13話 きゅるる
このお話は全年齢向けの作品です。
気軽に読んでいただけたらうれしいです。
日直。
その下に、
うっけ。
まるみ。
カサネ。
三つの名前が、ならんでいた。
うっけは、まだ黒板を見ていた。
「……で、日直って、なにするんだよ」
まるみが、すこし考えた。
「ごうれい、とか?」
「黒板を消すとか」
「消したら、名前なくなるだろ」
「それは、やだ」
「じゃあ、なにすればいいんだよ」
センセイは、にこっとした。
「そのうちわかります」
「ほんとか?」
まるみが、センセイを見た。
「ほんとに、わかるの?」
「はい。たぶん」
「たぶんは、つくんだ」
カサネも、センセイを見た。
「センセイ、しってる?」
「まだ、しりません」
「しらないのかよ」
そのとき。
きゅるる。
へんな音がした。
まるみが、ぱっと、うっけを見た。
カサネは、うっけのおなかを見た。
うっけだけが、黒板を見ていた。
「いまの」
「ゆかの音だろ」
「ゆかじゃないよ」
カサネが言った。
「うっけのおなか」
「ちがう」
きゅるる。
もう一回、鳴った。
まるみが、あは、と笑った。
「おなか、だ」
「聞こえてないことにしてくれ」
「もう聞いちゃった」
うっけは、おなかをおさえた。
そういえば、ずっと走っていた。
黒から逃げて。
五組に来て。
すわって。
話して。
おなかが、すいていた。
給食だったら、今ごろ、なにが出ていたんだろう。
あったかいやつ。
おなかにたまるやつ。
うっけのおなかが、もう一回、きゅうっとなった。
そのとき。
ふわっ。
ろうかのほうから、においが来た。
カサネが、先にかおを上げた。
「におい、来た」
「におい?」
うっけは、息をすった。
おいしそう。
学校のお昼前みたいなにおい。
まるみも、においのする、引き戸のほうを見た。
「する!」
「だよな」
うっけは、もう一回、息をすった。
やっぱり、いいにおいだった。
「なんなんだ、このいいにおいは」
うっけは、立ち上がった。
「これは、たしかめなきゃじゃん」
センセイが、にこっとした。
「いってらっしゃい、日直さんたち」
「やっぱりなんか、しってんのかよ」
そう言いながら、うっけは、もう引き戸のほうへ歩いていた。
まるみも、すぐについてきた。
カサネも、ゆっくり立った。
「おなか、すいたね」
「きけんかもしれない。みるだけだからな」
うっけが言った。
でも、すこしだけ、足が早かった。
三人は、教室を出た。
うっけは、ろうかのむこうを見て、言った。
「……これ、だいこうぶつのやつかも」
そのにおいは、ろうかのむこうへ、つづいていた。
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14話は 5月21日 1:00に更新します。




