第37話 魔王ガルバス
勇者は間に合ってます。
でも冒険は、まだまだ間に合ってません。
今日もゆるっと行きます!
《不死鳥フェルニア》。
巨大。
とにかく。
巨大。
カンダ。
見上げる。
「…………」
首。
痛い。
さらに。
見上げる。
「…………」
まだ。
鳥。
アリス。
「大きいね」
「大きいな」
ジュリア。
「本当に乗れるの?」
精霊女王。
「そのために呼びました」
カンダ。
フェルニア。
見る。
背中。
見る。
「…………」
「どうやって?」
女王。
「登ってください」
「雑!」
フェルニア。
キィィィィィン!!
翼。
広げる。
ドォッ!!
「うわっ!」
カンダ。
魔神の斧。
地面。
刺す。
「待て待て待て!」
「まだ乗ってない!」
アリス。
「元気」
「元気で済ますな!」
◇
精霊女王。
蔓。
伸ばす。
フェルニアの。
背中。
簡単な。
鞍。
作る。
カンダ。
「最初からやってよ」
「聞かれませんでしたので」
「精霊ってこういう奴ばっかり!」
リホ。
荷物。
確認。
「食料」
「水」
「薬」
「全部ある」
カンダ。
「さすが」
「やっぱリホいると安心する」
リホ。
「今さら?」
「前から思ってる」
ジュリア。
フェルニアの。
羽。
触る。
「熱くない」
アリス。
「焼けてるのに」
「燃えてるだけ」
「焼き――」
カンダ。
「禁止」
「まだ何も言ってない」
「言おうとした」
「ちょっと」
「禁止!」
◇
レオン。
フィーネ。
カンラ。
見送り。
カンラの。
周り。
魔物。
いっぱい。
カンダ。
「お前」
「一か月で」
「また増えてない?」
カンラ。
「二匹増えた」
「増えるペース早いな!」
カンラ。
笑う。
「親父」
「見つけたら」
少し。
間。
「聞いといてくれ」
カンダ。
「何を?」
「なんで」
「俺らを置いて」
「こんな遠くまで行ったのか」
カンダ。
少し。
黙る。
「自分で聞けよ」
「会えたらな」
カンダ。
「じゃあ」
「連れて帰ってくる」
カンラ。
「簡単に言うな」
レオン。
笑う。
「気をつけろよ」
「おう」
レオン。
「あと」
「空で《ラル》は使うなよ」
カンダ。
「使わないよ」
リホ。
「絶対?」
「絶対!」
アリス。
「落ちたら?」
「その時考える!」
「考えちゃダメでしょ」
ジュリア。
「飛ぶ前から不安ね」
◇
フェルニア。
背。
四人。
乗る。
前。
カンダ。
後ろ。
リホ。
ジュリア。
アリス。
カンダ。
下。
見る。
「…………」
ジュリア。
「どうしたの?」
「いや」
「高いなって」
「まだ飛んでないよ」
「もう高い!」
アリス。
「怖い?」
「違う」
即答。
リホ。
「顔固いけど」
「真剣なだけ!」
フェルニア。
翼。
広げる。
カンダ。
「ちょっと待――」
ドン!!
