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『勇者は間に合ってます』 ~歴代最高の勇者の息子、商人と盗賊と遊び人を連れて旅に出る~  作者: 凡夫 成


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第4話 盗賊団の頭は勇者でした

今日もゆるっと冒険開始です。


勇者カンダと、ちょっとクセの強い三人娘の旅をお楽しみください!


「止まって」


森に入ってしばらく。


先頭を歩いていたジュリアが突然しゃがんだ。


カンダも慌ててしゃがむ。


「いた?」


「違う」


ジュリアが地面を指差した。


「足跡」


「足跡?」


「三人……いや、四人。何度も往復してる」


カンダには、ただの土にしか見えない。


「そんなのわかるの?」


「わかる」


「盗賊だから?」


「そう」


「便利だな、盗賊」


「今頃気づいた?」


後ろからリホとアリスもやって来る。


「アジト見つかった?」


リホが聞いた。


「たぶんこっち」


ジュリアが森の奥を指差す。


「よくわかるね〜」


アリスが感心する。


「足跡だけじゃないわ」


折れた枝。


踏み潰された草。


木の幹についた傷。


ジュリアはそれらを次々に見つけていく。


「大人数が出入りすれば、必ず跡が残る」


「へえ」


カンダは素直に感心した。


「ジュリアって、ちゃんと盗賊なんだな」


「どういう意味?」


「財布盗むだけじゃないんだ」


「返してほしい?」


ジュリアの手には、カンダの財布があった。


「いつ盗った!?」


「さっき」


「返せ!」


ジュリアは笑いながら財布を投げ返した。


「遊んでないで行くわよ」


「お前が始めたんだろ!」


◇


さらに森の奥へ進む。


再びジュリアが止まった。


今度は人差し指を口に当てる。


四人は茂みの陰に身を隠した。


その先。


木々の間に、古びた小屋が何棟か建っている。


「……あれか」


カンダが小声で言う。


男たちがいる。


剣。


斧。


弓。


どう見ても村人ではない。


「十人くらい?」


リホが数える。


「見える範囲ではね」


ジュリアが答える。


カンダはアジトを眺めた。


「どうする?」


「正面から行けば?」


アリスが言った。


「盗賊団のアジトに?」


「うん」


「もうちょっと作戦とか考えようよ」


「じゃあカンダが正面から行って、私たちは後ろから見てる?」


「俺を囮にするな!」


そのとき。


ジュリアがカンダの口を塞いだ。


「静かに」


「んぐっ」


ジュリアの目が細くなる。


「何かいる」


「人?」


リホが聞く。


「違う」


低い唸り声。


茂みの向こうから聞こえてくる。


一匹。


二匹。


獣型の魔物が姿を現した。


その後ろには――。


「……オーク?」


太い腕。


突き出た牙。


棍棒を持った人型の魔物。


だが、どちらもカンダたちには襲いかかってこない。


盗賊たちのそばへ行くと、おとなしく座った。


「魔物が……盗賊と一緒にいる?」


リホが呟く。


「飼ってるのかな?」


アリスが首を傾げる。


「オークって飼えるの?」


「本人に聞こえたら怒ると思うぞ」


すると――。


「おい!」


声が響いた。


「いつまで隠れてんだ!」


四人が固まる。


小屋の前にいた男たちが、一斉にこちらを見ていた。


「バレてる」


アリスが言う。


「お前さっき声でかかったから!」


ジュリアがカンダを睨む。


「俺!?」


「財布返せって叫んだでしょ!」


「原因お前じゃねえか!」


「出てこい!」


仕方なく四人は茂みから出た。


◇


盗賊たちが武器を構える。


その横には獣型の魔物とオーク。


カンダも剣を抜いた。


「……結構いるな」


「今さら帰る?」


