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5-1:姉の心弟知らず

私には可愛い弟がいます。いえ、いました、もう少し詳しく言うならば、いたのですが何も言わず急に姿を消しました。


数年程経ちましたが今も尚探し続けていました。ですが昨日の晩に従兄弟から手紙が届き、消えた弟「デレクを見つけました」という1文と現在地だけが示されていました。

勿論私はすぐに支度を始め、今から逢いに行くつもりです。


『姉さん置いてかないでよ~』


幼き頃、デレクは自分よりも大きな歩幅で歩く私達に一生懸命着いてきました。その姿はとても可愛らしく、私は何時しか歩幅を合わせて歩くようになりました。

弟と言うよりかは子どものような存在で、弟もそれなりには私を頼ってくれていたのです。


『ヘイズ姉さん俺大丈夫だから...恥ずかしいよなんか、』


時が経ち、親離れならぬ姉離れが始まり、背丈も歩幅もうんと大きくなると、今度は私が置いて行かれてしまうようになりました、年頃ですのでそっと見守っていましたが私の考えが甘かったようで、卒業後は多忙故に弟を放念してしまいました、すると知らぬ間に安全の確証がない世界へ何も理由を言わず手紙を一つ、『暫く旅に出る』と飛んで行ったのです。

帰省は愚か、それ以降は手紙ひとつも寄越さない何処にいるのかさえ分からない、私は勿論のこと周囲も酷く心を痛め、私は防ぎ込んでしまった時もありました。

なので私は心に決めたのです。もしもう一度無事元気な姿で出逢えたのならば.....ならば……愚弟の不義理がどれ程周りに心労をかけたのかきちんと理解するまで言って聞かせようと。


親の心子知らずと言いますが、これはそうですね...()()()()()()()と言った所でしょうか。


「シャル、リザリー行ってくるわね、いい子でお留守番していてね」


「ヘイズ、私達も行っちゃダメか?...」


「まま...だぇしゅか?」

(ママ...駄目ですか?)


「ダメよ、リザリーったらデレクの肩を持ちそうなんだもの、それにシャルにはまだ長旅は早いでしょうから、もう少し大きくなったら皆で行きましょうね...リザ、デレクの首根っこ掴んで連れて帰ってくるからどうかシャルロットをお願いね。」


「分かったよ...行ってらっしゃい私のダーリン...」


ヘイズは娘と妻に別れを告げると覇気のある瞳で空を見つめ馬車へと乗り込んだ。



「夫人到着致しました。」


「ありがとう案内はここまでで結構よ、連絡をしたらまたこの場所へ来てちょうだい、人が1人増えるからその分の用意もしておいてくれると助かるわ。」


「承知致しました。」


懐かしい、昔はデレクとリザと私の三人でこの国に来たのよね、会う前に何かあの子の好きな物でも買ってあげた方がいいのかしら、どんなふうに暮らしているのかしら、貧しい暮らしで飢えていたらどうしましょう。


市場で桃を購入するヘイズ、怒りはあるのだろうが、そうは言っても可愛い弟に変わりは無いのだ、デレクが好きな食べ物をカゴいっぱいに詰めて手紙にある通りの場所へ向かった。


「素敵なところね...デレクはここで暮らしているのね。」


ヘイズはデレク達の住む家に到着すると懐かしい気持ちで心がいっぱいになっていた、デレクはヘイズ以外の家族、兄や父から迫害を受けていたためデレクに少しでも安心して貰えるよう、ヘイズがこっそり寝具や食べ物色んなものを用意して匿っていた小屋に少し雰囲気が似ていたからだ。


「き、緊張しちゃう...」


意を決して扉に近づきノックしようとした瞬間後ろから声がした。


「何方ですか...?」


綺麗な黒の髪を靡かせる赤い瞳の少年、ヘイズは言葉を失った。


「貴方は...もしかして...」


弟が消えた時期と少年の見た目から推測できる年齢を考慮した時すぐに察してしまった。


「リアンどうしたんだい?また彼奴らが来たのか??」


扉の開く音と共に久しぶりに弟と顔を合わせたヘイズ。


「父さんこの人が扉の前に立っていたから...」


「.....父さんですって、?」


その瞬間ヘイズの手に持っていたカゴを落とし地面には沢山の桃が転がっていた。


「.....ね、姉さん!?!?...ひ、久しぶり..です....ははっ..は。」


場は一気に凍りつき、リアンは何かを察したのか空気を読んでこれ以上何かを話すことは無かった。

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