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四年五組  作者: TOKEI-SU(とけい-す)
第二章
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11/40

11話 いまじゃん

このお話は全年齢向けの作品です。

気軽に読んでいただけたらうれしいです。

ここなら、()べば、ちゃんととどきそうだった。


うっけは、じーっと、カサネを()ていた。


まるみはふたりを()くらべた。


「なに、なに?」


「あとでおしえてねって、()ったじゃん」


「あ」


まるみの目が、まるくなった。


「わたしだ。()った」


「いまじゃん」


「え。いま?」


「いまだろ。もう、すわったし、あとでって()ったあとの、いまじゃん」


まるみは、ちょっと(かんが)えた。


「……そうかも」


カサネも、ちょっと(かんが)えた。


「あとっていまなんだ。あしたかとおもった」


「そんなに、()てないだろ」


うっけは、カサネに()きなおった。


「じゃあ、きくぞ」


「うん」


「黒って、なに?」


カサネは、すぐにこたえた。


「しらない」


「はやい!」


うっけのこえが、教室(きょうしつ)にひびいた。


まるみが、ぷっとふき()した。


「まだ、きいたばっかりだぞ!」


「ちょっとくらい(かんが)えろよ」


カサネは、(かんが)えた。


すこしだけ。


「しらない」


(おな)じじゃん!」


まるみが、また(わら)った。


(わら)うところじゃないだろ」


「ごめん」


でも、まるみは、まだ(わら)いそうだった。


カサネは、まじめなかおでこたえた。


「わかるところだけなら、(はな)せる」


「じゃあ、それ(はな)して」


カサネは、うなずいた。


そして、(まど)()た。


「おーい」


まるみの目も、(まど)へいった。


(まど)(そと)で、木の()っぱが、ゆれていた。


(ゆか)に、(ひかり)がちらちらしていた。


「きれい」


「いま、そういう時間(じかん)じゃない」


「でも、()ちゃう」


カサネも、()ていた。


うっけは、カサネをゆびさした。


「おまえは、(はな)すほうだろ!」


「でも、()えるんだ」


()えるけども!」


そのとき。


きし。


(ゆか)()った。


まるみの(あし)が、ぴたっと()まった。


「いま、へんじした」


「してない」


カサネが、そっと(あし)(ゆか)()した。


きし。


「やるな!」


まるみは、(ゆか)


カサネは、(まど)


「二人とも、こっち! いま、黒と五組の(はなし)してるんだぞ。まどとゆかに()けるな!」


うっけは、両手(りょうて)(うえ)にあげた。


「はなし、とめんなーーー!!!」


まるみが、びくっとした。


それから、あわててうなずいた。


「え、きいてるよ」


「よそみしてただろ!」


「ううん。きいてた、きいてた」


「よそみしながら、きくな!」


カサネも、うっけのほうを()いた。


「ごめん」


「きかせて」


「うん」


うっけは、(いき)をすった。


「じゃあ、五組のことは?」


カサネは、すぐにはこたえなかった。


さっきまで、きしきし()っていた教室(きょうしつ)が、しん、とした。


「ここに()ればいいと(おも)った。でも、なんでか、わからない。あたまの中に、ないところがある」


うっけは、すこしだけ、だまった。


名前が()なかったときのことが、ぽんと()かんだ。


名前は、あるはずだった。


でも、くちの中で、すぽっとなくなった。


「……それ、ちょっとわかる」


まるみが、うっけを()た。


「ちょっとだけだからな」


カサネは、(ゆか)()た。


「でも、ある」


「え。なにが、あるの」


「まるみが、(わら)ってたんだ」


「でも、うっけは、ずっと(おこ)ってた」


「ずっとは(おこ)ってない。ちゃんとしてたい、だけだ」


まるみが、あは、と(わら)った。


「え。(おこ)ってたよ」


「二人で()うな」


そこで、カサネが、すこしだけ(わら)った。


うっけは、()(かえ)そうとした。


でも、カサネが、(さき)()った。


「三人で(はし)った」


うっけのくちが、()まった。


まるみも、カサネを()た。


「黒が()て、こわくて、(あし)(おと)が、ばらばらで」


カサネは、そこで()まった。


でも、目はそらさなかった。


「でも、三人で(はし)った」


まるみは、もう(わら)っていなかった。


うっけも、なにも()わなかった。


「それは、おぼえている」


きし。


教室(きょうしつ)のどこかで、(ゆか)がちいさく()った。


まるみは、くちを(ひら)きかけた。


でも、なにも()わなかった。


うっけは、すぐにはなにも()わなかった。


「……なら、いい」


カサネは、うなずいた。


そのとき。


ろうかのほうで、


こつ。


ちいさな(おと)がした。


三人は、いっせいに()()た。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


12話は 5月19日 1:00に更新します。

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