ジュリアが短剣を抜く。


「帰れる雰囲気か?」


「無理ね」


リホも杖を構えた。


アリスは――。


手ぶらだった。


「アリス」


「ん?」


「武器は?」


「ないよ?」


「なんで!?」


「遊び人だもん」


「遊び人便利に使いすぎだろ!」


盗賊の一人が叫ぶ。


「お前ら、何者だ!」


カンダが答えようとする。


だが。


「商人です」


リホが先に答えた。


「今それいる!?」


「何者か聞かれたから」


「職業聞かれたんじゃない!」


ジュリアも続く。


「盗賊」


男たちがざわつく。


「盗賊?」


「同業じゃねえか」


ジュリアの眉が動いた。


「一緒にしないで」


「何?」


「持ってない人間から食料まで奪う奴と、一緒にされたくないって言ってるの」


空気が変わった。


盗賊たちが武器を構える。


ジュリアも短剣を逆手に持った。


カンダが一歩前へ出る。


「村から奪った物を返せ」


「は?」


「あと、もう村に手を出すな」


一瞬の沈黙。


そして――。


「ハハハハハ!」


盗賊たちが笑い出した。


「聞いたか?」


「四人で俺たちを倒す気らしいぞ!」


「勇者ごっこかよ!」


カンダはため息をつく。


「ごっこならよかったんだけどな」


「何?」


「俺、一応勇者」


笑い声が止まった。


そして。


さっきより大きな笑い声が響いた。


「勇者様だってよ!」


「魔王でも倒しに行け!」


「俺もそうしたいんだけど、お前らのせいで寄り道してんだよ!」


そのとき。


小屋の奥から声がした。


「おいおい」


男たちが静かになる。


「勇者を笑っちゃいけねえよ」


一人の男が歩いてきた。


長い髪。


無精ひげ。


腰には剣。


首には妙に派手な飾り。


左右には獣型の魔物とオーク。


不思議なことに、魔物たちは男に付き従っている。


「頭!」


男はカンダの前で止まった。


「勇者ってのはな――」


胸を張る。


「もっと敬われるもんだ」


「……誰?」


男が固まった。


「知らねえのか?」


「知らない」


「俺を?」


「うん」


「マジで?」


「早く名乗れよ」


男は咳払いした。


「聞いて驚け!」


両手を広げる。


「俺こそは――勇者カンラ様だ!」


「…………」


沈黙。


アリスが言った。


「盗賊じゃん」


「勇者だ!」


「でも盗賊団の頭でしょ?」


「勇者だ!」


カンダは頭を抱えた。


「またかよ……」


「また?」


「うちの国、勇者多すぎるんだよ」


カンラは鼻で笑った。


「俺は王様に正式に選ばれた勇者だぜ?」


「じゃあなんで盗賊やってんだよ」


「決まってんだろ」


カンラは堂々と言った。


「魔王なんて怖えからだ」


「…………」


「…………」


「…………」


「…………」


「何だよ」


カンダは剣を下ろした。


「帰っていい?」


「なんでだよ!」


「なんか戦う気なくなった」


「舐めんな!」


カンラが怒鳴る。


「俺だって最初は魔王を倒しに行ったんだぞ!」


「行ったの?」


「三日」


「短っ!」


「魔物強えし! 野宿寒いし! 飯まずいし!」


カンダは少しだけ頷いた。


「実家帰りたくなるよな」


「なる!」


「カンダ?」


リホが睨んでいる。


「いや、なんでもない」


カンラが続ける。


「だから俺は気づいた!」


「何に?」


「魔王を倒すより、弱い奴から奪ったほうが楽に稼げる!」


「最低だな!」


一瞬でも共感した自分を殴りたくなった。


◇


「話は終わりだ」


カンラが指を鳴らす。


獣型の魔物が立ち上がった。


オークも棍棒を構える。


「こいつら、やっちまえ!」


魔物たちが一斉に襲いかかってきた。


「来るよ!」


ジュリアが叫ぶ。


獣型の魔物がカンダへ飛びかかる。


「うおっ!」


剣を振る。


ドンッ!


