは、ベッドから(あし)を下ろした。


ゆかは、ひんやりしていた。


でも、きのうみたいに、こわくなかった。


まどの外には、中庭(なかにわ)の木が見えた。


草も、まども、ちゃんと見えた。


見えなくなっていくものは、なかった。


うっけは、(いき)をはいた。


「五(くみ)にもどるぞ」


三人は、保健室(ほけんしつ)を出た。


ろうかには、(あさ)(ひかり)が入っていた。


こつ、こつ。


足音(あしおと)が、(さき)までひびいた。


四年五(くみ)(もど)ると、教室(きょうしつ)もあかるかった。


うっけは、まっ先に黒板(こくばん)を見た。


右下(みぎした)に、名前(なまえ)があった。


うっけ。


まるみ。


カサネ。


あった。


まだ、あった。


「……まだある」


まるみも、となりに()た。


「あるね」


カサネも、うなずいた。


三人の(せき)も、そこにあった。


まるみは、自分の(せき)に手を()いた。


「あーーー」


こえが、教室(きょうしつ)にのびた。


まるみは、ぱっと(かお)を上げた。


「こえでた」


「出るだろ」


「でも、出た」


うっけは、(すこ)しだけ(わら)った。


まるみは、(せき)をさわったまま、まどの外を見た。


(あさ)だね」


「そうだな」


うっけは言った。


それから、(すこ)しだけだまった。


(いえ)じゃないけどな」


まるみは、すぐには返事(へんじ)をしなかった。


「でも、三人で(あさ)になったね」


うっけは、(すこ)しだけ()をそらした。


「……まあな」


カサネが、まどの外を見たまま言った。


「三人とも、いる」


うっけは、黒板(こくばん)を見た。


三人の名前(なまえ)があった。


三人の(せき)も、あった。


きのうの(よる)は、(きゅう)だった。


夕焼(ゆうや)けになるひまもなかった。


まるみが言った。


「黒かと(おも)った」


カサネは、(くび)(よこ)にふった。


「黒じゃない」


「なんで」


カサネは、まどの外を見た。


それから、黒板(こくばん)を見た。


「見えてるから」


うっけは、(なに)も言えなかった。


たしかに、木も、草も、名前(なまえ)も見えていた。


まるみが、(ちい)さく言った。


「でも、夕焼(ゆうや)けになる、ひまがなかった」


その言葉(ことば)だけが、教室(きょうしつ)(すこ)(のこ)った。


三人は、(すこ)しだけ、だまった。


そのとき、まるみが、まどの外を見た。


「あれ」


うっけは、()(ほそ)めた。


中庭(なかにわ)のむこうに、見なれない木の校舎(こうしゃ)があった。


そこへ、屋根(やね)つきの木の(わた)りろうかが(つづ)いていた。


きのうは、なかった。


うっけは、まどに(ちか)づいた。


まるみも、カサネも、となりに()た。


(ふる)い木の(はしら)


屋根(やね)の下のかげ。


そのはしを、(あさ)(ひかり)が白くしていた。


「きのう、あんなのあった?」


「ない」


うっけは言った。


「ないよな」


カサネは、(わた)りろうかの先を見ていた。


「きのうは、あそこまで見えなかった」


うっけは、(わた)りろうかを見た。


中庭(なかにわ)へ下りる(みち)ではない。


保健室(ほけんしつ)へ行く(みち)でもない。


どこか、まだ()らないほうへ(つづ)いている。


まるみが言った。


「見に行けるかな」


うっけは、すぐには(こた)えなかった。


(むね)の中が、ざわっとした。


こわい。


でも、見たい。


「行けるかどうか、見ないとわかんないだろ」


まるみが、うっけを見た。


「それ、行くってこと?」


「まだ言ってない」


「でも、行くでしょ」


カサネが言った。


「ぼく、あっち、見たい」


うっけは、カサネを見た。


カサネは、もう、ねむそうではなかった。


ただ、(わた)りろうかの先を見ていた。


うっけは、もう一度(いちど)、まどの外を見た。


木の(わた)りろうか、むこうの校舎(こうしゃ)


「……行く」


まるみが、にこっとした。


(あさ)の中に、まだ()らない(みち)が、ひとつ()えていた。


三人は、しばらく、それを見ていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


第二章は、ここでおしまいです。


第三章は、あらためて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