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四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第二章
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14/40

14話 だいこうぶつ

このお話は全年齢向けの作品です。

気軽に読んでいただけたらうれしいです。

ろうかのむこうから、においは()ていた。


うっけは、(さき)(ある)いた。


まるみは、そのすぐうしろ。


カサネは、すこしだけ(はな)()げて、においのほうを()いていた。


「こっち」


「なんでわかるんだよ」


「においが、こっち」


「それは、ぼくも、わかってた」


うっけは、ろうかを()がった。


においが、さっきより(つよ)くなった。


おいしそう。


おなかに、ぐぅーっとくる。


まるみが、(くび)をかしげた。


「なんのにおい?」


カサネが()った。


「おなかすいたときの、におい」


「それ、ぜんぜんわかんない」


まるみが()った。


うっけは、ぴたっと()まった。


「え。まだ、わかんないのか?」


「わかんない」


「おいしそう、は、わかる」


うっけは、(いき)をすーっと、()ってから()った。


「カレーだな」


「カレー?」


「これは、カレーのにおいだ。だいこうぶつのにおいは、まちがえない」


カサネは、ろうかの(さき)()た。


「そこから、におう」


()()()があった。


ほかの教室(きょうしつ)()()より、すこしだけ(ひろ)い。


(うえ)(ふだ)には、ちいさく()があった。


給食室(きゅうしょくしつ)


まるみの()が、ぱっと(ひら)いた。


給食室(きゅうしょくしつ)!」


「ほらな!」


うっけは、むねをはった。


「まだ、ほらな、じゃないよ」


「ここから、カレーのにおいがしてるんだぞ。もう、ほらなだろ」


カサネが、()()()をかけた。


()ける?」


うっけは、すぐに()った。


「うん。しんちょうにな」


「わかった」


がら。


()()()いた。


(なか)は、しんとしていた。


(ひと)はいなかった。


なべの(おと)も、()(おと)もしなかった。


でも、カレーのにおいだけは、あった。


さっきより、ずっと(つよ)かった。


「うわ」


うっけは、一歩(いっぽ)(はい)った。


「これ、ぜったい、ある」


「なにが?」


「おれの、だいこうぶつ」


まるみは、給食室(きゅうしょくしつ)(なか)見回(みまわ)した。


(おお)きな(だい)があった。


銀色(ぎんいろ)のものがならんでいた。


おたま。


(おお)きななべ。


(おお)きなお(さら)と、その(うえ)の、(おお)きな(ぎん)のドーム(がた)ふた。


まるみは、配膳台(はいぜんだい)(うえ)(おお)きなお(さら)をゆびさした。


「これ?」


うっけも、()た。


カレーのにおいは、そこから()ていた。


「これだ」


「わ。カレーのにおい」


カサネも、(ちか)づいた。


「はやく、なかみたい」


うっけは、ふたに()をかけた。


「ふうん」


三人(さんにん)は、いっせいに、ふたを()た。


うっけが、そっと()()げた。


かちゃん。


三人(さんにん)は、のぞきこんだ。


ふたの(した)に、あった。


(おお)きなおさらに。


ぽつん。


四角(しかく)くて、茶色(ちゃいろ)いものが、ひとつぶ。


「け、けしゴム?」


まるみが、()をぱちぱちさせた。


カサネも、(はな)(ちか)づけた。


「ほんものみたいな、カレーのにおい」


「……なんだよ」


うっけは、四角(しかく)いものを()た。


()しゴムみたいだった。


でも、カレーのにおいだけは、ものすごくおいしそうだった。


まるみが、そっと()った。


「……ニセカレー()しゴム?」


名前(なまえ)つけるな」


「だって、()しゴムだよ」


うっけは、ニセカレー()しゴムをにらんだ。


「ずるい」


「ずるい?」


「においだけ、カレーだ」


うっけは、そっと()をのばした。


つまんで、すこしだけ口元(くちもと)(ちか)づけた。


まるみが、すぐに()めた。


「だめ!」


「まだ、なにもしてないだろ」


(いま)()べようとした!」


「してない。たしかめようとしただけだ」


(くち)でたしかめようとしてた!」


カサネが、ニセカレー()しゴムを()たまま()った。


「これ、()べものじゃない」


うっけの()が、()まった。


「においは?」


「においは、おいしそう」


「じゃあ」


「でも、()べものじゃない」


まるみは、うっけの()を、もうすこしだけ()っぱった。


「こういうの、(くち)()れちゃだめ」


「うん。……わかってる」


「ほんと?」


においは、おなかに、ずんとくる。


でも、ニセカレー()しゴムだった。


「なんでだよ」


うっけのおなかが、また(ちい)さく()った。


きゅる。


まるみが、(わら)いそうになって、(くち)をおさえた。


「カレーのにおいだけ、ほんものなのに」


「ずるいだろ」

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


15話は 5月22日 1:00に更新します。

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