魔物が吹っ飛んだ。


木に激突する。


「…………」


カンダが止まる。


カンラも止まる。


「……え?」


「俺もびっくりしてる」


「一撃?」


リホがカンダを見る。


「やっぱり私たち、強くなりすぎじゃない?」


「そうかな?」


アリスが笑う。


「成長期じゃない?」


「まだ言ってんのか!」


オークが棍棒を振り上げる。


「ジュリア!」


「見えてる!」


ジュリアは棍棒を紙一重でかわした。


横へ。


さらに背後へ。


短剣の柄を膝裏へ叩き込む。


オークの巨体が崩れる。


「遅い」


さらに首筋へ一撃。


オークが倒れた。


カンダが目を丸くする。


「ジュリア強くない?」


「盗賊だから」


「便利だな盗賊!」


「今頃気づいた?」


別の盗賊がリホへ向かう。


「女! 荷物置いてけ!」


「……荷物?」


リホの眉が動く。


「そうだ! 全部――」


ゴンッ!


杖が盗賊の顔面に入った。


「商品を!」


ゴンッ!


「奪うな!」


ゴンッ!


「この!」


ゴンッ!


「盗賊ぅぅぅ!」


男が吹っ飛んだ。


カンダが二度見する。


「リホも強くない?」


「私もびっくりしてる!」


一方。


アリスは。


「頑張れ〜」


「戦え!」


「カンダ、後ろ」


「え?」


振り返る。


盗賊が剣を振り上げていた。


カンダは剣の腹で殴る。


「ぐえっ!」


男が倒れた。


「ほら役に立った」


「お前も殴れ!」


「暴力反対」


「何しに来たんだよ!」


◇


数分後。


「…………」


カンラの顔が引きつっていた。


盗賊たち。


獣型の魔物。


オーク。


全員倒れている。


立っているのはカンラだけ。


「な、なんで……」


一歩下がる。


「なんでこんな強えんだよ!」


「知らない」


カンダは本気で答えた。


「こっちが聞きたい」


カンラの額に汗が浮かぶ。


だが。


やがて口元が笑った。


「……しょうがねえ」


「何?」


「お前ら、運が悪かったな」


「負けてる奴が言うセリフか?」


「俺が魔物使いだってことを――」


カンラが両手を大きく広げる。


「忘れてるだろ!」


「いや、今初めて聞いた」


「そうだっけ?」


カンラが息を大きく吸った。


そして森の奥へ叫ぶ。


「出てこい!」


地面が揺れた。


ズン。


「……何?」


ズン。


木々の奥から何かが近づいてくる。


ズン。


鳥たちが一斉に飛び立った。


やがて。


木々を押し退けるように――。


巨大な石の身体が現れた。


「…………」


カンダが見上げる。


岩。


岩。


岩。


それらが組み合わさった巨大な人型。


カンダの倍以上ある。


「ゴーレム……」


リホが呟いた。


カンラが高笑いする。


「ハーッハッハッハ!」


ゴーレムがカンラの横に立つ。


ズン!


地面が揺れた。


「こいつが俺の切り札!」


カンラがゴーレムを指差す。


「俺の最強の相棒だ!」


ゴーレムがゆっくり拳を上げる。


「……でかいな」


カンダが呟く。


ジュリアが短剣を構え直す。


「さすがにこれは面倒そうね」


リホも杖を握る。


アリスはゴーレムを見上げていた。


「かわいい」


三人が見る。


「どこが!?」


「なんか丸いじゃん」


「岩だぞ!」


カンラが叫ぶ。


「やれ、ゴーレム!」


ゴーレムが動いた。


ズン!


一歩。


ズン!


二歩。


そして――。


巨大な拳を振り上げる。


「カンダ!」


逃げる暇はない。


カンダは剣を両手で握った。


「くそっ!」


ゴーレムの拳が振り下ろされる。


カンダも剣を振った。


――ドゴォォォン!!


