18話 朝にだってできる
このお話は全年齢向けの作品です。
気軽に読んでいただけたらうれしいです。
そのとき。
すうっと、教室の中が、暗くなった。
うっけは、やっとかおを上げた。
「……なに」
まどの外は、暗かった。
中庭の木も、暗かった。
うっけのいすが、ぎ、と鳴った。
「黒だ!」
まるみの目が、まるくなった。
「え」
うっけは、まどを指さした。
まるみは、まどの外を見た。
「でも」
「でも、なんだよ」
「見えてる」
うっけは、外を見た。
暗い中に、木があった。
まどがあった。
うっけがいて、まるみがいて、カサネがいた。
つくえも、いすも、まだそこにあった。
黒のときみたいに、目の前からなくなってはいなかった。
カサネが、ゆっくり言った。
「黒だったら、もう見えてないと思う」
うっけは、外をにらんだ。
「じゃあ、黒じゃないのかよ」
カサネは、すこしだけ首をふった。
「まだ、わからない」
まるみは、また、外を見た。
まるみが、小さく言った。
「こわい」
カサネは、うなずいた。
うっけは、すぐにはなにも言わなかった。
つくえの上には、からっぽのおさらがあった。
三人で食べたカレーの、においがすこし残っていた。
なのに。
まるみは、まどから目をはなさなかった。
「こんなに急に暗くならないよね」
うっけは、言った。
「あたりまえだろ」
「でも、なったんだよ」
うっけは、こたえられなかった。
カサネも、外を見て言った。
「夕焼け、なかった」
うっけも、外を見た。
「暗くなるにしても、急すぎるだろ」
まるみも、外を見たまま言った。
「また、黒、きちゃうのかな?」
うっけとカサネは、まるみを見た。
外は、暗かったけど、まだ木は見えた。
カサネが、ゆっくり言った。
「わからない。でも、いまは、まだ来てない」
「来るなよ」
うっけのこえは、すこしだけ小さかった。
まるみは、うっけを見た。
「でも、朝は、ちゃんと来るかな?」
うっけは、すぐにはこたえなかった。
教室は、しんとしていた。
つくえも、いすもあった。
黒板の右下には、名前もあった。
ここには、まだ、三人がいた。
うっけは、外を見たまま、すこしだけ息をすった。
「カレーを出せたんだ」
まるみとカサネは、うっけを見た。
うっけは、教室の入口を見た。
「……朝にだってできる」
まるみが聞いた。
「どうやって?」
うっけは、すこしだけだまった。
それから、入口を指さした。
「朝にするやつ、さがす」
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
19話は 5月26日 1:00に更新します。