地面。
離れる。
「待ってぇぇぇぇぇ!!」
急上昇。
森。
小さく。
なる。
村。
小さく。
なる。
山。
低く。
なる。
カンダ。
蔓。
握る。
「高い高い高い高い!!」
ジュリア。
下。
覗く。
「すごい」
リホ。
「綺麗ね」
アリス。
両手。
広げる。
「楽しい!」
カンダ。
「なんでお前ら平気なの!?」
アリス。
「飛んでるから」
「それが怖いんだよ!」
◇
フェルニア。
飛ぶ。
速い。
雲。
抜ける。
風。
切る。
山。
越える。
カンダ。
最初。
叫ぶ。
途中。
諦める。
「…………」
アリス。
「慣れた?」
「下見ないことにした」
「見てみて」
「嫌だ」
「綺麗だよ」
「嫌だ!」
ジュリア。
「魔王より怖い?」
カンダ。
「魔王は殴れる」
リホ。
「空は?」
「殴れない」
ジュリア。
「なるほど」
「わかってくれた?」
「全然」
「なんで!?」
◇
やがて。
前方。
山脈。
見える。
今まで。
越えてきた。
山とは。
違う。
白い。
峰。
何重にも。
続く。
雲。
山肌。
隠す。
カンダ。
「…………」
「これ」
「歩けって言われなくて」
「本当によかった」
リホ。
「これは無理ね」
ジュリア。
「道も見えない」
アリス。
「登る?」
カンダ。
「絶対嫌」
フェルニア。
鳴く。
翼。
強く。
羽ばたく。
山脈。
上。
越える。
雲。
抜ける。
風。
変わる。
そして。
山の向こう。
大地。
広がる。
「…………」
カンダ。
声。
なくす。
森。
川。
平原。
遠く。
小さな町。
いくつも。
見える。
リホ。
「山の向こう……」
ジュリア。
「本当に」
「別の土地ね」
アリス。
「ガルバスさん」
「ここまで来たんだね」
カンダ。
「……たぶんな」
まだ。
何も。
わからない。
でも。
父が。
向かったと。
言われた土地。
ようやく。
辿り着いた。
◇
その時。
リホ。
前。
指す。
「カンダ」
「ん?」
「煙」
黒い。
煙。
一つ。
二つ。
三つ。
何本も。
空へ。
上がっている。
カンダ。
表情。
変わる。
「村?」
ジュリア。
目。
細める。
「燃えてる」
地上。
小さな。
集落。
家。
炎。
人。
走る。
その間。
魔物。
何匹も。
動く。
カンダ。
「フェルニア!」
不死鳥。
鳴く。
翼。
傾く。
一気に。
急降下。
「速い速い速い!!」
アリス。
「楽しー!」
「今は遊びじゃない!」
ジュリア。
「魔物いる!」
リホ。
「かなり多い!」
カンダ。
魔神の斧。
握る。
村。
近づく。
百メートル。
以内。
「いける」
リホ。
「何が?」
カンダ。
立つ。
「《ラル》!」
シュン!!
消える。
◇
村。
中央。
魔物。
一匹。
村人。
追い詰める。
その前。
突然。
カンダ。
現れる。
「…………」
魔物。
止まる。
「グ?」
カンダ。
「距離」
「ぴったり」
魔神の斧。
両手。
握る。
一撃。
ドゴォォォン!!
魔物。
吹き飛ぶ。
家。
横。
転がる。
村人。
「…………」
カンダ。
振り向く。
「逃げて!」
「は、はい!」
別。
魔物。
三匹。
カンダへ。
向く。
「来い」
斧。
構える。
「今日は」
「当てられるぞ」
◇
フェルニア。
地上。
近づく。
ジュリア。
飛び降りる。
「先行く!」
リホ。
「《アクセ》!」
魔力。
ジュリア。
包む。
速度。
上がる。
「いいね」
一気。
走る。
倒れた。
村人。
抱える。
魔物。
爪。
振る。
ジュリア。
かわす。
安全な。
場所へ。
運ぶ。
「ここにいて!」
次。
走る。
◇
リホ。
降りる。
聖弓ルミナス。
構える。
矢。
放つ。
シュッ!
「《ボア》!」
着弾。
同時。
炎。
弾ける。
魔物。
怯む。
リホ。
次。
矢。
つがえる。
「いける」
カンダ。
遠く。
見る。
「リホ!」
「前見て!」
「はい!」
◇
アリス。
杖。
上げる。
逃げる。
村人たち。
囲む。
「《クルスト》!」
薄い。
光。
包む。
魔物。
体当たり。
光。
弾く。
「次!」
「《フュランド》!」
風。
吹く。
三匹。
まとめて。
転がる。
ジュリア。
その横。
抜ける。
アサシンダガー。
一匹。
足。
斬る。
フレイムダガー。
もう一匹。
炎。
走る。
「カンダ!」
「おう!」
大型。
魔物。
村。
中央。
吠える。
カンダ。
見る。
距離。
六十メートル。
「《ラル》!」
シュン!