轟音。


土煙。


「カンダ!」


リホが叫ぶ。


煙が晴れる。


「…………」


カンダは立っていた。


「……え?」


目の前に――。


ゴーレムがいない。


全員がゆっくり後ろを見る。


ゴーレムは。


十メートルほど向こうで倒れていた。


「…………」


カンラの口が開く。


「俺の……」


ゴーレムは目を回している。


「俺のゴーレムがぁぁぁぁぁ!!」


カンダも自分の剣を見る。


「…………」


リホが言った。


「絶対おかしい」


「……うん」


さすがにカンダも認めた。


◇


カンラが後ずさる。


「ちょ、ちょっと待て」


「何?」


「話し合おう」


「さっきゴーレムで潰そうとしたよな?」


「誤解だ」


「どこが?」


「ゴーレムが勝手に」


倒れているゴーレムが首を横に振った。


「否定してるぞ」


「お前、そこは主人を庇えよ!」


「意思あるじゃねえか!」


カンダが近づく。


「ひっ!」


「村から奪った物、返してもらうぞ」


「返す!」


「二度と村に手を出すな」


「出さない!」


「街道の商人も襲うな」


「襲わない!」


「よし」


カンダが剣を収めようとした。


そのとき。


カンラがカンダの顔をじっと見る。


「待て」


「今度は何?」


「お前……名前は?」


「カンダ」


カンラの顔が変わった。


「……カンダ?」


「ああ」


「親父の名前は?」


「なんでお前に――」


「いいから!」


カンダは眉をひそめる。


「……ガルバス」


沈黙。


カンラの口が開いた。


「…………マジか」


「何?」


「歴代最高の勇者、ガルバス?」


「……そうだよ」


カンラは自分を指差した。


「俺も」


「何が?」


「親父」


「…………」


「俺の親父もガルバス」


「…………」


森が静まり返った。


リホが瞬きをする。


ジュリアも固まっている。


アリスだけが笑顔になった。


「お兄ちゃんじゃん!」


「ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!」


カンダの声が森中に響いた。


◇


「どういうことだよ!」


「だから兄弟だって!」


「聞いてねえ!」


「俺も今知った!」


カンラは地面に座り込んでいる。


「母ちゃんから聞いてたんだ。親父はガルバスって名前の勇者だったって」


「…………」


カンダは頭を抱えた。


歴代最高の勇者。


世界を救った英雄。


そして。


知らないところに息子を作っていた男。


「親父……何やってんだよ……」


リホがカンダとカンラを見比べる。


「似てる?」


ジュリアも見る。


「言われてみれば……?」


「やめろ!」


アリスはカンラの隣にしゃがんだ。


「じゃあカンダのお兄ちゃん?」


「そうなるな」


「カン兄?」


「いいねえ!」


「仲良くなるな!」


カンラが急に笑顔になる。


「いやあ、まさか弟に会えるとはな!」


「俺は会いたくなかった!」


「兄ちゃんって呼んでもいいぞ?」


「呼ぶか!」


すると。


カンラが急に真顔になる。


「……なあ」


「何?」


「兄弟ならさ」


「うん」


「俺のこと許してくれるよな?」


「それとこれとは別」


「ですよね!」


カンラは即座に土下座した。


「命だけは!」


「切り替え早いな!」


「弟よ!」


「弟言うな!」


「唯一の兄を殺す気か!?」


「今日初めて会ったんだよ!」


「血は水より濃い!」


「村から物奪った奴がいい言葉使うな!」


ジュリアが吹き出した。


「で、どうする?」


「どうするって……」


カンダは周囲を見る。


倒れている盗賊団。


オーク。


獣型の魔物。


そして――。


ゆっくり起き上がろうとしているゴーレム。


カンダは少し考えた。


「カンラ」


「兄ちゃんと呼んでいいぞ」


「カンラ」


「はい」


「あのゴーレム、お前の言うこと聞くんだよな?」


「もちろん」


ゴーレムを見る。


大きい。


とにかく大きい。


「じゃあ働け」


「……は?」


「盗賊団は今日で解散」


「はい」


「奪った物を返す」


「はい」


「それから――」


カンダは言った。


「村を守れ」


「村?」


「お前らがいなくなっても、魔物や別の盗賊が来るかもしれないだろ」


カンダはゴーレムを指差す。


「そんなでかいのが村の入口にいたら、誰も襲わない」


「…………」


「お前ら全員、今日から村の自警団だ」


