第18話 謝罪、そして
一月の終わり。
ルカスが「話がある」と書斎に呼んだのは、夕食の後だった。
向かい合って座ると、彼はすぐには口を開かなかった。珍しいことだった。いつもは必要なことだけを、過不足なく言う人間だ。
「……三年間」
ようやく口を開いたとき、声が少し硬かった。
「あなたが来た日、私は屋敷にいながら挨拶もしなかった。理由は——当時の私には、あなたを妻として迎える気持ちがなかったからだ」
セリーヌは何も言わなかった。
「母が決めた婚約だった。私には何も聞かされなかった。腹を立てていた——あなたにではなく、その状況に。だが、その怒りをあなたにぶつけた。無視という形で」
「……はい」
「離縁の手紙への返事も、考えずに書いた」
ルカスは一度、言葉を区切った。
「母から『同意の署名をせよ』と書状が来た。私はそれを、さして読みもせずに署名した。あなたが辺境へ来ると知ったのは、その後だ。——あなたにとって、それが何を意味するか、考えもしなかった」
セリーヌはかすかに息をのんだ。
義母の言葉は本当だった。ルカスは合意していた。ただ——それは、考えた上での判断ではなかった。
「それは、間違いだった。あなたには何の責任もない。あなたはただ、嫁いできただけだ。それなのに私は、三年間——」
ルカスは再び言葉を切った。
「申し訳なかった」
静かな声だった。感情的ではなく、しかし確かな重みがあった。
セリーヌは、胸の中に何かが動くのを感じた。怒り、ではなかった。それはもう、ずいぶん前に消えていた。では何か——まだ名前のつかない何かが、ゆっくりと解けていく感覚。
「……謝っていただいたことは、受け取ります」とセリーヌは言った。「ただ、その謝罪が、今後どういう意味を持つかは、また別の話だと思っています」
「そうだ」
「旦那様はなぜ今、謝ってくださったのですか」
「……ずっと言えなかった。言う必要がないと思っていた。いや——」ルカスは少し間を置いた。「言ったところで、意味がないと思っていた。あなたがどうせ春に去るなら、と」
「今は違うのですか」
「違う、かもしれない」
「……どういう意味ですか」
ルカスは初めて、少し迷うような顔をした。この人が迷う顔をするのを、セリーヌはあまり見たことがなかった。
「あなたが去った後も、私はこの屋敷に残る。ラヴィも残る。シクストも、コーラも、ヤンも。あなたがいなくなった後も、ここで続いていく」
「……はい」
「その続きの中で——私が三年間あなたにしたことを、そのままにしておきたくなかった」
それは、謝罪の理由としては奇妙なようで、しかし正直な言葉だった。
自分のために謝る。それは誠実さの一形態だ、とセリーヌは思った。
「わかりました」と彼女は言った。「受け取りました」
「ひとつ、聞いていいですか」とセリーヌは言った。
「何だ」
「最初に——三年前に——なぜ私との婚姻を断らなかったのですか。義母上の決定に、旦那様は従いましたね。拒否することはできたはずです」
ルカスは少し考えた。
「できた。だが——しなかった」
「なぜ」
「母が選んだ相手なら、害はないと思った。どうせ私は辺境に来る。妻がいてもいなくても、大して変わらない。そう思っていた」
「変わりませんでしたか。実際には」
「……変わった」とルカスは言った。「あなたが来て、変わった。ただし私が気づいたのは、ずいぶん後だ」
「いつ気づきましたか」
「あの吹雪の夜、あなたが自ら橇で行くと譲らなかった時だ」
セリーヌは少し驚いた。
「あの夜……ですか」
「あなたは『必要だから行く』と言った」ルカスは窓の外を見た。「私はずっと、何が必要かを他人に決めさせてきた。何をすべきか、どこにいるべきか。それが正しいと思っていた。だが——雪の中を行くあなたの背中から、宿屋の中での動き、全部を含めて、私は自分がどれほど空っぽな領主だったかを思い知らされた」
セリーヌは返す言葉を探したが、見つからなかった。
「お前が動いたから、皆が動いた。お前が必要と判断したから、宿屋の旅人は凍えずに済んだ。私はその夜、ただついていっただけだ」
「……そんなことはありません」
「事実だ」とルカスは静かに言った。「私は三年間、辺境を守ることだけに向き合ってきた。それで十分だと思っていた。だが本当は——目の前にあるものを、何も見ていなかった」
長い沈黙の後、セリーヌは言った。
「……でも、気づいた」
「遅い気づきだ」
「それでも、気づいた」
それだけを言った。
ルカスは彼女を見た。
「あなたは——怒っていないのか」
「怒っていました。最初は、ずいぶんと」セリーヌは少し間を置いた。「今は、怒ることより、この先どうするかの方が大事だと思っています」
「この先」
「春に、私は一度答えを出さなければなりません」
「……ああ」
「それまでに、整理しておきたいことがあります」
「何を」
セリーヌは答えなかった。まだ言葉にできる形ではなかったから。
ただ、この会話が必要だったことは、確かだと思った。




