表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第二章
PR
21/40

21話 つかれはてて

このお話は全年齢向けの作品です。

気軽に読んでいただけたらうれしいです。

うっけは、目をこすった。


月は、木の()っぱのあいだから、白く()えていた。


まるみは、うっけのとなりで、まだすこしだけ目をはらしていた。


カサネも、だまって月を()ていた。


うっけは、つないでいた手を()た。


まるみの手と、カサネの手。


それから、そっと()った。


手が、はなれた。


でも、手の中は、まだすこしあったかかった。


うっけは、自分(じぶん)の手を、ぎゅっとにぎった。


まるみはすぐに、うっけの(ふく)をつかんだ。


うっけは、ちらっと()た。


「そこは、つかむのかよ」


まるみは、目をこすった。


「まだ、ちょっとだけ」


カサネも、すぐそばに()った。


うっけは、ろうかのほうを()た。


「……もどるぞ」


まるみが()いた。


「どこに?」


うっけは、すこしだけだまった。


「四年五(くみ)


「うん」


「そこしかないだろ」


三人は、中庭(なかにわ)広場(ひろば)(ある)いた。


広場(ひろば)の板は、月の(ひかり)で白かった。


(よる)空気(くうき)は、すこし(つめ)たかった。


足が、すこしだけおもかった。


まるみの(ある)くはやさも、いつもよりゆっくりだった。


カサネも、だまって(ある)いていた。


広場(ひろば)のはしに、白いカーテンが()えた。


(かぜ)で、すこしだけゆれていた。


まるみが、足を()めた。


「あれ」


(くら)い中で、そこだけ、ふわっと白かった。


カサネが、(うえ)()た。


保健室(ほけんしつ)


うっけは、まるみのかおを()た。


目が(あか)かった。


ほっぺたも、ぬれていた。


カサネのかおも、ぬれていた。


たぶん、自分(じぶん)もそうだった。


「……かお、ふけるかもな」


まるみは、自分(じぶん)のほっぺたをさわった。


それから、うっけを()た。


「うっけも」


「ぼくはいいんだよ」


「よくないよ」


うっけは、保健室(ほけんしつ)()に手をかけた。


きい。


中は、カーテンのすきまから、月の(ひかり)(はい)って、あかるかった。


水道(すいどう)


たたまれたタオル。


白いカーテン。


(くら)いのに、こわいへやではなかった。


まるみは、小さく(いき)をすった。


「しずか、だね」


うっけは、タオルを(いち)まい()った。


「ほら」


まるみにわたした。


まるみは、タオルで目をおさえた。


カサネも、タオルをほっぺたにあてた。


うっけも、かおをふいた。


目のまわり。


ほっぺた。


(はな)(した)


まるみは、タオルをかおにあてたまま、はあ、と(いき)()した。


「目、あつい」


カサネも、タオルで目をおさえた。


「ぼくも、あつい」


うっけは、タオルを()た。


ぬれていた。


でも、ほっぺたは、さっきよりすこしすっきりした。


カーテンが、すこしだけゆれた。


まどの(そと)は、まだ(よる)だった。


三人は、()かい()わせのベッドのはしに、ちょこんとすわった。


シーツは、ひんやりしていた。


まるみは、足をぶらんとさせた。


でも、すぐに()まった。


「足、つかれた」


カサネは、まくらに手を()いた。


「ここにいると、ねむくなるね」


保健室(ほけんしつ)だからな」


まるみが、ふわあ、と口をあけた。


「あ」


まるみは、あわてて口をとじた。


「あくびじゃないよ」


うっけは、すこしだけ口をゆるめた。


「いまのは、あくびだろ」


「ちがう。くちが、あいた」


「それをあくびっていうんだよ」


まるみは、すこしだけ(わら)った。


うっけは、ベッドの白いシーツを()た。


それから、まどの(そと)()た。


月の(ひかり)が、カーテンのはしにのっていた。


「……ちょっとだけ、(やす)むか」


まるみが()いた。


「ねるの?」


(やす)むだけだ」


カサネが、まくらに手を()いたまま()った。


「うん。(やす)むだけ」


「おまえが()うと、ねるみたいなんだよ」


まるみは、くすっと(わら)った。


それから、ベッドに(よこ)になった。


カサネも、ほかのベッドに(よこ)になった。


うっけは、すこしはなれたベッドに(よこ)になった。


シーツは、つめたかった。


でも、すぐに、(からだ)の下だけ、すこしあたたかくなった。


まるみが、小さいこえで()った。


「おやすみ」


カサネも、()った。


「おやすみ」


うっけは、てんじょうを()ていた。


月の(ひかり)が、カーテンのはしにのっていた。


(よる)は、まだそこにあった。


でも、保健室(ほけんしつ)は、しずかだった。


まぶたが、だんだんおもくなった。


うっけは、目をとじた。


「……おやすみ」


もう、返事(へんじ)はなかった。


返事(へんじ)のかわりに、三人の(いき)だけが、ゆっくり、ならんでいた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


22話は 5月29日 1:00に更新します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