大型。
背後。
現れる。
振り向く。
遅い。
カンダ。
魔神の斧。
引く。
「――《豪薙ぎ》!」
ブオォォォォン!!
衝撃。
大型。
魔物。
その周囲。
残った。
魔物。
まとめて。
吹き飛ぶ。
木。
一本。
倒れる。
家。
揺れる。
リホ。
「家まで壊さないで!」
カンダ。
「加減した!」
ジュリア。
「今ので?」
「かなり!」
アリス。
「成長したね」
「そこ褒められるの!?」
◇
しばらく。
戦い。
続く。
しかし。
魔物。
次々。
倒れる。
やがて。
残った。
数匹。
森へ。
逃げる。
カンダ。
追おうとする。
ジュリア。
「待って」
「村人が先」
カンダ。
止まる。
「……そうだな」
斧。
下ろす。
◇
燃える。
家。
水。
運ぶ。
カンダ。
大きな。
瓦礫。
持ち上げる。
「こっち!」
下。
子ども。
ジュリア。
引っ張り出す。
母親。
抱きしめる。
「ありがとうございます!」
アリス。
怪我人。
前。
しゃがむ。
「《ヒランド》」
光。
傷。
塞がる。
リホ。
別。
村人。
「《ヒル》」
治療。
続ける。
ジュリア。
家々。
回る。
「こっちはもういない!」
カンダ。
「了解!」
時間。
かかる。
それでも。
少しずつ。
火。
消える。
声。
戻る。
◇
夕方。
村。
静か。
なる。
家。
何軒も。
壊れている。
畑。
荒れている。
カンダ。
魔神の斧。
地面。
置く。
「……ひどいな」
老人。
近づく。
村長。
らしい。
「旅の方々」
深く。
頭。
下げる。
「本当に」
「ありがとうございました」
カンダ。
「いや」
「たまたま通っただけだから」
老人。
燃えた。
村。
見る。
「あなた方が」
「来てくださらなければ……」
カンダ。
少し。
黙る。
「さっきの魔物」
「この辺じゃ」
「よく出るんですか?」
老人。
顔。
曇る。
「……あれは」
「ただの魔物ではありません」
リホ。
「どういうこと?」
老人。
「魔王軍です」
カンダ。
「魔王軍?」
ジュリア。
「この土地にも魔王がいるの?」
老人。
「おります」
カンダ。
一瞬。
以前。
聞いた。
言葉。
思い出す。
魔王は。
一人ではない。
称号。
分類。
複数。
存在する。
「どんな魔王?」
老人。
少し。
戸惑う。
「皆様は」
「この地の方では」
「ないのですか?」
カンダ。
「今日」
「山を越えてきたばっかりで」
老人。
「……なるほど」
ゆっくり。
頷く。
そして。
言う。
「この辺りを襲う」
「魔王軍」
「その主は――」
一拍。
「《魔王ガルバス》」
「…………」
カンダ。
動かない。
リホ。
顔。
上げる。
ジュリア。
目。
細める。
アリス。
カンダを見る。
風。
吹く。
燃え残った。
木。
ぱち。
音。
鳴る。
カンダ。
老人を見る。
「…………」
低い。
声。
「今」
「なんて?」
老人。
「魔王」
「ガルバスです」
「…………」
カンダ。
魔神の斧。
握る。
ずっと。
追ってきた。
父。
歴代最高の。
勇者。
山を。
越え。
ようやく。
辿り着いた。
その土地で。
最初に。
聞いた。
父の。
肩書き。
それは。
勇者では。
なかった。
カンダ。
小さく。
呟く。
「……親父が」
「魔王?」
――第37話 終
後書き
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
勇者なのに寄り道ばかり。 それでもカンダたちは、少しずつ前へ進んでいます。
次は何が起きるのか。 一緒に見届けていただけたら嬉しいです。
「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、感想・評価・ブックマークで応援していただけると励みになります!
それでは、また次の冒険で!