「自警団!?」


「嫌なら村に突き出す」


「自警団やります!」


即答だった。


カンラは倒れている仲間に叫ぶ。


「お前ら! 今日から俺たちは自警団だ!」


「頭……」


「盗賊やめるんすか?」


「弟が怖えんだよ!」


「聞こえてるぞ!」


こうして。


盗賊団は解散した。


◇


数日後。


村の入口。


そこにはカンラたちが立っていた。


武器を持ち。


胸には村人が作った木札。


『自警団』


と書かれている。


そして、その後ろ。


ズン。


巨大なゴーレムが立っていた。


村の入口を完全に塞ぎそうなほど大きい。


「……これ、逆に商人怖がらない?」


リホが言った。


「慣れるだろ」


カンラが答える。


その足元では、村の子供たちが遊んでいる。


「ゴーちゃん!」


「ゴーちゃん、こっち!」


「ゴーちゃん?」


カンダが聞く。


カンラが遠い目をした。


「昨日からあいつの名前、ゴーちゃんになった」


ゴーレムがしゃがむ。


子供が肩に乗る。


ゆっくり立ち上がった。


「わーい!」


「高ーい!」


子供たちが大喜びしている。


カンラは腕を組んだ。


「俺の最強の相棒なんだけどな……」


アリスが笑う。


「人気者じゃん」


「俺よりな!」


ゴーレムのそばでは、村人たちが荷車を運んでいた。


「ゴーちゃん、これお願い!」


ゴーレムが荷車を軽々持ち上げる。


「おお!」


「助かるよ!」


「…………」


カンラが呟く。


「俺の最強の相棒なんだけどな……」


「二回言った」


「昨日なんか畑耕してたぞ」


「役立ってるじゃん」


「そうだけど!」


カンダは笑った。


悪くない。


奪われた物も返された。


村の周囲はカンラたちが見回るようになった。


ゴーレムがいれば、魔物もそう簡単には近づかない。


街道も安全になる。


やがて商人も戻ってくるだろう。


「ありがとうございました」


村長が深く頭を下げた。


「本当に……ありがとうございました、勇者様」


「いや」


カンダは頭を掻いた。


「勇者様はやめてください」


「しかし――」


「たまたまです」


「たまたま道を間違えたもんね」


アリスが言った。


「余計なこと言うな!」


リホが荷物を背負う。


「じゃあ次こそ町へ行きましょう」


「今度はジュリアが地図持って」


「最初からそうして」


四人は歩き出した。


「おーい!」


後ろから声。


振り返る。


カンラが手を振っていた。


その横ではゴーレムも巨大な手を上げている。


「じゃあな、弟!」


「弟って呼ぶな!」


「たまには兄ちゃんに会いに来いよ!」


「行かねえ!」


アリスも大きく手を振る。


「カン兄〜! ゴーちゃん〜! 元気でね〜!」


ゴーレムが手を振る。


カンラも笑う。


「任せろ、義妹!」


「誰が義妹だ!!」


「それは違う〜!」


アリスまで笑いながら否定した。


村人たちの笑い声が聞こえる。


カンダはため息をつきながら前を向いた。


道を一本間違えただけだった。


それなのに。


盗賊団と戦い。


盗賊団の頭が勇者で。


そいつが腹違いの兄だった。


「…………」


カンダは空を見上げる。


ガルバス。


歴代最高の勇者。


世界中の誰もが知っている英雄。


カンダにとっては――親父。


だけど。


自分は父親のことを、どれだけ知っているのだろう。


「……親父」


小さく呟く。


「お前、俺の知らないところで何やってたんだよ」


「カンダー!」


前からアリスの声がする。


「早くー!」


見ると、三人が先を歩いていた。


「今行く!」


カンダは走り出す。


魔王までは、まだまだ遠い。


次の町にすら、まだ着いていない。


それでも。


勇者カンダと三人の仲間の旅は――。


少しずつ、前へ進んでいた。


――第4話 終

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


カンダ、リホ、ジュリア、アリス。

四人の珍道中を一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。


「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、感想・評価・ブックマークで応援していただけると励みになります。


それでは、また次の冒険で!

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