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「いひゃい、姉ひゃん許ひてぇ~」
(痛い、姉さん許して~)
「貴方はどうしてこんなにも大事な事を隠していたんですか!!私は…私は怒っているんですからね!!」
「ギャハハはは!!デレクだっせ~!!」
「うるさいわよロト(うるひゃいぞロホ)」
ヘイズとリアンは口を揃えてロトを指摘した。
昨日の夜ロトが姉さんに手紙を出したとは言ってたけどこんなにも早く来るなんて予想外だった、リアンのことも何も説明してないからゆっくり順を追ってと思ってたのに初動でこうなるともうどうしようもないだろ...
般若の様な顔つきで黒いオーラをグネグネと放ち、デレクの頬を引っ張っぱっている、ここで抵抗してしまうと逆効果だと言うことをデレクは分かりきっていたため逃げようとせずただ許しを乞うデレクなのであった。
「あ...あの、父さん...」
そんな父の情けない姿を目の当たりにしてリアンが一言声をかけると、ヘイズは正気に戻ったのかデレクの頬から手を離し、風のような速度でリアンの元へと歩み寄り膝を床についてリアンの両手を握った。
「やだっ、私ったら子供の前で乱暴な真似を、ごめんなさい、貴方お名前はなんて言うのかしら教えてくれるかしら?」
さっきとは打って変わって般若から女神の様な母性溢れる顔つきでリアンのことを見つめた。
「リアンです、えっとそのお姉さんは...」
「お姉さんだなんてそんな...ヘイズ叔母さんでいいのよ、私は貴方のお父さんの姉、ヘーゼル・ナーセン、私にも貴方より小いさいけれど子供がいるの、女の子よ、仲良くしてくれたらとっても嬉しいわ」
「は...はい、ヘイズ叔母さん...?」
「...ゔぅ、デレクにこんな立派な...子供がいるなんて...」
「姉さん泣かないでよ...リアンが困っちゃうだろ.....」
「可愛い弟にこんなにも可愛い子供が出来たなら泣いて当然でしょこのお馬鹿...!!、それにあなた一人で寂しく暮らしていると思っていたから嬉しいのよ、それと同時に貴方が大変だった時期に何もしてあげられなかったことが悔しいの...本当にお馬鹿なんだから!!」
「ね...姉さん...ゔぅ...本当にごめん」
ヘイズの言葉にうるっと涙を零したデレク。
「て事で二人まとめて連れて帰るから。」
「ね...姉さん.....」
こぼした涙を物凄いスピードで引っ込めるデレク。
真顔で発せられたヘイズの冗談半分では無いとヒシヒシと伝わる発言に飛び出た涙も引っ込みスンっとした顔付きに変わっていた。
情緒の波が激しい2人を見て確かに姉弟なのだと、口にはしないが内心納得していたリアンである。
「デレク真面目に話すと、私は勿論だけれどリザリーだってとっても心配していたし会いたがっていたわ、血は繋がっていなくても貴方を実の弟のように大切に思ってくれている、そんな相手をぞんざいに扱う様なことはしてはいけないわよ...一度帰ってらっしゃい。」
「それは…難しいかもしれない。」
お互い真剣な顔つきで目を合わせ、決して譲らないという強い意志を主張しあっている。
「そう言うと思ったのデレクは頑固な所があるから…だからね私は準備してきたのよ。」
そう言って羽織っているコートの内ポケットから転送魔法陣が描かれた札をデレクに…では無くリアンに貼り付けると辺り一面が青い光に包まれた。
「…リアン!!」
デレクはリアンへ手を伸ばすがその手が届くことは無く、リアンは青い光の中へ消えてしまった。
「リアンを何処にやったの姉さん!!!」
「魔法札で家に転送したわ、今頃リザが目を丸くしているはずよ…丁度良かったデレクは魔力酔いが酷いけど、リアン君なら魔力量が多いから体に負担はかからないわね…予定とは違うけれどこれで絶対に帰らないといけなくなったわねデレク…私を甘く見てはダメよ。」
不敵に笑うヘイズに参ったという顔で膝から崩れ落ちたデレクは上を向き悟ったような顔で力のない声を漏らしていた。
「…降参です」




